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スマホ故障時の修理代をカバー

手頃&気軽な「justInCase」が目指すものは“保険に触れること”

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うっかりスマホを落としてしまって、液晶画面がバッキバキに割れてしまった。しかし、高い修理代がかかるから、我慢してそのまま使っている…という人は、決して少なくないだろう。

そんな状況に陥らないための保険サービスが誕生した。スマホの破損や故障、水濡れ、盗難紛失時に保険金が支払われる「justInCase(ジャストインケース)」だ。

保険に加入したいスマホで専用アプリをダウンロードし、アプリ上で申し込むだけ。保険料は機種によって異なるが、修理時自己負担金なしのプランであれば月々400~1000円程度。現在はiPhoneのみのサービスだが、年内にはAndroidにも対応するという。

justInCase CEOの畑加寿也氏は、約15年間、将来のリスク分析や保険料の計算などを行うアクチュアリーという専門職に就いていた保険のエキスパート。そんな畑氏がスマホに目をつけた理由とは。

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「以前からアプリで簡単に保険に入る時代は来ると考えていて、アプリをダウンロードして最初にわかるユーザーの情報はスマホの機種だと気づいたんです。三大疾病や死亡って身近なものではないですが、画面バキバキのスマホは現実味がありますよね。想起できるものだと、『保険に入っておこうかな』と考えやすい。まずは保険に触れてほしくて、スマホ保険を始めました」(畑氏・以下同)

故障リスクに合わせて、個々に保険料が変化

「justInCase」は、90秒程度で加入できる手軽さと低価格が特徴的だが、一般的なスマホ補償サービスとの大きな違いが存在する。保険を使わなければ、3カ月ごとに保険料が割引されることだ。

「携帯会社などで用意している補償サービスは、全員一律の金額ですよね。でも、スマホの使い方によって、故障のリスクは違うはずなんです。医療保険や自動車保険と同様に、リスクに応じて保険料も変えるべきだと考えました」

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畑氏が着目したのは、スマホに搭載されているジャイロセンサーと加速度センサー。スマホの向きや動きを認識するもので、落とした回数などを測定できる。頻繁に落とす人は故障のリスクが高くなるため、保険料の割引率が下がるという仕組み。

リスクは1日単位で安全スコアとして計算される。スコアが高い=リスクが低ければ、割引率は40%程度となるが、スコアが低いと20%程度にとどまるそう。

「保険料を抑えるためにスマホを丁寧に扱えば、そもそも故障しにくいので保険を請求しなくてよくなります。ユーザーの方にとっても我々にとっても、ハッピーなんですよね」

友達とのコミュニケーションが保険金詐欺を防ぐ!?

安全スコアは、Facebookでつながっている友達とアプリ上で比較できる。「丁寧に使って、スコア上位を目指そう」とゲーム感覚で使えるところが、特に若い世代にウケそうだ。

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「友達との比較は、保険金詐欺防止の働きも込めています。非対面のサービスなので、故障や盗難と偽る人が現れる可能性はありますが、友達の目があると悪いことはしにくくなるんですよね」

さらに、保険金詐欺を防ぐために施していることがある。保険金請求の際、宣誓動画を自撮りして送るというステップがあるのだ。ほんの5秒程度で、「嘘偽りございません」という決まった文章を読むだけだが、やましい気持ちがあると大きな壁となる。

ちなみに、保険金請求もアプリ上から申し込むことができ、必要書類を郵送するなどの手間はない。

1日単位のお手軽保険も続々リリース予定

スマホ保険加入者を対象に、1日単位でカメラやパソコン、楽器、釣り竿などを補償するモノ保険もスタートした。

「運動会の日だけカメラを使う、友達に1日だけゲーム機を借りるといった時に、スポット的に補償できる保険があったら、加入したい人は多いと思うんです。機器によって差はありますが、保険料は1日50~100円弱です」

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今後は、モノ保険のように、1日単位で事故を補償するサービスの提供も考えているとのこと。例えば、登山やスキー、運動会、子どもの自転車運転など、普段はしないアクティビティに挑戦する日だけ加入できれば、安心して楽しめそうだ。

「1日150円程度で、スキーに行く途中のバスの中で入れるぐらい、気軽なものを予定しています。スマホやレジャーなどで保険料を払う・もらう体験をすると、保険に対する認識が変わり、備えの意味を知れると思うんです。だから、まずは身近で手軽なものに入って、保険に触れてみてほしいですね」

誰もが抱えている身近なリスクを、低コストでカバーしてくれる「justInCase」。新たな保険が出るごとに、生活に密着するサービスとなってくれそうだ。

取材・文/有竹亮介(verb) 撮影/森カズシゲ

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