クレジットカード&電子マネーを「一つの」端末で決済
決済時の“不”を軽減する「Airペイ」が日本社会にもたらすもの
世界的に進んでいるキャッシュレス化。隣の中国ではほとんどの人が現金を持たず、クレジットカードやQRコードでの決済が主流となっている。
日本にも訪れ始めているキャッシュレス化に対応した決済サービスが「Airペイ」。クレジットカードや電子マネーでの決済を、iPhoneまたはiPadと専用カードリーダーだけで行えるサービスだ。
サービスを提供しているリクルートライフスタイルネットビジネス本部ペイメント事業ユニット・塩原一慶氏曰く「商売において“不”の多い部分を改善するため、立ち上げたサービスが“Air”というシリーズです」とのこと。
商店では、人材の採用や教育、シフト管理、会計の精算などに時間がかかり、商品開発や接客など重きを置くべき部分に時間を割けていないという実情がある。リクルートライフスタイルではそれらを解決するべく、POSレジアプリや予約管理アプリなど、業務支援ツールを提供してきた。その中の1つが「Airペイ」だ。
店にも客にもメリットの大きいキャッシュレス
そもそも現金ではなく、クレジットカードや電子マネーでの決済を導入するメリットは、どのような部分にあるのだろうか。
「お店にとっては、売上を上げる効果が期待できます。外国人観光客はもちろん、日本人もクレジットカードや交通系電子マネーを日常使いする方が増えているので、使用できるお店に流入しやすくなります。実際に『クレジットカードを使えるようにしたら、単価が上がった』という声も届いています」(塩原氏・以下同)
現金払いでは財布の中身との兼ね合いで、客の購入意欲が抑えられやすいが、クレジットカードでは制限がなくなるため、単価が上がりやすい。「Airペイ」を導入している美容室では、「カットだけでなく、トリートメントを追加したり商品を買ってくれたりするお客さんが増えた」という例もあるとのこと。
「カスタマーにとってもメリットがあります。現金払いの場合、金額を理解し、財布からお金を出し、払い、おつりを受け取るといった行動が伴います。これがクレジットカードや電子マネーであれば、カードを出して端末に読み取らせるだけ。手間が省けますし、カードだとポイントがつくことも多く、利便性は高まります」
支払いの際のもたつき軽減は、顧客にとっても店にとってもメリットだ。キャッシュレス化が進んでいるのも、納得といえるだろう。
手間をかけず低コストでスタートできる決済サービス
「Airペイ」の特徴の1つは導入の簡易さだという。ウェブサイトから申し込み、審査が完了したら専用カードリーダーが届く。手持ちのiPhoneかiPadにAirペイアプリをダウンロードし、カードリーダーと接続すれば完了。操作も、直感的に行える仕様になっている。
「我々が加盟店管理責任を負っているので、ユーザーの方がクレジットカードや電子マネーの運営会社と個々にやりとりする必要はありません」
カードや電子マネーなど、それぞれの端末を用意する必要がなく、専用カードリーダー1台で済むため、省スペースで使えるところも大きな強みだ。
現在は0円スタートキャンペーンを行っており、店舗は無料で導入できる(キャンペーン終了時期未定)。決済手数料は発生するが、3.24~3.74%と業界最安水準となっており、月額固定費や振込手数料はかからない。iPhoneかiPadを用意する必要はあるが、既に使っているものでも問題ないため、そこまで大きな障害ではないだろう。
「iPhoneやiPadとカードリーダーはBluetoothで接続するため、15m程度であれば機器同士を離しても決済できます。テーブルチェックの飲食店でも、テーブルを離れずにお客様の目の前でクレジットカード決済ができます」
客にスキミングのリスクなどを感じさせず、気持ちよくクレジットカードで決済してもらえるというわけだ。この安心感が、顧客獲得につながる可能性もあるだろう。
さらに、決済をデジタル化することで、どの商品がどんな人に売れたか、記録できるようになるところもメリットだ。「Airペイ」では、決済情報がアプリ内に蓄積される。無料POSレジアプリ「Airレジ」と連携すれば、現金払いのデータとまとめることも可能。マーケティングの材料にできそうだ。
外国人観光客のニーズにもマッチするようサービス拡大中
Airシリーズでは、QR決済サービス「AirペイQR」も展開している。「LINE Pay」「d払い」といったQRコードでの決済に対応したツールで、導入の手続きやコストは「Airペイ」と同様。海外の決済サービス「Alipay」「WeChat Pay」にも対応している。
「新しい決済方法を導入する場合、端末を用意したり別個に手続きしたり、対応が大変ですよね。しかし、『Air』シリーズは、新たなアプリをダウンロードするだけです。外国人観光客の方はQR決済を使うことも多いので、インバウンドが増えている今、売上アップのきっかけになると考えています」
世界で進むキャッシュレス化に、店側も対応していかなければいけない今。「Airペイ」は操作性、コスト面、安全性、あらゆる部分で重宝されるサービスといえそうだ。
ユーザーである我々としても、様々な決済方法が可能な「Airペイ」が導入しているかという観点は、お店選びの一つの基準にできるだろう。
取材・文/有竹亮介(verb) 撮影/森カズシゲ