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好きなテーマを選ぶだけでプロ厳選の10社に分散投資!

LINEとFOLIOの提携で生まれた「LINEスマート投資」

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「ドローン」に「寿司」。“好き”に投資するテーマ投資とは

10月18日より、LINEのアプリ内に「LINEスマート投資」が追加された。LINE上から利用できるモバイル投資サービスで、約70あるテーマの中から、自分が興味のあるテーマに投資できる。

LINEアプリの「ウォレット」タブに追加された

そのテーマが面白い。「ドローン」や「寿司」、「ペットと暮らす」といったものが並び、各テーマは投資のプロが厳選した10社の個別株で構成されている。個別株の配分も、プロの知見やアルゴリズムで決められており、ユーザーはそのテーマに関連した企業10社に投資することとなる。いわばテーマが一つの金融商品で、それぞれに現在の価格がついている。1テーマにつき、おおむね10万円前後で投資できるのも特徴だ。

具体的には、テーマを選んで、購入する数量と投資スタイルを決める。投資スタイルはリスクをなるべく抑える「ディフェンス型」や、成長性を重視する「グロース型」など4種類あり、スタイルによってテーマ内の銘柄比率が変わる。

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このサービスは、LINE Financialと金融ベンチャーのFOLIOが提携して生まれたもの。“テーマ投資”の仕組み自体は、もともとFOLIOがオンライン投資サービスとして提供しており、今回、同サービスをLINEアプリから利用できるようにしたと言える。

ということで、FOLIOの代表取締役CEOを務める甲斐真一郎氏に、LINEスマート投資について詳しく聞いた。

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LINEスマート投資の最大の特徴は、独特のテーマから選べること。「再生医療テクノロジー
」や「5G(次世代通信システム)」といった、いかにも投資に出てきそうなトレンドワードだけでなく、「寿司」や「インテリア」など、身近でシンプルなテーマがたくさんある。

この理由について、甲斐氏は「投資初心者の人たちが、利益の出そうなジャンルだけを探すのではなく、シンプルに『好き』や『応援したい』という気持ちで投資を始めてほしかった」という。

「これまでの投資は、利益の出そうなトレンドやテーマを探して投資することが一般的でした。しかし、投資初心者にとってそれは難しく、少しでも値下がりすれば、すぐに手放してしまいます。投資で大切なのは、細かな浮き沈みで慌てず、しばらく銘柄を持ち続けること。それにより投資を学び、適切なノウハウを身につけるのが重要です。であれば、『好き』や『応援したい』という長く持ち続ける切り口、損益とは別の入口が必要だと思いました」(甲斐氏)

FOLIOでサービスを展開し始めたときから、あくまで「投資初心者向け」のサービスを設計してきたという。各企業の株を買うのではなく、テーマを選ぶだけで10社の銘柄に投資できる仕組みもその表れ。さらに、1テーマについて10万円前後で投資できるのも、同じ理由に基づいている。

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「通常、企業の個別株は最低100株からの購入になっており、数十万円といった資金が必要になることも珍しくありません。ひとつの銘柄を選ぶだけでも、初心者の方にとっては大変な作業なのに、さらに大金がかかるとなれば不安を感じます。それならば、もっと気軽、かつ楽しく投資を始める仕組みを作りたかった。その思いが反映されています」

7800万人を超えるLINEユーザーに、どう入り口を作るか

LINEスマート投資は、FOLIOのサービスが基本となっており、利用時の口座開設もFOLIOで行う。ただし「同じサービスという認識ではなく、LINEはLINEで独自の機能を追加していきます」と甲斐氏。実際、LINEスマート投資だけの機能もある。

その代表が「ランキング」と「シミュレーション」だ。ランキングは、この1週間でよく投資されたテーマを表示する「人気ランキング」や、1年間の収益率を基準にした「リターンランキング」がある。

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「シミュレーション」は、リターンランキングを応用したもの。テーマを選び、元金を仮設定すると、もし1年前にそのテーマに投資していた場合、元金がいくらになったかをシミュレーションする。

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「これらの機能は、LINEユーザーへのインタビューを通じて導入しました。私たちの運営するFOLIOは、投資にある程度興味を持った人がたどり着くことが多いんです。一方、LINE月間ユーザーは7800万人以上おり(※)、投資に全く興味のない人がたくさんいます。であれば、できる限り最初のハードルを下げなければいけません。そこでランキングやシミュレーションといった一歩目の道筋となるコンテンツを入れました」
※LINE株式会社2018年12月期第3四半期決算説明会資料より

さらに、「今後は随時LINEの機能と連携し、親和性を増していく」と甲斐氏。たとえば、決済サービスのLINE Payと接続する予定などもあるという。「先日は保険の機能もLINEに追加されており、それらとのシナジーが生まれればいいですね」と話す。

そうして投資に馴染む人を増やすのが、甲斐氏の目標だ。それは「今後、個人としても社会としても必要なこと」だと話す。

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「個人においては、健康寿命が延び、一方で退職金の概念が変わるなど、かつての資産設計とは違う考えが求められています。であれば、若いうちから投資を一度体験して、理解することが必要。また社会としても、投資によって個人から企業、そして企業から個人へとお金が循環する状況を作ることが大切です」

そのために、LINEスマート投資は大きな役割を担うという。

「本当の意味で投資を広く普及させるには、100万人が利用するサービスでは足りません。LINEのように、大多数の人が使うアプリに投資サービスが存在するからこそ、多くの人が接触するチャンスが生まれます。その意味でも、LINEスマート投資を発展させていきたいですね」

LINEの中に組み込まれたテーマ投資サービスは、どのような普及を見せるのか。今後の成り行きが要チェックな“新機能”だろう。

(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2018年11月現在の情報です