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会社員が長期で資産形成するための心得とは

青井ノボルさん「投資も登山も事前準備が大切」

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FXや個別株などの投資は、ハイリターンが期待できる一方、値動きから目が離せずに仕事そっちのけになる可能性もある。

とりわけサラリーマンは、本業以外のお金儲けに心血を注ぐよりも、ほったらかしにして増やす投資手法が向いているだろう。そこで、会社員にも人気が高まりつつあるのが、「インデックス投資」だ。

今回インタビューに登場していただく青井ノボルさんも、インデックス投資でコツコツ資産を形成している会社員の一人。「世界の時価総額比率で配分する」というブレないモットーで運用を続ける青井さんに、投資をはじめた経緯、投資に対する考え方について聞いた。

インデックス投資は楽ちん? 否、数十年続けることは相当キツい

現在、専業主婦の妻と3人の子どもの5人で暮らす青井さん(30代)。「つみたてNISA」と「iDeCo」の非課税枠をフルに活用して、年間トータル67万6000円をインデックス投資に充てている。投資をはじめたのは、社会人デビューした2007年の春と早咲き。

「就職時に口座開設した新生銀行のHPで投資信託を知り、なんとなく購入しました。もともと大学3年生くらいの頃から、業界研究で日経新聞や東洋経済などを目にしていたので、金融の面白さを感じていたんです。それもあって、投資信託に抵抗はなかったんだと思います」

その時に、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の投資信託を一括で購入するも、ずっと塩漬けにしていたそう。それから1年後、職場で確定拠出年金制度が導入。そこで、資金を分割して均等額ずつ定期的に継続して投資する「ドルコスト平均法」を知り、月3万円の積み立てを設定した。その後、2013年に人生の転機が訪れる。

「結婚して自宅マンションを購入し、1人目の子どもを授かりました。ライフイベントが立て込んだことから、教育資金を現金などの無リスク資産で増やしたいという思いが芽生え、投資信託をすべて売却しました」

生活防衛費と教育資金は貯金で着実に増やしたいと考え、一度投資をストップした青井さん。それから5年後の2018年、3人の子どもを持つ父親となったタイミングで、投資信託を再開した。つみたてNISAやiDeCoの税制優遇が青井さんを後押ししたという。

「教育資金は無リスク資産で1500万円を目標にしました。こちらは、子ども3人を私立大学まで通わせた場合、いまは専業主婦の妻が社会復帰して家計を支えてくれている想定で、算出しました。この額にはまだ達成していないので、投資にまわすのはどうかと渋る気持ちもあったんです。ただ、つみたてNISAやiDeCoの税制上のメリットは大きいと判断して、インデックス投資をはじめることにしました。インデックス投資に決めたのは、ネットの検索で偶然目にしたからです。そこから、インデックス投資ブログや、書籍『敗者のゲーム』(チャールズ・エリス著)、『お金は寝かせて増やしなさい』(水瀬ケンイチ著)などを読んで知識を身につけました」

先人たちの知恵を吸収しながらも、ファンド選びにあたっては、自分なりに腹落ちできるかどうかを大事にしたそう。

「インデックス投資は長期で運用してこそ利益が出るので、一度ポートフォリオを決めたら続けることが肝になります。でも、どんなに相場が荒れても、安易に売らずに保有し続けるのは、精神的にけっこうキツい。そこを乗り越えるためにも、誰かが薦めているものではなく、これなら持ち続けられると自分が納得できたものを選ぶことを大切にしようと考えました」

投資方針は「自分の判断をそぎ落として選ぶこと」

インデックス投資といっても、商品の種類はさまざま。青井さんが辿り着いたひとつの答えが、全世界株式の時価総額割合をアセットアロケーションにそのまま落とし込む方法。ちなみに、現在の全世界株式の時価総額比率は、国内:先進国:新興国の比率が約1:8:1の割合。それに従ってコストが低いインデックス型の投資信託を購入しているという。

「何に投資するかの判断について、自分の知識や感覚を反映せず、世界市場の動きに委ねるようにしています。というのも、投資をどんなに勉強しても利益が保障されているものではないですし、所詮はプロの投資家には及ばない素人だと思っているので、自分の判断を信じていないんです。たとえば、この地域の経済発展が期待できそうとか、独自に調べて考えたところで報われないんじゃないかと。なので、現段階での全世界株式の市場平均をそのまま受け入れる方針で、アセットアロケーションを構成しています」

この方針にしたがって、どのファンドが最も適しているかを考えているという。大きなリターンは期待できないかもしれなない。ある意味、思考停止状態のようにも思えるが、長く続けるための最善策として青井さんなりに考え抜いた結果である。

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つみたてNISAとiDeCoのアセットアロケーション(2018年10月末時点)。時価総額比率の全世界株式に照らし合わせて、国内株式:先進国株式:新興国株式を1:8:1で持つようにしている。

比率配分の方針が決まったとはいえ、ファンドや商品が膨大過ぎて決めきれない人も多いだろう。

「つみたてNISAの対象になっているファンドであれば、ある程度厳選されていると思うので、まずはそこから投資をはじめてみるのもアリかもしれません。おそらく自分が一番腑に落ちる投資方針は、一朝一夕には見つからないと思いますが、資本主義が続く以上、お金は生涯つきまとってきます。金融の知識は自衛になり、実践を通して身につくこともあります。まずは、少額からでもいいので、投資をはじめてみることをおすすめします」

ちなみに、投資方針を決め、アセットアロケーションを組んで以降、証券口座を覗くのはブログを書くため、月1回程度だとか。文字通り、ほったらかしにしている。将来、どれくらいの資産形成を目指しているのだろう。

「インデックス投資については目標額を決めていないんです。というか、決めるべきではないと思っています。それは、明確な目標があるお金は投資で準備するべきではないと考えているからです。そもそも全世界株式に投資したとして、期待リターンはよくて年率5%程度。それも、予想通りにいくかどうか分かりません。老後だって、その時あるお金で幸せに暮らせる、最善の方法を考えればいいんじゃないかなと。大事にしているのは、その時々で最善と思われる選択肢を選び続けることです」

すでに投資方針も商品も決めているが、1日1時間程度のスキマ時間を使って、インデックス投資の情報収集を欠かさない。しかし、「それはもはや趣味です」とにこやか。ちなみに、青井さんのもうひとつの趣味は、登山。ブログのタイトル「インデックス投資で長期縦走へ」も、登山をイメージしているそう。インデックス投資も登山になぞらえることができると話す。

「登山も投資も、明確なルールはありません。数多くの選択肢から、自分の意思で自由に選ぶことができます。登山であれば、どのルートを進むのか、投資であればどんな投資法を選ぶのか。セオリーこそあれ、判断は本人の意思に委ねられます。また、事前準備の重要性も共通しています。登山もパッキング、ルート選定、登山届の準備など、準備するべきことがやまほどあります。私は高校時代から通算15年、登山に親しんできましたが、安全に楽しむために試行錯誤してきました。そして近頃ようやく、自分なりの登山スタイルが固まってきました。投資も似ているなと感じます。悩みながらも自分の頭で考え抜くことが、納得できる結果につながっていくと思います」

緻密な考察を重ね、全世界株式への投資というダイナミックな手法を選んだ青井さん。そのベースには、登山で培った胆力があるのかもしれない。先人たちの提言やセオリーを参考にしながらも、20年、30年先まで継続して投資できる商品を選ぶことが肝心なのだと、青井さんの話を聞いて痛感した。

 

(末吉陽子/やじろべえ)

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