1人当たり約500万円もの費用がかかるなんて…

介護に対する金銭的な補助ってないの?

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親の介護が必要になった場合、肉体的な負担に加えて必要になるのが金銭的な負担。働きながら介護するとなれば、訪問介護やデイサービスの利用、特別養護老人ホームへの入居などを考えなければならず、自ずと費用もかさんでくる。

そこでファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに、介護にかかる費用と、金銭面でサポートしてくれる制度を教えてもらった。

介護費用は1人につき平均500万円弱

そもそも介護では、どのくらいの費用が発生するのだろうか。

「生命保険文化センターが行った『生命保険に関する全国実態調査』によると、1人につき一時費用は平均69万円、月々にかかる費用は平均7万8000円でした。そして、介護期間は平均4年7カ月というデータが出ています」(氏家さん・以下同)

一時費用とは、住宅改修や介護用ベッドの購入など、介護を始めるにあたってかかる費用を指している。月々の費用と介護期間をかけ合わせ、一時費用を合わせると、498万円かかる計算となる。

「金額だけ見ると高額ですが、必ずしも子どもが用意しなくてはならないお金ではなく、親自身も将来に向けて貯めておくべきものです。ざっくりでもいいので親の経済状況を聞いておきましょう。親が蓄えているようであれば焦らなくてもいいですが、親に余裕がなさそうなら、多少準備しておいた方がいいかもしれません」

介護費用は保険が利く! 原則1割負担

介護をしていくに当たって、保険や給付金など、金銭的にサポートしてくれる制度があることを押さえておこう。

「40歳以上になると私たちは介護保険の第2号被保険者になります。さらに、65歳以上になると介護保険の第1号被保険者となり、保険料は年金から天引きされます。そのため、介護にかかる費用は原則1割負担になるんです。玄関に手すりをつけるなどの住宅の改修も、20万円までであれば保険適用の範囲内。ただ、所得の高い高齢者の場合は、2割負担、3割負担と自己負担が増えるよう近年制度が変わってきています」

収入によって割合は変化するものの、あらゆる介護サービスの自己負担額が減るのはありがたい。ただし、先ほどの生命保険文化センターが出した費用の平均値は、介護保険が適用された上での金額であることは忘れないように。

では、この金額はすべて自己負担しなければならないのだろうか。

「介護保険を利用して支払った自己負担額1割(所得によって2割、3割に変化)が高額になった場合に、上限額を超えた分が支給される『高額介護サービス費支給制度』もあります。基本的には、1世帯につき1カ月の介護費用が4万4400円を超えた場合に、申請できる制度です」

ほかにも、世帯内に介護を必要とする人とは別に、高額な医療費がかかっている人もいる場合に申請できる「高額医療・高額介護合算療養費制度」がある。これは年間の限度額を超えた分の金額が支給されるというもので、限度額は世帯ごとの所得や年齢で異なるが、基本は年額56万円。

介護休業は最大3回に分けて利用可能に

働きながら介護をする場合には、介護休業や介護休暇を活用すると、あらゆる負担が軽減されるだろう。介護休業は、1人の家族につき通算93日まで取得でき、その間給与の67%相当が支給される。介護休暇は、一年度内で最大5日間取得できる。

介護休業、介護休暇ともに、利用者の声に沿うように、使いやすく制度改正されているそう。

「介護休業は、上限の93日を最大3回に分けて取得できるようになりました。介護を始める時、入居施設を選ぶために見て回りたい時、家族の容態が急変した時など、分割して使えます。介護休暇は、半日単位で取得できるようになったので、『半休を取って、午後だけ病院に付き添う』という使い方もできるんです」

時代に即して、介護関連の制度が改正され始めているようだ。親の面倒を見る頃には、さらに制度の使い勝手がよくなり、働きながら介護しやすい環境が整っているかもしれないが、しっかり備えておいて損はない。
(有竹亮介/verb)