未婚のシングルマザーは対象外って本当?

配偶者を失った人への救済措置「寡婦(夫)控除」とは

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今年6月、未婚のひとり親世帯に対する「寡婦(夫)控除」のみなし適用が、各地方自治体で実施され始めた。厚生労働省も、税制の改正を財務省などに求めることがニュースとなった。

そもそも「寡婦控除」とは? ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに、その内容やメリットを教えてもらった。

控除の対象は配偶者と別れた独身者

「『寡婦(夫)控除』とは、配偶者と死別または離婚したことにより独身となった人が、要件を満たす場合に所得税や住民税の控除を受けられる制度です。『寡夫』と表記されるように、女性だけでなく男性も対象になりますが、男女で控除の内容に差があります」(氏家さん・以下同)

寡婦控除の対象は、配偶者と死別または離婚してから婚姻をしていない人、または配偶者の生死が明らかでない人。そして、控除を受けるための要件は2つある。1つは、扶養親族がいる、または生計を一にする子どもがいること。もう1つは、合計所得金額が500万円以下であることだ。

女性は、要件のどちらか片方に当てはまれば「一般の寡婦」として、27万円の控除が受けられる。要件2つともに当てはまる場合は「特別の寡婦」として、35万円が控除される。

しかし、男性の場合は、要件を2つとも満たさなければ寡夫控除は受けられず、また控除額も27万円のみとなる。

「もう一つ重要なポイントは、未婚のひとり親は寡婦控除の対象にならないということです。地方自治体でみなし適用が始まっていますが、その内容は保育料の軽減や児童扶養手当の支給基準緩和など。税金は控除されません」

寡婦控除は、1951年に創設された制度で、もともとは戦争で夫を亡くした妻を支援する目的のものだったそう。未婚のひとり親が対象ではないことや、男女で差があることは、創設理由に由来しているのかもしれない。ちなみに、寡夫控除は、寡婦控除が創設された30年後の1981年に創設された。

ひとり親家庭のための児童手当を活用しよう

ただし、寡婦(夫)控除が使えないからといって、すべてのシングルマザーやシングルファーザーが補助を受けられないわけではない。

「ひとり親家庭には、児童扶養手当が支給されます。所得制限限度額があるので、収入に応じて支給額は変わりますが、第一子には月額最大4万2330円、第二子には月額最大1万円、第三子以降は1人につき月額最大6000円が受け取れます」

支給額の基準となる所得は、自身の所得に養育費の8割をプラスした金額が適用されるため、児童扶養手当を満額受け取ることはほとんどないという。しかし、ことし8月に制度が改正され、児童扶養手当が全部支給される所得制限限度額が引き上げられた。例えば、子どもが1人の場合、限度額は収入ベースで130万円から160万円に上がっている。それだけ支給されやすくなったというわけだ。

「また、東京都では児童育成手当を用意しています。これも所得制限はありますが、子ども1人につき月額最大1万3500円が受け取れます。児童扶養手当と違い、子どもの人数に応じて支給額が減ることはありません」

各種手当に加え、子どもがいればひとり親家庭に関わらず受け取れる児童手当も含めれば、それなりの金額になる。また、年収や子どもの人数によって変化するが、保育料が減額・免除される場合もある。

「シングルマザー・シングルファーザーでも、制度さえ知っていれば、すぐに金銭的に立ち行かなくなることはないといっていいでしょう。ただし、手当はずっと受け取れるわけではないので、給付金をうまく使いながら、安定的な収入を確保することが大切です」

死別や離婚を経たとしても、未婚だとしても、ひとり親を支える制度はいろいろあるので、制度をしっかり確認しておきたい。

(有竹亮介/verb)

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