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MAB投信だより

顧客ニーズに応えた、顧客本位の商品性を有する今年設定の3ファンドをご紹介

提供元:三菱アセット・ブレインズ

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サマリー

●2018年に設定されたファンドのなかには、新たな商品スキームを採用したファンドが目立った。
●代表的なものは、①キャッシュ比率の高まりに応じて運用管理費用を引き下げるスキーム、②基準価額に対して定率の分配目標を謳うファンド、③元本確保を目指しつつリターン獲得を図るファンドだ。
●これらはいずれも、顧客ニーズに応えた、顧客本位の商品性を有していると思われる。

1.ファンドのキャッシュ割合に応じて運用管理費用を低減

今回は年内最後ということもあり、今年設定された投資信託の中で、顧客ニーズを捉えたファンドや顧客本位の目線による商品性を有しているファンドを取り上げてみたい。

今年はテーマ性やリターン追求型だけでなく、顧客本位の業務運営の浸透もあり、魅力ある商品性のファンドが設定された年でもあると感じている。

なお、取り上げるに当たって、ファンドのリターンや残高は考慮しておらず、また、個人的な見解で選んでいることについては誤解のないようにお願いしたい。

野村アセットが設定・運用する「ストップライン付き野村ワールドボンド・ファンド」は、外国債券(ヘッジ付き)と国内短期債券の2つのマザーファンドを用いたファミリーファンドで、基準価額の上昇とともにストップラインを引き上げてリターンを確保するとともに、基準価額がストップラインに近付くと安全資産である国内短期債券のウェイトを引き上げる機能を有している。

そして、基準価額が一定期間(22営業日連続)ストップラインを下回ると、繰り上げ償還となるリスク限定機能付きのファンドである。

注目したいのは、このファンドで適用する、外国債券の構成割合に応じて運用管理費用(信託報酬率)の水準を変動させる商品性だ。

外国債券の構成割合が低くなるに応じて、実質的に運用されていない安全資産である国内短期債券の構成割合が高まることを考慮し、全体の運用管理費用の水準も引き下げられる。

従来より、配分比率を固定したバランスファンドでは、「安定・安定成長・成長型」における債券と株式の構成割合によって費用水準に違いがあるファンドもあったが、キャッシュ比率や資産の配分比率を変動させるファンドにおいては見られなかったものだ。

図表1 外国債券の組入比率と運用管理費用の関係

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※別途、契約料・保証料として0.19%がかかる
※野村アセット提案資料よりMAB作成

これまでは、運用されていないキャッシュ相当分の保有割合が高くても、ファンド全体として固定の費用設定をするファンドが多かった。

このファンドのように、運用実態に則した費用水準でファンドを提供する試みは顧客本位であり、非常に興味深い商品性と言えよう。

2.基準価額に対して、定率の目標分配率を謳う

三井住友アセットが設定した「ライフジャーニー」や「人生100年時代・世界分散ファンド」は、定率の目標分配率を定めたファンドだ。ひと頃の高い分配を行うファンドへの懸念に対して、最近は安定した分配を目指す商品性が増えてきた。

また、資産の取り崩しも念頭に置くシニア層においては、一定の分配を行う商品性へのニーズは強かった。特に、年金の給付がない奇数月に分配するタイプは好評だ。

その中でも、基準価額に対して定率による分配は、分配金の金額は安定しないものの、定額による分配と比べて、長期にわたって分配が継続されるメリットがある。

また、フィデリティ退職・投資教育研究所の野尻氏が以前から唱えられているように、収益率の変動によってトータルの分配総額に大きな開きが生じる(収益率配列のリスク)を抑えることができる。

投資信託の買い付けにおけるドルコスト平均法の効果の裏返しとして、定率による払い出しは、基準価額の上昇時には多くの金額が分配され、下落時には抑えられるといった効果が期待できる。

図表2 分配金の定額と定率による特徴

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こういった商品性を備えたファンドの利用価値は高いものと思われる。個人の資産形成・資産防衛における「人生100年時代」にフィットした商品性を有したファンドと言えよう。

3.元本確保を目指しつつ、市場の上昇時のリターン獲得を図る

目新しい商品性と言えば、アセットマネジメントOneが設定した「ゴールドマン・サックス社債/国際分散投資戦略ファンド」は外せない。

このファンドは、単位型で10年満期ではあるが、長期で保有することにより、運用管理費用を考慮した実質的な元本確保を目指しつつ、国際分散投資戦略による市場上昇時のリターン獲得を図るスキームに特徴がある。

当ファンドは「2018-07」の設定後も、「09」「10」「11」「12」と設定が続いており、相応の資金を集めている。

もちろんリスクは存在する。それはゴールドマン社債への信用力に依存する点になるが、それが安定している限りは満期時の元本確保が見込まれる。

図表3 元本確保+リターン獲得を目指す仕組み

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投資経験の少ない個人、法人に対するニーズは強く、証券会社、銀行等をあわせて60社以上が販売しており、複数回にわたり販売した会社も多数ある。

設定時の市場水準によってリターン上積みの機会は左右されるが、こういったファンドによって投資への成功体験を掴んでもらいたい。

(MABファンドアナリスト 勝盛)