芸能人の投資哲学インタビュー

同じ恰好で少数民族の中に飛び込む写真家

ヨシダナギがアフリカの少数民族との交流で培ったシンプルなお金観

TAGS.

写真家・ヨシダナギ、まずはこの日行われたラジオ収録のお話から

アフリカやアマゾンの奥深くなどに出向き、少数民族や先住民族と同じ恰好になって打ち解け、ひたすらかっこいい写真を求める……という撮影スタイルで話題なのが、写真家のヨシダナギさん。文化のまったく違う彼の地では、日本と一線を画すような現地のお金エピソードも数知れず。この日はそういった話も含めた旅のエピソードを、アンビエントな音楽を挟んで披露する初の冠ラジオ番組『野性に還ろう。Sponsored by リクルートキャリア』(LOVE FM)の収録日だ。

_31a1961%e3%81%ae%e3%82%b3%e3%83%94%e3%83%bc

「もう収録は4回目ですが、慣れないです。緊張はしなくなってきましたが、しゃべることが得意じゃないので…。これまでは、MCさんに私のつまらない話の反応をさせるのが申し訳なくて、実はラジオが一番苦手だったんです。でもレギュラーは毎回同じ話じゃないので、その点は楽しいですね」

そんなヨシダさんの1/fゆらぎを感じるような美声と音楽を楽しむラジオプログラムが『野性に還ろう。Sponsored by リクルートキャリア』。だが、ヨシダさん、ラジオ嫌いに加え、カメラも嫌いだという。えっ、写真家なのに!?

現地でのモデル料は交渉とチップ文化

「カメラは重いので嫌いですが、これが一生続く仕事だとは思っていないんです。少数民族や先住民族の人が小さいころからずっと好きで、その格好良さを誰も共感してくれなかったんです。でも写真を通してそのヒーロー像を発表したら、皆さんが共鳴してくれたことが、友だちを褒められているようで嬉しいというか。だから彼らの格好良さを紹介するためなら頑張れる、くらいで我慢している感じです」

写真とは大好きな彼らを紹介するための手段に過ぎない。「この先世間に飽きられても、もともと趣味だから現地に行き続けるし」くらいに考えている。それだけ思い入れがあるわけだ。そんな大好きな人たちのもとに訪れるわけだが、とはいえお金のやりとりは当然ある。たとえば撮影の際に支払うモデル料。

enawene8

「所属事務所はないですけど、子供だったらお父さんやお母さんが徴収しますし(笑)、モデルさんにお金を支払う感覚と一緒です。最初はふっかけられますが、そこはまあ、ほどほどに折り合いを付けて…。私が高い金額を出しちゃうと、次に来たカメラマンが苦労するんですよ。私もそれで散々苦労してきているんですよね」

なかには観光地化された地域もあり、住民たちも撮られ慣れているのだとか。

「料金設定があるというよりチップみたいなもので、『満足したならちょうだい』ってことなんですね。出さないなら『満足していないんだね』っていう解釈なんです。こちらのお礼の表現がお金ということなんですね。日本ってどうしてもチップって“気持ち”って捉えがちですけど、欧米のようにもらって当たり前、払って当たり前の感覚なんですよ」

人とシェアすることに慣れると、やがてお金に執着しなくなるとか。

「こんなこともありました。いつのまにかお金がなくなっていて困っていたら、逆に現地の人がお金をかき集めて切符を買ってくれたことがああったんです。きっと私の仲良くしたいという気持ちを買ってくれたから、切符を買ってくれたんだなって。帰れなければ危うく村長に嫁ぐところでしたけど。だいたい4番目か5番目の妻に、って言われるんですよね(笑)」

たくさんお金を持つことが、必ずしも豊かではないという。たとえば富の形が家畜の数だったりアクセサリーの数だったり。ある意味資産が可視化された社会で、「持っている人が払って当然」な感覚。しかしお金を出してほしいというより“シェアしてほしい”というニュアンスらしい。そのあたりは、人と人との距離の近さに由来するようだ。

日本と違う人の近さから生まれた、アフリカならではのお金文化

「近所の人が家にいたり、私のテントで寝ていたりするので、一度しゃべったらもう友だちの仲で、友だちだったら助けてくれるよねって感覚ですよ。家族親戚単位で面倒を見合っている感じです」

201511260194

距離が近く、結びつきが強い。だから日本で「隣に誰が住んでいるのか知らない」なんて話は理解できないらしい。そして助け合わないと生きていけない環境であることも大きい要因であるようだ。たとえば電気やガスや水道が通っていない田舎では、貨幣経済が成り立っていない集落もあったそう。

「結婚や挨拶は家畜を持っていくところも。さすがにモデル料として家畜を持っていくわけにはいかなくて、私はお金で払うんですけど、すると彼らは片道3日くらいかけて町に出かけて、牛とかに替えるんですよね」

だが、日本よりもちょっと進んでいるところもあった。

dsc09811

「ネット環境がそんなによくないのに、ガイドが電話を使ってボタンを押すだけでお金を送金していて。それはいろんな国で見て、進んでいるなって思いました」

そんなエキサイティングな経験を経て、日本に戻ってきたヨシダさんの“お金観”はどのように醸成されているのだろうか。

「日本に帰って1週間くらいでリセットしちゃいますけど、お金を使うのは好きなんですよね。貯金なんてぜんぜんしない。課金してからスマホゲーム始めるタイプです。面白いゲームを長くアップデートしてもらうために、クリエイターさんにキッチリお金を払います(笑)」

享受するサービスから、ちょっとした感謝の気持ちまで…何かの対価としてお金を“積極的に”支払うのがヨシダさんのお金観。それはすごくシンプルで、実は当たり前の価値観なのかもしれない。

(吉州正行=取材・文、小島マサヒロ=撮影)

【プロフィール】
ヨシダナギ
1986年生まれ。アフリカの先住民の格好良さに憧れて、2009年から単身でアフリカに通う。独学で写真を学び、17年に日経ビジネス誌「次代を創る100人」、雑誌PEN「Pen CREATOR AWARDS」に選出されたほか、講談社出版文化賞【写真賞】を受賞。初冠ラジオ番組『野性に還ろう。Sponsored by リクルートキャリア』は福岡のLOVE FMで毎週木曜19:30から放送中!

注目キーワード