税制改正後、住宅購入関連の制度が手厚くなるって本当?

税理士が教える“消費税増税前に買うべきもの”

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2019年10月1日、税制改正が行われる。消費者である僕らに影響が及ぶところといえば、消費税が8%から10%に上がることだが、消費税以外にも変更点は多いようだ。

税理士の新井佑介さんに、税制改正前または後に買った方がいいものを教えてもらった。

「自動車」は消費税8%のうちに買うべし

単純に消費税が2%上がるため、あらゆるものを税制改正前に買った方がよさそうが、中でもとりわけ改正前に買うべきものとは?

「自動車ですね。2019年10月に自動車取得税が廃止されるので、改正後の方が得な気がしますが、消費税増税分の2%は大きいです。自動車種別割によって、排気量1000cc以下の自動車は毎年4500円減税となりますが、それで2%分取り戻すのは現実的ではないですね」(新井さん・以下同)

例えば、税制改正後に排気量1000cc以下の自動車を300万円で買うと、消費税増税分2%の6万円が増えることになる。これを種別割の4500円で取り戻そうとすれば、13年以上乗ってようやく回収できる計算になる。

「自動車取得税が廃止された分、新設される環境性能割は、環境性能が悪い車に課税する制度ですが、2019年10月1日から2020年9月30日の間は税率が1%軽減されます。つまり、前述の300万円で車を買う場合であれば、消費税増税分が実質3万円に減ることと同等です。ただし、それでも種別割でまかなうには6年以上かかる上、環境性能割自体は上乗せされます」

種別割は排気量によって減税額が変わり、排気量1000ccを超えれば4500円を下回っていくため、さらに2%分を取り戻すことが難しくなる。

「買う前に使用年数まで考えて増税分を回収するくらいなら、消費税8%のうちに買う方が金銭面はもちろん、気持ち的にもラクだと思います」

「居住用住宅」は税制改正後の方がオトク…?

では、逆に税制改正後に買った方がいいものはあるのだろうか。

「住宅は、改正後の方がいいかもしれません。2019年10月1日から2020年12月31日までに居住用の住宅を購入・入居した場合、住宅ローン控除が3年延長されます」

現行の住宅ローン控除は、購入から10年目までの制度だが、改正後の対象期間中に購入かつ入居すると13年目まで控除されるのだ。そして、延長された3年間で、最大で購入費用の2%が控除される。

例えば、税制改正後に3000万円(※)の住宅を35年ローンで購入すると、消費税増税分60万円の負担が増えるが、住宅ローンを支払い始めて11年目から13年目にかけて、その60万円分が控除されるのだ。つまり、将来的に60万円が戻ってくるといえる。
(※)土地を含まない建物だけの価格

「さらに、収入によっては住宅購入時に『すまい給付金』が受け取れるので、税制改正後の方がプラスになる可能性があると考えられます」

現在「すまい給付金」の受給対象は年収510万円以下だが、税制改正後は年収775万円以下まで引き上げられ、より受け取りやすくなるのだ。給付額は収入によって異なるが、年収500万円程度であれば、40万円ほどとのこと。

「住宅に関しては、焦って購入を決めず、2020年末までの入居を視野に入れて吟味してもいいでしょう」

増税後も価格据え置きの可能性あり!?

そのほかの商品に関しては、一概に「改正前がいい」とは言えないようだ。

「競合他社が多い商品の場合、他社が改正前と価格を変えず、自社だけ増税分を価格転嫁して値上げしたとすると、価格競争に負けますよね。だから、価格を変えない企業が出てくると思います。ただし、増税分2%を企業が負担することになるので、すべてが価格据え置きというわけではないでしょう。需要に応じて価格設定は変わると考えれるので、増税されてからでないと断言できませんね」

最後に一つ、新井さんから「今回挙げた例はすべて、税制改正前の駆け込み需要や消費税増税での便乗値上げはないと仮定した場合のものです。実際はもう少し複雑になるかもしれません」との注意喚起があった。商品そのものの価格をチェックすることが、大前提というわけだ。

すべてが値上げすると思いきや、今回の税制改正ではそうでもないかもしれない。だが、自動車購入を考えている人は、早めに動いた方がよさそうだ。
(有竹亮介/verb)

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