消費税だけでなく、住宅・自動車に関する部分も変更
2019年10月の税制改正で変化するもの
平成も残りわずかとなったが、元号の変更と同じだけ日本国民の生活に影響を与えるものが、2019年10月1日に行われる税制改正だ。
税金面でどのような変化が生じるのか、税理士の新井佑介さんに教えてもらった。
消費税が8%から10%にUP
2019年10月に行われる税制改正で、僕らにどのような影響が及ぶのだろうか。
「法人税や関税の見直しも行われますが、個人の一般消費者にとってもっとも影響してくるところは、消費税が8%から10%に引き上げられることでしょう」(新井さん・以下同)
以前から話題になっていた消費税10%が、いよいよ今年の10月から現実のものとなる。ただし、すべての商品の消費税が10%に引き上げられるわけではないという。
「国内で初めて『軽減税率制度』が採用され、『飲食料品(食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く))』『定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞』は8%の対象となります。ただし、飲食料品であっても、外食の場合は10%が適用されます」
生活を営む上で必要不可欠なものに関して、増税の影響を少なくするため、「軽減税率制度」が取り入れられるのだ。
税制改正後は住宅ローン控除が延長
飲食料品・新聞以外は消費税が10%となるため、支出が増えることは容易に想像できる。しかし、「出費が大きいものに関しては、対策が講じられます」と新井さんが教えてくれた。
「住宅に関しては、2019年10月1日から2020年12月31日までに購入・入居した分において、住宅ローン控除が現行の10年から13年に延長されます」
住宅ローン控除の11年目以降の3年間で、最大で購入費用の2%が控除されるため、消費増税分2%が戻ってくることと同等になる。
「住宅購入の際に受け取れる『すまい給付金』も、現在は年収510万円以下の方が対象ですが、税制改正後は年収775万円以下の方まで対象が引き上げられます。給付額は収入によって異なりますが、年収500万円程度であれば、40万円ほど支給されます」
給付金も受け取りやすくなり、住宅においては増税分を取りもどせる可能性が高いというわけだ。ただし、これらはすべて居住用住宅の場合。貸付用住宅は、住宅ローン控除もすまい給付金も適用外となる。
自動車の環境性能に応じた新税登場
「もう一つ、消費税増税によって新たな制度が生まれるのが自動車です。自動車取得税が廃止となり、新たに環境性能割という新税が導入されます。排気量によって税率が変わる仕組みで、環境性能がいい車は非課税となります」
さらに、2019年10月以降に新車新規登録をうけた自家用乗用車は、自動車税の減税対象となる。排気量によって減税額は変わるが、1000cc以下であれば、保有し続けている限り毎年4500円減税される。
消費税が2%上がる影響で、消費が落ち込むことを避けるため、国も対策を用意している。10%に上がることばかりに目を向けて尻込みせず、どんな対策が講じられているかしっかり確認をして買い物をしよう。
(有竹亮介/verb)
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新井佑介
AAG arai accounting group 代表。慶応義塾大学経済学部卒業後、BIG4系ファームを経て現職。MASコンサルティングや様々な融資案件に積極的に関与している。