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1秒後から1カ月後まで、価格の変動を読む

AIを使った市場の予測に挑む「AlpacaJapan」

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AIと金融市場予測との関わり方は?

ニュースなどで盛んに聞く「AI(人工知能)」。さまざまな領域のビジネスで活用されていくと言われるが、実は投資の分野にもすでに進出している。

そのひとつが、AlpacaJapanの提供するAIを使った市場価格予測システム。大まかに分けると、約1カ月後の市場を予測する「長期予測」と、わずか1秒後から約30分後までの市場を予測する「短期予測」の2つを提供している。

いったいどのような形で活用されているのか。そもそも、どんな仕組みでAIが市場を予測するのか。AlpacaJapanの代表取締役CEOを務める四元盛文氏と、北山朝也氏に聞いた。

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同社のシステムは、金融機関や大手事業会社、証券会社など、「機関投資家」といわれる資金運用を専門に行う法人・団体の間で活用され始めている。たとえば同社は、今年3月に「じぶん銀行」からの委託を受けて、外国為替の月間最安値を探索するAIを開発した。具体的には、ひと月の中で各通貨をより安値(円高)で購入できそうな日をAIが予測。顧客が設定した通貨と金額(円)に応じて外貨を購入するシステムだ。上述したAIの長期予測が活用されている。

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また今年5月末には、金融市場価格予測アプリも開発した。「AlpacaForecast AI Prediction Matrix」というもので、世界の金融ニュースやマーケット情報を発信するブルームバーグから提供されている。こちらも、国内外の機関投資家や多額の資産運用を行うプロ投資家を中心に使われて始めている。

「弊社では、AIを使った共通予測基盤『AlpacaForecast』を開発し、これをもとにさまざまな企業のプロジェクトにAI予測システムを提供してきました。一方、さらに多くの方に使っていただこうと、ブルームバークと提携してアプリを開発した形です」

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これまでの歩みについてそう語るのは、同社CEOの四元氏。投資理論や各種情報にもとづいた投資ノウハウが確立され、それが「当たり前」になる中、人が到達しない領域の予測をし「人ではなかなか解明できないことを補完できる存在」として、AIによる市場予測にチャレンジしたという。「弊社のAIがサポートすることで、人がより人らしいトレードアイデアとクリエイティビティーを発揮できる。そのためのシステムです」と続ける。

AIの能力を使った、予測システムの裏側とは

では、AIはどのように予測をしているのか。同社の北山氏は「長期予測と短期予測で方法が異なります」という。

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「長期予測では、各国の株式や債券、通貨、先物など、ありとあらゆる時系列データを収集。それらのデータ15年分をAIに読み込ませ、各数値の関係を分析しています。そして、この関係をもとに予測を行っています。膨大なデータを15年追いかけて、それぞれの関係を見つけるのは人間には至難の業。そこにAIの価値があります」

数値の関係から市場価格を予測するため、AlpacaJapanのAIでは「予測だけでなく、なぜそうなるのかという根拠も示します」と、北山氏は説明する。長期予測の精度は、現時点で60%超えをマーク。投資の世界では高精度といえる。

一方、短期予測は別の方法で行う。カギになるのが「ティックデータ」で、これは株式や債券、為替などの価格推移について、1秒間に何十回〜何百回というスケールで細かく送られるデータのこと。たとえば為替の場合、「1ドル113.84円」と表示されていても、さらに細かな単位でつねに価格は動いている。それを詳細に記録したデータで、なかには1秒間に200回送られるものもあるほど。チャートはその値動きをグラフで表示しているに過ぎないと言える。

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「このティックデータをAIに読み込ませます。AIはパターンを分析するのが得意なので、データに隠れている値上がり・値下がりのパターンを探索。それらを学習して、1秒後から30分後までに起きる価格変化を予測します」(北山氏)

いずれの予測方法も、人間には到底できない作業。その部分をAIがサポートすることで、投資の次のステージに上がることができるかもしれない。

四元氏は「投資の特徴は、勝ち負けや価値観が人によって千差万別なこと」だという。たとえば1万円の利益が出ても、喜び方は人それぞれ。加えて「株や債券・為替、短期・中期・長期でのトレードなど、人によって違うユースケースがそれぞれに存在する」と続ける。それほど多様な世界だからこそ、AIによる高度な分析がさまざまなユースケースに最適化をもたらす価値を新たに創造できるかもしれない。

また北山氏は、投資におけるAIの特徴としてこんな意見を述べる。

「今さまざまな分野で活用されるAIは、画像認識をはじめ、人間ができることをAIにやらせているケースが多数。つまり、人間が答えを知っており、それをAIが学習することで精度が高まります。しかし、価格予測の分野は人間が答えを知りません。だからこそ、どう仮説検証のプロセスを立ててAIに学習させるかが重要。AIを研究する視点から見ても、面白いと思います」

同社は、今後もシステムのブラッシュアップを進め、日本のみならず世界中の機関投資家に提供していく。ブルームバーグで提供する予測アプリも「お客様のフィードバックをもとに技術を高め、さらに多くの方に提供できるように体制も整えていきたい」と四元氏。海外クライアントからの引き合いは多く、「世界の金融市場で人とAIがコラボできるプラットフォームを」と展望する。

AlpacaJapanがチャレンジする「AI×金融市場」。世界の金融市場でどのような存在感を放っていくのか、AIの最前線を知る意味でも注目である。

(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2019年2月現在の情報です

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