30年後の貨幣価値は、現在の半分になる…!?

“インフレ”による生活者への影響とは

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2013年1月に日本銀行が定めた目標「インフレターゲット2%」。2%のインフレになることで購買活動が活発化し、景気がよくなる…という想定で始まったもの。

ちなみに「インフレ」とは、簡単に言えば物価上昇のこと。「2%」とは前年比上昇率の目標値であるため、政府や日銀は毎年2%の物価上昇を目指しているということだ。

このまま物価が上昇していった場合、どのようなことが起こるか、ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんに教えてもらった。

インフレによって起こる貨幣価値の下落

「2013年よりも前から、徐々に物価は上がってきています。インフレは徐々に忍び寄ってくるので気づきにくいですが、例えば小麦粉1kgの平均価格(東京都区部小売価格)は1988年の203円から、2018年には251円に上がっています。トイレットペーパー12個入りの平均価格は1988年が173円、2018年は414円です」(高山さん・以下同)

約30年の間に、物価が大きく上昇していることが見て取れる。それだけ、生活にかかるお金が増えているというわけだ。インフレに伴い、貨幣価値も変動していくという。

「総務省の『小売物価統計調査』では、年率2%のインフレが続いていったら、現在の100万円の価値が、10年後には82万円程度、30年後には55万円程度まで下がるという数値が出ています」

30年後に貨幣価値が約半分に下がってしまうということは、収入が増えない限り、現在の生活水準を保つことは極めて難しいといえる。

「また、2019年10月に消費税が10%に上がりますが、最終的には21%まで上がるという説も浮上しています。物価上昇と消費税上昇によって、これからの時代は家計がかなりきつくなることが予想されます」

預貯金だけでの運用がもっともハイリスク

「今後は、金利0.001%の預貯金だけで運用することが、一番のリスクといえます。モノの価格が上がる分、自分の資産も増やしていかないと、生活は厳しくなっていくでしょう」

「資産を増やすためには、分散させる必要がある」とのこと。例えば、預貯金のほかにつみたてNISAやiDeCoを活用したり、外貨に投資をしておいたり。投資信託やETFなど、少額から購入できる商品に投資することも有効なのだそう。

「30代、40代の方は給与額をキープできたとしても、将来安泰とは限りません。これからは若ければ若いほど、運用スキルの差が将来の資産の差となって顕著に出てくると思います」

高山さんに具体的な運用法を聞くと、「インフレ率2%で上昇していくことを考えると、3~5%の利回りでの運用が望ましい」と教えてくれた。金融庁は「世界経済の成長率は4~5%」と発表しており、リターンが年5%程度のバランス型ファンドも増えてきているという。難易度はそこまで高くはなさそうだ。

後資金も自助努力で確保するべき時代

インフレによって影響を受けるのは、現役世代に限ったことではない。定年退職して年金を受け取るようになってからも、同じことが言える。

「70代、80代になった時に仮に年金受給額がキープできたとしても、物価が上がれば、年金だけではカバーできなくなります。老後資金は、年金とは別に夫婦で1500万円は用意しておけると安心といわれています。しかしこれは、自宅購入済みの夫婦が最低限の生活レベルを保てる金額です」

賃貸住宅で家賃を払い続けたり、夫婦での旅行や友達との食事などを楽しんだりするのであれば、2500万~3000万円は用意しておかないと難しいようだ。

「高齢者を取材していてわかったのですが、80歳ぐらいから老人ホームに入り、そのまま90歳ぐらいまで長生きする方も多いようです。一般的に老人ホームは、東京23区内で最低でも月25万円、関東郊外でも月20万円はかかるので、その費用も用意しておいた方がいいでしょう」

インフレが続く中で老後資金も必要になってくることを考えると、早めに動き出すに越したことはないが、50代からでも決して遅くはないそう。

「例えば、50歳から毎月3万円ずつ、年5%で運用できれば、定年までの15年間で800万円程度に増やせます。タンス預金だと540万円なので、かなり差が出ますよね。iDeCoやつみたてNISAの活用もおすすめです」

このまま物価も消費税も上昇していき、自分自身で資産を確保すべき時代になっていくことはほぼ間違いなさそうだ。お金を増やすための運用を始めるのは、今なのかもしれない。
(有竹亮介/verb)

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