専業主婦でも出産前後は年金保険料免除に!
2019年4月から変わるお金のハナシ
多くの会社の新年度が始まる4月1日。すべてをリセットするような清々しい気分になるこの時期に、お金に関する新たな制度がスタートするようだ。妊娠中または出産したばかりの女性、その夫である男性に関係してくることらしい。
ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに、2019年4月1日から始まる新制度について教えてもらった。
産前産後の4カ月間は年金保険料免除に
「2019年4月から、国民年金保険料の産前産後期間の免除制度が始まります。国民年金第1号被保険者が出産する際に、出産予定日または出産日が属する月の前月から4カ月間、国民年金保険料が免除される制度です」(氏家さん・以下同)
第1号被保険者とは、日本国内に住む20歳以上60歳未満の自営業者や学生、無職者が当てはまる。つまり、今回の免除制度は、専業主婦や自営業の女性のための制度といえそうだ。
免除になる期間は、産前産後の4カ月。例えば5月1日が出産予定日であれば、その前月の4月から7月までの4カ月間、国民年金保険料を支払わなくてもいいというわけだ。ちなみに、第1号被保険者の国民年金保険料はひと月1万6410円(2019年度の場合)であるから、合計6万5640円免除される。
「免除の申請は出産予定日の6カ月前から、市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口でできます。産前であれば、母子健康手帳を持っていきましょう」
申請受付開始は2019年4月1日からだが、2019年3月31日以前に出産した場合も、免除期間に該当していれば申請できる。例えば、3月1日に出産した場合、前月2月と3月の保険料は対象とならないが、4月分・5月分の保険料は免除される。
ちなみに、産前に申請し忘れたとしても、産後に申請することが可能。ただし、産前や出産月の保険料は免除されなくなってしまうため、事前に動いておく方がよさそうだ。
免除制度は自営業サポートの第一歩
国民年金保険料免除制度は、「自営業の方に対するフォローの第一歩といえる」と、氏家さんは話す。
一般的な会社員の場合、事前に産前産後休業取得者申出書を届け出ていれば、産前産後休暇中(産前42日、産後56日)の健康保険料・厚生年金保険料が免除される。また、育児介護休業法によって、育児休業中については満3歳まで健康保険料、厚生年金保険料が免除されるのだ。
「一方で、これまで自営業の方に対する免除制度はありませんでした。今回の新制度は、金銭的に大きな支えとなることでしょう。第1号被保険者に関して、国民健康保険料の免除はまだ始まっていないので、今後さらなる改善が期待されますね」
贈与税非課税措置が2021年3月まで延長
国民年金保険料以外にも、4月1日を境に変更される制度があるようだ。
「もともと2019年3月31日までという期限が決まっていた教育資金一括贈与非課税措置、結婚・子育て資金一括贈与非課税措置が、両方とも2021年3月31日まで延長されます」
教育資金一括贈与非課税措置とは、親や祖父母が30歳未満の子や孫に金融機関を通じて1500万円以下を贈与し、その資金が教育費に使われた場合に、贈与税が非課税となる制度。
結婚・子育て資金一括贈与非課税措置は、親や祖父母が20歳以上50歳未満の子や孫に金融機関を通じて1000万円以下を贈与し、その資金が結婚資金や子育て資金として50歳になるまでに使われた場合に、贈与税が非課税となる制度。
「ただし、4月1日以降はどちらも、贈与を受ける前年の所得合計額が1000万円を超える場合、措置を受けられなくなります。所得が高い方は要注意です」
お金の心配をせずに日々の生活を送れるよう、国の制度は徐々に変わりつつあるようだ。今まさに妊娠中・子育て中の家庭はもちろん、将来子どもを持ちたいと考えている家庭もチェックしておくべきだろう。
(有竹亮介/verb)
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氏家祥美
ファイナンシャルプランナー、キャリアコンサルタント。ハートマネー代表。お金と働き方の両面から幸福度の高い暮らし作りを支援している。ノルウェーの金融教育を伝える本『北欧式 お金と経済がわかる本 12歳から考えたい9つのこと』を監修。