プロが語る!資産形成のすゝめ

~常識通りでは相場の荒波は乗り越えられない?~

「相場対応力」アップが勝者への近道!

提供元:岡三証券

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巷には、投資に関する解説本が溢れている。

投資に関するセオリー・基本を理解することや銘柄を当てることが重要である点に異論は全くない。しかし、そうした型にはまった知識や「お宝銘柄探し」だけでは、相場の荒波は乗り越えられないと思っている。では、何が必要なのか?

実のところ、必要なツールが定型化できていないため、言葉にするのは大変難しい。しかし、一つ言えることは「相場の発する声を聞くこと」が必要ということだ。

独善的で意固地な投資スタイルが最も厄介で、投資家が陥りやすいのが相場の声を無視し「自滅」することだ。相場の匂いを嗅ぎわけ、相場に「対応」することがもっとも必要な要素である。「相場は相場に聞け」なのである。ここでは、相場の声を聞くために必要なスタンスを考えてみたい。

①「全戦全勝」や「買値」へのこだわりを捨てる

まず、投資家が至極当たり前と捉えている概念に、すべてのトレードで勝利することをもくろみ、また買値・売値を基準として売買することが挙げられる。

「損をしたくない」という当たり前の意識が強すぎると、すべてのトレードで勝ちたいと思ってしまう。そのこと自体否定すべきことではないが、数多くの弊害が生じる。(便宜上、すべてのトレードは買いから入ることを前提とする)

一つ目は、すべてのトレードに勝利することをもくろむため、「買値」にこだわってしまう。これは、最も陥りやすくかつ致命的な間違いで、さらに現在も多くの投資家がこだわっているポイントであろう。ゆえに、「何がいけないの?」と疑問に思う方がほとんどだと思う。

「買値」にこだわることの致命的な欠点は、相場に正対できないことだ。つまり、相場の発する声を無視し、「自分都合のトレード」をしてしまう点だ。

例えば売りと感じた時、相場の発する声に正対するなら、売却すべきだろう。だが、自分の買値が依然上方にある場合、「買値」にこだわっている投資家は売却せず、我慢する。その後、相場観通り下落し、地団駄を踏むこととなる。市場が一個人の買値を考慮して、動くはずもなく、自分都合の売買がアダとなる一例だ。

我慢した結果さらに上昇し、売らないことが幸いする場合もあろう。だが、トレードの再現性は低い。こうした売買は、偶然に左右されることとなり、コンスタントに利益を蓄積することは難しい。それどころか、いずれ致命的なミスを犯す可能性が高いだろう。

この一つ一つのトレードの勝敗にこだわり、「買値」を基準とすることにはもうひとつ重大な欠陥がある。全部のトレードで勝利をもくろむが故に、利食いゾーンに入ってくると「小利」で利益を確定したがる傾向に陥ることだ。すべてのトレードで勝利することができればこの方法でも問題はないが、非現実的だ。負けるトレードがある以上、大きく勝利できる可能性のあるトレードは「利乗せ」しなければならない。取れるときにとっておかないと、「コンスタント」に負けは巡ってくるのであるから、その負け分をまかなう事ができない。

つまり、「トータルの利益―トータルの損失=儲け」といった発想が重要なのだ。それには、「買値意識」は足かせにしかならず、相場の発する声に雑音が混じる。いいことはないだろう。

②トレンドを見極めて、追随する

次にまず、相場商品でなぜ「儲け」が出るのかを考えてみたい。私は、価格が一定期間、一定方向に動く特徴、すなわち、「トレンド」と呼ばれるものが発生するからだと思っている。「トレンド」が利益の源泉であるというのが持論だ。

半面、「トレンド」のない相場は、「脈絡のない動き」となるため、「当てもの」となる可能性が高い。ゆえに、重要なのは、各商品の「トレンド」を見極めることである。紙面の都合上、トレンドの見極め方については説明を省くが、投資家はこの「相場の方向」=「トレンド」を正しく認識し、その方向に自分のポジションを合わせていくことが基本だと思っている。つまり、トレンド認識が出来ない相場すなわち、レンジ相場等の「トレンドレス」な相場は、大きな利益が発生しにくいと認識すべきであろう。

ここで、問題となってくるのが、「順張り・逆張り」の議論だ。上述のロジックに沿うと、トレンドにポジションを合わせることから、「トレンドフォロー」となり、順張り投資ということになる。では、個人投資家が好む逆張り投資はダメなのか?

結論を申し上げれば、「ケース・バイ・ケース」ということになる。ただ、流れに逆らって投資することとなるため、利益が発現するまでに時間がかかる可能性が高い。逆張りは中長期投資向きといえよう。

一方で、相場が反転する保証はない。ならば相場が反転したあと、すなわち、トレンドが上方向に向いてから、投資を始めるほうが利にかなっていると私は思う。

つまり、逆張り投資は、トレンドという大波に逆らって投資し、その波を受け止めて、波が自分の想い描く方向に変化するまで我慢する必要がある。そして、今度はその想い描いた波を大きく育てる必要もある。その結果、順張り投資にはない大きな利益を生み出す可能性はあるが、相当な信念と時間が必要であろう。

一方で、大波に逆らって、目先のリバウンド=「小波」を狙う逆張りも存在する。この投資スタイルは、リスクとリターンが全く合っていないため、「自滅」パターンの投資だ。小波を欲するがために、大波に飲まれることが多く、致命傷となりかねないトレードとなる場合も多い。また、リバウンドで思惑通り反発しても、小波であるため利益の絶対額は少なく、利益を確定できる時間もわずかだ。

ゆえに売りそびれることが多く割りに合わない。逆張り投資は、流れに逆らって投資するため、その流れを受け止める覚悟と後の利益の拡大を我慢する度量が求められる。そうした投資スタイルが確立できなければ、利益の源泉であるトレンドに沿って、自分のポジションを合わせるほうが得策だろう。

なお、トレンドフォローはある程度上昇している流れに追随する投資スタイルのため、「ロスカット」が非常に重要となる。この場合、買値にこだわっていると、ロスカットできない。すなわち、「買値にこだわらない売買」と「トレンドフォローとロスカット」はリンクしている。相場の発する声に耳を傾けて、トレンドを認識し追随する。やがて、トレンド転換を察知したら速やかに方向転換する。この基本が実行できれば、大きく道を踏み外すことはなかろう。

銘柄を当てることよりも、相場に相対する基本姿勢がまずは大事だと思っている。

 

(岡三証券投資戦略部長 大場敬史)

※ 岡三証券自己売買部門の株式ディーラーとして10年近く日本株式のディーリング業務に携わる。現在は投資戦略部長として、日本株のストラテジー業務に従事。

(提供元:岡三証券)

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