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個人とお店をつなぐメルカリへ

「メルペイ」の登場でキャッシュレスの普及が加速?

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メルカリのお客さまにとって「振込申請」の手間が省ける

フリマアプリとして成長を続けるメルカリが、キャッシュレス決済をスタートした。今年2月にローンチした「メルペイ」である。

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メルペイは独立したアプリではなく、メルカリに追加された新機能。メルカリユーザーは、何かを売って得た売上金をそのまま決済に使えることとなった(売上金はポイントを購入することで支払いに利用可能)。実は、メルペイを別のアプリではなく、メルカリのアプリ内で機能させることに並々ならぬ想いがあったという。

「メルカリを使われているお客さまは、これまで売上金を街中のお店で使うには銀行への振込申請をする必要がありました。しかし、メルペイによって振込申請の手間が解消され、メルカリアプリだけで売上金が入るところから使うところまでを完結できます。メルカリのお客さまの利便性を向上させることが、メルペイを立ち上げた最初の目的です」

こう話すのは、メルペイ社の宮本祐一氏。キャッシュレス決済への新規参入が相次ぎ、ユーザーの獲得競争に注目が集まるが、メルペイについては、まず月間1200万人という膨大なメルカリユーザーの利便性を高めることが主題だ。

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「メルカリでは使わなくなったものを売ることが多く、いわばその売上金は“臨時収入”に近いと言えます。その分、お客さまが抵抗なく売上金を使えたり、新たな購買行動が生まれたりしやすいのではないでしょうか。例えば、コンビニでいつも買うもの+αのお買い物をする“自分へのご褒美買い”などが想定されます」

メルペイの強みは、すでに膨大なユーザーが決済に使えるお金(売上金)をチャージした状態にあること。そして、実はそれが店舗側にとっても大きなメリットになるという。

「メルペイの特長は、どんな人が使うか想像しやすいことです。周りのメルカリを使っている方を想像して、メルカリは若い女性が使っているからメルペイを導入するとそういった方がお店に来てくれそうなど、お店もイメージが湧きやすく、導入が進んでいます」

さらに、メルカリのデータ活用も行える。例を挙げると、メルカリの売上金を保有するユーザーが多いエリアでは、メルペイの利用需要が高いと考えられるため、導入店舗を増やす。あるいは、メルカリ全体での取引データから、特定のアイテムの買い替え需要を予測して店舗側がクーポンを発行するなど。ユーザーにとっても店舗にとっても、「メルカリの一機能」であることが最大のメリットとなっている。

メルペイの想いが表れた、導入店舗向けスタートキット

もちろん、メルカリユーザーではない人が、メルペイをきっかけにアプリを始める可能性もあるだろう。実際、売上金がなくても、銀行口座からお金をチャージすることで決済が可能だ。

そして、それ以上に“メルカリ外”のユーザーを呼び込む魅力がある。メルペイの決済システムだ。

2月からスタートしたメルペイは、まずドコモの電子マネー「iD」に対応。機能こそメルペイという名前だが、決済システムはiDのプラットフォームを使っている。さらに、3月14日からはQRコード決済の提供も開始。ユーザーがコードを表示し、店舗側が読み取って決済する。「今後は、店舗側がコードを提示する方式にも対応予定です」と宮本氏は続ける。

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ではなぜ、これがメルカリ外のユーザーを呼び込む一助になるのだろうか。

「メルペイは順次全国135万ヶ所で決済が可能となります。広く普及しているiD決済に対応したことが大きいでしょう。さらに、実はメルペイは、ドコモ以外のau、ソフトバンク、MVNOをご利用中のお客さまのiD利用も可能です。例えば、マクドナルドやセブンイレブン、マツモトキヨシなど生活に密着したお店で使えます。使える箇所の多さ、幅の広さは、決済サービス単体で見ても強みだと考えています」

このようなシステムを構築できたのは、エンジニアの技術があってこそ。iDをさまざまなキャリアで使えるようにすることや、メルカリ内に決済機能を付加するのは簡単ではなかったという。「プロダクトチームがメルカリのお客さまに便利に使っていただくことに徹底的にこだわった結果」だと宮本氏。既存のアセットを生かし、融合していったところにエンジニアの力がある。

さらに、それ以外のこだわりを聞くと、宮本氏はこんな点を挙げた。

「QRコード・バーコード決済の開始にともない、導入していただく店舗の方には、会計方法のマニュアルやお店に貼るメルペイのステッカーなどを同封したスタートキットを送付させていただきました。このキットも、お店の方が苦労なく使っていただけるようマニュアルを作りこみましたし、デザインにもこだわりました」

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お店に対するホスピタリティやケアも、メルペイで力を入れる重要な要素だという。CtoCという個人間の取引に加え、これからはお店とも手を取り合うことになる。

「今までは個人の生活を後押しするものでしたが、メルペイによってお店や事業者の方も後押しできるようになりました。だからこそ、メルカリとメルペイのつながりを活用して、個人とお店をつなぐ。そんな存在にしていきたいのです」

メルペイの登場は、メルカリの世界を個人だけでなく店舗にまで広げたことになる。結果、「メルカリで私物を売って、売上金で日用品を買う。支払いはメルペイで」という、現金を使わない循環が可能になった。

メルペイによって進化を遂げた、お金のサイクル。それは確実に、本当の意味でのキャッシュレスに近づいている。

(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2019年3月現在の情報です

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