忘れてしまうと、2割近い追加課税も…

相続税の前に「準確定申告」のチェックを

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亡くなった人の確定申告を、相続人が“代行”

誰かが亡くなったとき、親族にはさまざまな手続きが発生する。特に”お金“にまつわるのが、相続税。東証マネ部では、これまで相続税に関するいくつかのトピックを紹介してきた。

(参考)相続税に関する過去の記事

ただ、人によっては、相続税よりも前にやるべきお金の手続きがある。その一つが「準確定申告」だ。

「準確定申告とは、亡くなった人の確定申告を、本人に代わって相続人が行うものです。たとえば、確定申告をすべき人が8月1日に亡くなった場合、その年の1月1日〜8月1日分の申告が必要。その申告は亡くなってから4カ月以内に行わなければなりません」

こう話すのは、相続税を専門とする岡野雄志税理士事務所の福士和浩氏。もしも準確定申告の義務がありながら、相続人が申告を行わなかった場合、「無申告加算税が10〜20%、延滞税が年利2.6~8.9%ほど上乗せされます」と話す。

「相続税の申告期限は『亡くなってから10カ月以内』であるため、準確定申告の方を先に処理しなければなりません。相続税の相談に来られた方で、話を聞くとまず準確定申告を先行すべきケースは多数あります。税務署から準確定申告の通知が来るわけではないので、相続人が申告が必要かどうか確認しなければなりません」

では、どんなケースで準確定申告が必要なのか。これは、あくまで亡くなった人に「確定申告の義務」があった場合のみだ。確定申告が必要な要件については詳細を省くが、特に高齢者は「生命保険が満期になってお金を受け取った場合」など、突発的に確定申告が必要なケースもある。「毎年、確定申告をしていた方が亡くなった場合は気づきやすいですが、亡くなる1、2年前から収入が発生していたケースもあるので注意してください」と福士氏は言う。

過去の申告書類と口座の取引から作成する

実際に、どんな作業が必要となるのだろう。まず通常の確定申告は、1月1日〜12月31日の所得を計算し、翌年の2月16日〜3月15日に申告書を提出。内容次第で新たに「納税」したり、源泉徴収で「納め過ぎた」税金が“還付金”として戻ってきたりする。

先述の通り、確定申告の必要な人が亡くなった際、その年分の準確定申告を相続人が行う必要が出る。更に、亡くなった人が前年分の確定申告を済ませていなかった場合、たとえば確定申告期間の直前の2月1日に亡くなった際などは、前年分を相続人が申告することになる。

「申告の方法や内容は、基本的に通常の確定申告と変わりません。大きな違いは、準確定申告の場合、大抵は申告を行う相続人が複数いること。そこで、相続人全員の名前と住所を書いた付表をつけて申告します。また、誰が代表者かも明確に記します」

実際の申告作業は、代表者が行い、最後に相続人全員で確認して連名とするケースが多い様子。準確定申告で発生した税金や還付金の分け方についても、相続人同士で話し合って決める。「4カ月以内に決まらない場合は、配偶者が5割、残りは子どもで均等分けにするなど、法定相続分でいったん提出して、あとで協議するのが良いでしょう」と福士氏はアドバイスする。

それよりもネックなのは、実際の申告作業だ。確定申告は年間の収入や経費、医療費や年金、保険などをすべて洗い出し、最終的な所得を計算する。これらを確定申告の“本人”ではない相続人が行うのは、なかなか骨が折れる。実際、「準確定申告で行き詰まり、相談に来られる方も多い」と福士氏。

「まずは過去の申告書類を見つけて、どんな収入や経費があったか、大まかな当たりをつけましょう。その後は、銀行口座の履歴などを見ながら、ひとつひとつの金額を追いかけていきます」

細かな収入や経費を調べるのはコツもいるようで、専門家に相談するのも手かもしれない。いずれにせよ、準確定申告は、相続税よりも期限が早い。大切な人が亡くなったとき、相続の前にまず準確定申告が必要かどうか、きちんと確認しよう。

(取材・文/有井太郎)

※記事の内容は2019年5月現在の情報です

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