還元期間も対象店舗も限定されている!?
2019年10月スタート「キャッシュレス・ポイント還元」最新事情
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2019年10月に予定されている消費増税のタイミングで、キャッシュレス決済を対象にポイント還元制度が導入される。クレジットカードや電子マネーなど現金以外で支払えば、5%または2%のポイントが還元されるわけだが、還元を受けるには条件があるようだ。
税理士の新井佑介さんに、キャッシュレス決済によるポイント還元について教えてもらった。
実施期間&有効期限は2019年10月から9カ月間
「クレジットカードやデビットカード、電子マネー、QR決済サービスなど、現金以外で決済した場合に、消費者が恩恵を受けられる制度です。ただし、一部交通系電子マネーは対象となっていないようなので、あらかじめ確認しておくといいでしょう」(新井さん・以下同)
対象となる決済サービスの要件は、日本円でチャージ可能であること、日本の金融機関の口座を利用していることとなり、制度の実施期間は2019年10月から9カ月間。
還元方法としては、原則として決済事業者それぞれのポイント制度にポイントが付与される形となる。ポイント制度を導入していない決済事業者の場合は、例外として、即時利用可能なクーポンの発行、当該ポイント相当額を購入金額から差し引くという方法をとることも可能。
「制度期間内に還元されるポイントは、制度が実施される2019年10月から9カ月間が有効期限となります。この期間内にポイントを使わなかった場合、失効してしまうので、還元の恩恵を受けるには早めに使う方がいいでしょう」
5%還元の対象は中小企業が有する店舗のみ
さらに、キャッシュレス決済をすればどのお店でもポイントが還元される、というわけではないようだ。
「今回の制度は消費増税対策、キャッシュレス化の推進とともに、中小企業を支えるという目的もあるため、ポイント還元の対象店舗は中小・小規模事業者に限られます」
業種によって定義は異なるが、例えば小売業の場合、「資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主」の有する店舗が対象となる。この定義を満たす店舗でキャッシュレス決済を行うと、購入価格の5%分のポイントが付与される。
ここで気になるのが、コンビニや飲食店のフランチャイズ店舗はどう扱われるのか。
「フランチャイズに関しては、中小・小規模事業者に該当する加盟店についてのみ2%のポイント還元の対象になります。一方、直営店や大企業に該当する加盟店は対象外となりますが、セブン-イレブンやファミリーマート、吉野家などは企業が自己負担し、2%のポイント還元を行うと発表しています」
中小・小規模事業者から購入したとしても、制度の対象からは外れる品目もある。商品券やプリペイドカード、郵便切手類、宝くじ、自動車、新築住宅などは対象とならない。コンビニで利用する人も多いであろう収納代行サービスや代金引換サービスも対象外だ。
消費者にとっては得しかない制度
「当初は、『キャッシュレス決済の場合はポイント還元』というシンプルな制度の予定でした。しかし、消費増税対策・キャッシュレス化推進・中小企業支援対策という3つの目的を満たすため、徐々に複雑化してしまっているという現状があります」
どこで何を買えば何%のポイントが還元されるのか、いまいちわかりにくいところは多い。今回紹介した制度内容は2019年4月12日時点のものだが、今後変更になる可能性がないとは言いきれないそう。
ただ、一般消費者が損することはないという。
「キャッシュレス決済で買えばポイントがもらえるので、消費者には得しかありません。店舗によって還元率が変わってくるだけでなく、品目によっては軽減税率も入ってくるので、どこで買えば得かという判断は難しいのですが、普段使っているクレジットカードや電子マネーがあれば、活用した方がいいでしょう」
制度開始まで、あと4カ月を切った。まだクレジットカードや電子マネー、QR決済サービスなどのキャッシュレス決済手段を持っていない人は、早めにどの手段を利用するか決めて申し込み、制度が始まる前からキャッシュレス決済に慣れておくといいだろう。
(有竹亮介/verb)
※紹介している制度内容は、経済産業省「キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)の概要(4月12日(金)時点)」を参考にしています。
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新井佑介
AAG arai accounting group 代表。慶應義塾大学経済学部卒業後、BIG4系ファームを経て現職。MASコンサルティングや様々な融資案件に積極的に関与している。