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データを利活用する販売促進ツールに

割引クーポンの裏側にある「Origami Pay」最大の魅力、“オープン化の思想”とは

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ユニークな名前と折り鶴のロゴが印象的な「Origami Pay」は、QRコードによる“スマホ決済サービス”の先駆け的な存在。アプリとクレジットカードや金融機関口座を連携させることで、キャッシュレスで手軽に支払いができる。

サービス開始は2015年10月。2019年中には、国内145万カ所、海外は1000万カ所まで加盟店を増やす予定だという。

お会計金額からその場で最大3%割引となる即時割引や、割引クーポンが特徴の一つで、2018年末、大手牛丼チェーンの即時割引で人気を博した。そしてその即時割引や割引クーポン以外にも、本当の意味で「加盟店の支援」になるためのオープンなシステムが取り入れられている。今回はその“オープンな”考え方を中心にお話を伺った。

お店側へデータの見える化、独自クーポンの発行を可能に

「キャッシュレス決済の魅力は、お店の購買データが見えることです。この時期に何人のお客さまが来て、お支払額はいくらだったか。さらに、その中で新規のお客さまは何割いるのか。現金のやり取りでは見えなかったデータが明らかになります。Origami Payは、購買データを店舗が専用のダッシュボードで自由に分析できるのが特徴です」

そう話すのは、Origami社の PRコミュニケーションディレクターを務める古見幸生氏。たとえば、お客様が1万人いて、そのうち1000人は新規客、7000人はここ3カ月来店がないなどの分析が、お店側でいつでも行える。

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「さらに、ダッシュボード上からしばらく来店のないお客さまにクーポンを発行したり、お得な情報を発信したりということも可能です。私たちが提供するのは、決済もできて販売促進もできるツール。決済のインフラにとどまらず、お店にとって『売上アップにつながるもの』という認知が進めば、より加盟店も増えると思っています」

もちろん、他の決済サービスでも同様のデータは取得できる。しかし、それをお店側の目線で見える化し、顧客にクーポンなどを自由に送れるなど、「データを利用できる」サービスにまで落とし込みが既にされていることが、Origami Payの最大の特徴だ。

こういったシステムをもとに、日本全国のあらゆる店舗を支援していく姿勢。日本全体のキャッシュレス化は、地方や個人商店での普及がカギとなるが、その点でも新たな展開を見せている。

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「Origamiは信金中央金庫と提携し、全国258 の金庫(2019年2月時点)と連携しました。信金さんは地域に根付いており、提携から3カ月ほどで約5万もの店舗が新たに加盟していただいています。Origami Payの導入により店舗ごとの売上データが詳細になるので、信金さんとしても、一つ一つの事業者に細かく適切な経営アドバイスができるのではないでしょうか」

また今年6月には、中国の銀聯国際(Union Pay International)の銀聯QRにも対応。訪日客が国内で使えるようになった。さらに今後は、日本人が海外に行った際、銀聯の加盟店でOrigami Payを使えるようになる予定だという。

「提携Pay」は、キャッシュレスの流れを変えるか

もうひとつ、Origami Payの大きな特徴が「提携Pay」だ。これは、さまざまな企業・店舗が持つ既存のアプリに、Origami Payの機能を追加できるもの。昨年9月にサービスを発表しており、すでに「セゾンOrigami Pay」などが先駆けて誕生している。

そのセゾンOrigami Payを例に説明すると、もともとあった「セゾンPortal」というスマホアプリに、決済やクーポン送信の機能が付加された形。システムはOrigami Payのものを組み込んでいる。

「たとえば飲食チェーン店など、自社のアプリに決済機能を付加したいケースは多いはず。ただ、自社で一から決済システムを開発するのは手間がかかりますし、何よりその店舗でしか決済できないものはユーザーメリットが少ない。お客さまが使いにくいでしょう。提携Payは、既存のアプリに機能を追加できるだけでなく、Origami Payの加盟店でも使えるのがポイントです」

つまり、ユーザー自身が普段使っているアプリにOrigami Payが融合したのとほぼ同じ。普段使いのアプリで、大手コンビニや薬局チェーンなど、Origami Payの加盟店であればスマホ決済が可能だ。

それは、アプリを提供する側にも大きなメリットになる。というのも、自社店舗の決済だけでなく、日常生活のさまざまな決済に使えるため、アプリユーザーが普段どういった購買傾向があるのか、自分たちの店舗以外での動きも見えてくる。「次のビジネスやキャンペーンなどのマーケティングを展開する上で、有効ではないでしょうか」と古見氏は語る。

導入した店舗のデータ利活用、そして、「提携Pay」という決済システムそのものの提供。Origami Payには、徹底したオープン化の思想が広がっている。そしてそれこそが、サービスを普及させるための大きな価値と言えるのかもしれない。
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(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2019年7月現在の情報です

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