リタイア後のマネー事情

法改正により「介護休暇」は半日単位で取得可能に

ビジネスパーソン必見“介護離職”を免れるための要チェックな公的制度

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今、社会的な問題となっている「介護離職」。家族や親族の介護にはお金や時間がかかるものの、働いていると時間の確保が難しく、辞めざるを得ない…。そんな状況を回避できるよう、仕事と介護を両立するための制度が改正され、使いやすくなってきている。

『これで安心!入院・介護のお金』の著者であるファイナンシャルプランナーの新美昌也さんに、介護をするビジネスマンのための制度について、教えてもらった。

「介護休業」は3回に分けて取得できる

「仕事と介護を両立するための制度の1つ目は『介護休業制度』。労働者が要介護状態にある家族を介護するための休業で、対象家族1人につき通算93日取得できます。また、育児・介護休業法の改正によって、93日を3回に分けて取得できるようになりました」(新美さん・以下同)

つまり、介護している家族の容態に合わせて、1カ月の休業を3回取るなど、柔軟に取りやすくなったというわけだ。仕事と介護を両立するための準備期間として、活用したいところ。ちなみに、取得を希望する場合は、休業開始予定日の2週間前までに、会社に申し出る必要がある。

また、法改正で、対象となる家族の範囲が「配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹及び孫」と広がった。これまで、祖父母、兄弟姉妹及び孫は「同居かつ扶養」という要件があったが、その要件が削除されたのだ。

「介護休業を取得した場合、雇用保険から『介護休業給付金』として、休業開始時賃金月額の最大67%が支給されます。ハローワークへの申請が必要ですが、収入がゼロになる心配はありません」

直前でも取れる「介護休暇」は年間5日まで

「もう1つの制度が『介護休暇制度』。こちらはもっと短期のもので、家族1人につき年間5日まで取得できる制度です(対象家族が2人以上の場合は最大10日)。『介護休業制度』と違って事前の申請は必要なく、直前でも会社に連絡すれば取得できます」

極端にいえば当日の連絡でも取得できるため、家族の容態が急変し、病院に付き添わないといけない時などに活用できる制度だ。

「『介護休暇制度』は法改正によって、半日単位で取得できるようになりました。『午前中だけ検査につき合わないといけない』といった場合にも、柔軟かつ効率的に活用できます。今後どうなるかはわかりませんが、時間単位で取れるようにしようという動きも出てきているようです」

介護をしている間は残業の免除も可能に

「介護休業制度」「介護休暇制度」以外にも、仕事と介護の両立をバックアップしてくれる制度があるようだ。

「あまり知られていませんが、要介護状態にある家族を介護している労働者は、残業の免除を会社に請求することができます」

そのほかにも育児・介護休業法によって、時間外労働の制限や労働時間短縮などの措置、介護休業を理由とした解雇の禁止など、働き続けやすくするための環境が整備されている。

「残業免除や時短勤務は、会社と相談しながら進めるといいですね。会社によっては、福利厚生の一環で介護休業を法律で定められている内容より手厚くサポートしてくれるところもあるので、チェックしてみるといいでしょう」

介護にはお金がかかるし、自身の今後の長い人生を考えても、介護離職は避けたいところ。国が定める制度の内容を把握し、うまく使っていくと、負担を軽減することができるだろう。
(有竹亮介/verb)

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