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ポイント運用は、疑似体験から関係構築へ

STOCK POINTの「いつのまにか、株主」が生み出すもの

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好きなものを買い続けたら株主に…その新サービスとは

「貯蓄から投資へ」と言われるが、投資経験のない人が一歩を踏み出すのは簡単ではない。そんな中、「いつのまにか、株主」をテーマに、生活の中で気づいたら株主になっている、という世界観を目指すサービスがある。「STOCK POINT」だ。

これは、買い物などで発生するポイントが株価に連動する「ポイント運用」のサービス。セゾンカードの永久不滅ポイントや、Amebaのドットマネーなど、さまざまなポイントを利用可能。1ポイント1円として個別企業の株を選ぶと、株価に合わせてポイントが増減する。

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「ポイントの動きを日々味わうことで、少額の株式を持ったような体験ができます。日本では、たとえ数百円でも、現金を使った投資には抵抗がある人も少なくありません。そこで、ポイントでの投資体験を実現しました」

こう話すのは、STOCK POINT社の代表取締役を務める土屋清美氏。同社は、ポイントが株価に連動する仕組みにおいて、2016年11月に国内の特許を取得。今年4月には、Pontaポイントによる「Pontaポイント運用」もローンチされたが、これも同社が運営している。

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「投資信託」とポイントが連動するサービスは他にあるが、STOCK POINTは170銘柄を超える“個別株”をメインとする銘柄を取り扱うのが特徴。土屋氏は「サービスを開発する上で、個別株にこだわりたかった」という。その理由は、これからスタートする“新サービス”にあるようだ。

新サービスは、ロイヤリティプログラムというもの。消費者がある商品を買うと、その商品の企業ポイントが貯まり、一株以上の価値になったら本物の株と交換できる。土屋氏は、「特定の商品が好きな方、お店が好きな方はいらっしゃいますよね。その方たちが、好きな物・店を愛用する中で、いつのまにか株主になっている。そんなサービスです」と説明する。

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「『株を買う』というと、どうしても投資のイメージが強くなりますが、自分の好きな商品や、それをつくる企業への“応援”という意味もあるはずです。そもそも、成長する企業は、商品や企業の存在意義に消費者が共感して大きくなっている。その共感をポイントで表し、新しい企業と消費者のつながりを構築できればと思いました」

ポイント運用で、従業員のモチベーションを上げる

貯まったポイントは、企業の株に限らず、製品との交換なども可能にする。加えて、企業は自社のポイント保有者に対し、アプリを通じて商品情報などを伝えられる。「企業と生活者のコミュニティが形成され、新しい関係をつくれるのではないか」という。

どの商品を買ったら何ポイント与えるか、通年にするか期間限定にするか、といった細かな設定も、企業ごとに決められる形にする模様。同社が創業時からやりたかったサービスであり、2019年内に順次スタートするという。

また、STOCK POINTのアプリを通さずとも、ロイヤリティプログラムの仕組みを提供して、企業が独自に運営するポイントアプリ内で同じサービスを実現することも視野に入れる。間違いなく、ポイント運用の「次のフェーズ」に進んでいると言えよう。

なお、新サービスはもうひとつある。先述のロイヤリティプログラムが「企業と生活者の関係を築く」なら、こちらは「企業と従業員の関係を築く」のだという。

「企業が従業員に対し、インセンティブとして自社のポイントを発行するプログラムです。仕事ぶりに対する評価になるだけでなく、ポイントは自社の株価に連動するので、業績が上がれば、ポイントの価値も高まります。つまり、自分の頑張りとポイントがつながり、モチベーション向上が期待できます」

人手不足は深刻になっており、正社員や契約社員、パートやアルバイトなど、質の良い働き手に居続けてもらうことは、企業の命題になっている。その中で、従業員へのインセンティブは意義が大きい。このプログラムで働く側のモチベーションが上がり、企業の業績や社員の定着率も上がれば、「企業と従業員、双方にメリットをもたらせるのではないでしょうか」と言う。

「ポイントは馴染みがあって、気軽に使えるものです。だからこそ、うまく利用して、新たな体験を提供したいですね。企業が生活者のコミュニティを形成したり、従業員のモチベーションを高めたり。さまざまな価値を生んでいきたいんです」

ポイント運用は「投資の疑似体験」として普及しているが、可能性はそれだけではない。STOCK POINTの構想からは、明らかにその先が見えてくる。

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(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2019年7月現在の情報です

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