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値動きに合わせて、ポンタが一喜一憂

人気キャラが誘う楽しい投資。「Pontaポイント運用」の世界観

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タヌキのキャラクター「ポンタ」でおなじみのPontaポイント。そのポイントを使い、投資を疑似体験できるサービスが今年4月に登場した。「Pontaポイント運用」である。企業の個別株やETF、REITなどにポイントを投資・運用できる。

類似サービスが続々と出るなか、Pontaポイント運用にはどんな特徴があるのだろうか。運営するロイヤリティ マーケティング 事業・サービス統括グループの佐藤智仁氏は「ゲーム感覚で、楽しく投資の疑似体験ができること」だと言う。

このサービスにおける“楽しさ”の工夫とはいったい何か。佐藤氏に詳しい話を聞いた。

投資の「難しい」イメージを和らげ、楽しめるサービスに

Pontaポイント運用は、5つの企業の個別株と3つのETFとREITに投資が可能。企業の個別株は、リクルートホールディングスやローソンなど、Pontaポイントの提携先が中心。ただし、「今後は提携先以外も銘柄を増やしていく」とのことだ。(2019年6月時点)

なお、ポイント投資は(1)証券会社がポイントを現金に換えて金融商品(投信等)を購入する証券口座が必要なタイプと、(2)ポイントの増減が金融商品の値動きに連動する証券口座が不要なタイプの2種類ある。

Pontaポイント運用は証券口座が不要な(2)のタイプ。これらの銘柄に投資すると、値動きに合わせてポイントが増減する。そこで投資を体験するのがサービスの主旨で「楽しみながら味わってほしい」と佐藤氏は強調する。

その言葉通り、サービス全体を貫くのは“楽しめる設計”だ。一例として、値動きに合わせてキャラクターのポンタが喜んだり悲しんだり、ユーザーと一緒に一喜一憂する。取材当日は、ちょうど値下がりの局面。画面には、悲しそうに震えるポンタが現れた(※値上がりして喜ぶポンタはスクリーンショットを参照)。

小さな工夫に見えるが、大きな武器になる。というのも、ポンタのキャラクター人気は高く、高島屋(※高は旧字)などPontaポイントの提携社でのイベントで、たびたび“ポンタカフェ”が登場するなど、多くのファンがいる。オリックス・バファローズを応援する「バファローズポンタ」は人気に拍車をかけ、フォロワーは27万人を超えた。本家「ポンタ」のフォロワー数を上回る勢いだ。

実はこのバファローズポンタも、試合の勝敗に合わせてアップされるイラストが話題となって人気に。ポンタの存在感は、難しいイメージの投資を楽しめる突破口になるかもしれない。

「Pontaポイントの大きな特徴は、楽しさを届けること。『ためる』『つかう』だけでなく、ポイントをつかった遊びを提供して、愛着を持っていただくのが理想です。今回のサービスも同様で、ポイントを増やすためだけでなく、遊びながら、長く楽しんでいただければうれしいですね」

その中で投資を“学ぶ”要素も取り入れている。「投資の格言をランダムで表示しています」とのことで、遊びながら学べる仕組みに。今後も「学べるコンテンツを増やしたい」と話す。ポンタは子どもや若年層にも人気があるため、彼らが感じる投資の難しさを和らげるのに一役買ってくれるかもしれない。

今後は「疑似的な株主配当も考えていきたい」

Pontaポイント運用は、個別株などを選び、運用したいPontaポイント数を決めて申し込むと「銘柄ポイント」に交換されて運用を開始する。ポイントは株価の値動きに合わせて増減し、ユーザーは好きなタイミングで運用中のポイントをPontaポイントに戻せる。また、株価の変化が激しい時など、ポイントの値動きを一旦止めたい場合には、未運用ポイントへ移すことで運用をとめることも可能となっている。

特徴として、銘柄ポイントで運用を開始したり、あるいは未運用ポイントに移したりする際の交換手数料はゼロ。また、投資サービスの多く、特に投資信託は、信託報酬という形で預かり資産額に応じて一定割合の手数料がかかるが、Pontaポイントは信託報酬に該当する運用手数料が0.00329%となっている。

なお、銘柄ポイントはそのままでは買い物などに使えないため、もう一度Pontaポイントに戻す必要がある。銘柄ポイント内での手数料は格安な分、“出口”となる「銘柄ポイント→Ponta ポイント」に戻す際は交換手数料が5%かかる。

「私たちとしては、銘柄ポイントの状態で長く楽しんでいただきたい思いがあります。値上がり・値下がりを見てすぐにPontaポイントに戻すと、投資の学びにつながりません。そこで、ポイントの運用を行う際の手数料を低くして、投資の疑似体験を長く楽しんでいただく設計にしています」

サービスローンチから約2カ月後の6月には、早くもユーザーアンケート[PDF]の結果を公表した。

「女性の利用者も多く、そのうち半数以上が投資未経験者でした。また、調査結果の中でうれしかったのは、サービスを利用後、投資のポジティブなイメージが増加し、ネガティブな印象が減少したことです。『楽しい・面白い』『企業を応援できる』と考える方が増えました」

なお、この調査で「今後期待する機能」をたずねたところ、「疑似的な株主配当を受け取りたい」という声が6割を超えた。佐藤氏は、「クーポンやプレゼントなど、各企業ならではのものを提供する形も考えていきます」と前向きに展望する。

“楽しさ”をフックに、投資を学ぶPontaポイント運用。今後、サービスは急速に進化していきそうだ。

(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2019年7月現在の情報です

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