子供に話そう、家族の財産のこと。タイミングと方法は?
提供元:バンガード・インベストメンツ・ジャパン
はじめに バンガード ジル・マーシャルから
私は先日、大学の同窓会に出席しました。旧友との再会を楽しんだのはもちろんですが、私の母校の新入生となった娘と貴重な時間を過ごすという思いがけない機会にも恵まれました。
娘は自分の力ですっかり生活に順応していますが、私にはまだ彼女に教えなければならないことがたくさんあるという思いを強くしました。独立に向けて歩み続ける娘に教えるべきことは、自分で成長する考え方を持つことから、自分の経済状態の管理能力まで多岐にわたります。
私は富裕層向け事業であるVanguard Flagship Select Services™ のクライアント・エグゼクティブとしての業務を行う中で、金銭に関する責任についての知識を、ご自身のお子さんに教え込みたいと考えている、多くのご両親とお話する機会があります。しかし、家族の財産について話し合うのは気まずいということもあります。そのため、いつ、どのように子どもに財産の話をすればよいのか、という質問をよく受けます。
もし皆さんも同じ疑問をお持ちであれば、他にも同じように感じている方はいらっしゃいます。ただし、その答えはそれぞれの家族構成や環境によって異なります。
ただ、私たちの専門的な調査や家族の業務に関わる経験からみて、最もよい方法は今すぐにでも話し合いを始めることです。この教育プロセスを簡素化しスタートするための一助として、各段階に応じた一連の話し合いの枠組みを作ることをお勧めします。
誤った思い込みを捨てる
家族にお金の話をするときは、家庭の財政状態を開示することから始めなければならないと思い込んでいる方がいらっしゃるようです。その必要はありません。実際、そこまでの透明性はやや過剰という感じがします。また、子どもの生活に思わぬ結果をもたらすかもしれないと心配される方もいらっしゃいます。
そうした思い込みを捨てて、柔軟に対応し、シンプルに行うことを心がけてみてはいかがでしょうか。子どもの年齢に応じて金融の話題について話すということが、この話し合いの枠組みを形作る上で役立つと思われます。
また、子どもの反応や成熟度を推し測ることもできるでしょう。このアプローチに従うと、後に資産の金銭的価値や一覧を明らかにすることもできます。
以下は、私がご家族の相談に乗る際に使用しているトピックの例です。
価値観、それが本当に重要なものであり、金額ではない
家族にお金について教える際には、家族の価値観についても合意することをお勧めします。率直に言って、これはいくらお金を持っているかに関係なく、有益なアドバイスだと思います。
必要なのは、安心で快適な環境で家族全員がアイデアを探求し、自分が家族の一員としてどのように知られ、記憶に残してもらいたいかを共有できることです。
これは次世代が「家族の財産」の意味を理解するのに役立つでしょうから、極めて強力な学びの経験となる可能性があります。言い換えれば、本当に重要なものとは、家族が所有するものではなく、家族が最も大切にしている価値観です。
こうした話し合いや教育は早く始めるほど、将来に向けて家族の一致した価値観をより容易に築くことができます。ですが、まだこのプロセスを始めていなくても、遅すぎることはありません。今からでも始められます。私は、自分が学んだことを常に娘に伝え続けています。そうし続ける中で、重要なのは目的地ではなく、そこへ至るまでの行程だということを実感しています。
同じように、皆さんのご家族においてもこの行程と価値観こそが、今後何世代にもわたって家族の財産を守り、家族の絆を深める上で役立つでしょう。
【筆者:バンガード ジル・マーシャル】
クライアント・エグゼクティブ
事業戦略の開発と富裕層投資家の皆さまおよびそのご家族に、パーソナル・サービスとサポートを提供する資産運用プロフェッショナル・チームのリーダーを務めている。
(バンガード・インベストメンツ・ジャパン)