会社帰りに寄ったスーパーで転んだ場合はどうなるの?

【万が一】通勤時にケガをしてしまった場合に出る保険とは

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ブームにも近い盛り上がりを見せている自転車通勤。日常的に運動ができて、お財布にもやさしい交通手段だが、万が一、通勤中に事故に遭ってケガをしてしまったら…!?

業務中・通勤時のケガに関しては、「労災保険」が適用され、治療費は全額支給されるようだ。ただし、注意点もあるという。ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに、「労災保険」の制度内容について教えてもらった。

「労災保険」はパート・アルバイトも対象

「『労働者災害補償保険(通称:労災保険)』とは、労働者を雇用している事業主が、必ず加入しなければいけない保険です。労働者の業務中・通勤時に発生したケガや病気に関して、治療費や療養中の生活費が支給されます」(氏家さん・以下同)

加入者は事業主であり、保険料は企業が全額負担するため、労働者が支払う義務はない。そのため、給与明細にも「労災保険」という記載はないだろう。

「補償対象となる『労働者』とは、正社員に限りません。パートやアルバイト、日雇いの従業員も『労働者』であり、『労災保険』を申請することができます」

治療費だけでなく生活費、介護費もカバー

業務中・通勤時にケガや病気が発生した場合に補償されるとのことだが、具体的にはどの程度までカバーされるのだろうか。

「補償内容を知る前に、業務上の負傷や疾病を意味する『業務災害』と、通勤時の負傷や疾病を意味する『通勤災害』で、給付金の名称が変わることを知っておきましょう」

「業務災害」では「○○補償給付」、「通勤災害」では「○○給付」となる。ただし、名称が異なるだけで、補償内容は変わらない。

「『労災保険』では、治療費だけでなく、ケガや病気が原因で4日以上仕事を休んだ際の生活費や、障害が残った場合の年金も補償されます」

業務中・通勤時のケガや病気の治療が必要な場合は、「療養補償給付」「療養給付」として、治療費が全額カバーされる。各地の労災病院を受診すると、治療費は支払わずに済む。かかりつけの病院を受診した場合も、勤めている企業を通じて労災の手続きをすれば、健康保険の自己負担分(3割)が返金される。

ケガや病気が治らず、4日以上仕事を休む場合は「休業補償給付」「休業給付」が支払われ、療養開始後1年6カ月を経過しても治癒しない場合は、「傷病補償年金」「傷病年金」が支給される。

障害が残った場合は、障害等級に応じて「障害補償年金」「障害年金」、または「障害補償一時金」「障害一時金」が支給され、介護が必要になった場合は「介護補償給付」「介護給付」も受けられる。

もし、業務中・通勤時に死亡してしまった場合は、遺族が「遺族補償年金」「遺族年金」「葬祭料」を、受け取ることができる。

「自転車通勤」は企業に申請していないと補償対象外?

かなり手厚く補償されている「労災保険」だが、「通勤災害」に関しては、認定が難しい場合もあるのでは?

「労災法上の通勤は、“合理的な経路・方法であること”と定められています。特別な理由がなく、著しく遠回りをした場合は合理的とは認められないので、注意してください。例えば、帰りに居酒屋やスポーツジムなどに立ち寄った場合は、通勤として認められません」

ただし、スーパーやコンビニで買い物をする、保育園や学童に子どもを迎えに行くなど、日常的な行為であれば、通勤と認められるそう。

ところで、エコや運動不足解消などの理由で、自宅から会社まで自転車通勤をしている最中にケガをした場合でも、「通勤災害」と認められるのだろうか。

「自転車通勤であっても、それが合理的と判断されれば認められます。ただし、自転車通勤をすることを企業に伝えず、交通費が支給されている状況でケガをした場合は、企業へ届け出ている経路との違いが明らかになり、虚偽の申請をしていたとして処分される可能性があります。ですので、常時自転車通勤をする場合は、企業へその旨申請をするようにしましょう」

最近は自転車による事故が増えているため、自転車通勤者に別途保険への加入を義務づけている企業もあるようだ。その際は、企業の指示に従うようにしよう。

いざという時に、心強い味方になってくれる「労災保険」。しかし、それも就業規則に則ってこそ。通勤経路は、明確に申請しておかなければいけないことを覚えておこう。
(有竹亮介/verb)

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