半年~1年に一回は保有資産の割合をチェックして!

「iDeCo」「企業型DC」のリバランス、目安は当初の配分の15~20%のズレ

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60歳まで積立投資を行うことができ、得られた運用益が非課税になる「iDeCo(個人型確定拠出年金)」「企業型DC(企業型確定拠出年金)」。掛金の拠出を個人が行うか、企業が行うかという違いはあるが、どちらも加入者自身が投資信託や預金などの金融商品の中から投資するものを選択し、運用していく。

加入当初にシミュレーションなどをもとに決めた金融商品の配分(ポートフォリオ)は、各資産の価格変動によってズレてしまうことがある。その場合には、「リバランス」という調整が必要になる。

そこで、ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんに、リバランスのタイミングや方法について教えてもらった。

半年に1回は資産配分をチェック!

「当初の資産配分と実際に保有している資産がズレると、運用を始めた際の目標額から遠のく可能性が高くなるため、当初の資産配分に戻すためにリバランスをする必要が出てきます。そのズレに気付くため、できれば半年に1回、少なくとも1年に1回は『iDeCo』や『企業型DC』で保有している資産(金融商品)の割合をチェックしましょう」(高山さん・以下同)

資産配分のズレとは、当初のシミュレーションとどのぐらい違っていることを指すのだろうか。

「保有している資産の額を見て、当初の比率とのズレが発生していないか確認し、その割合が15~20%程度ズレてきたらリバランスを検討しましょう」

例えば、国内株式の投資信託と定期預金を50%ずつの配分で、積立投資を開始したとする。その後、投資信託の比率が60%、定期預金は40%の配分比率に変わったとする。この場合、投資信託10%分を売却し、定期預金10%分を買い増すことで、当初の50%ずつの資産配分とイコールにすることができる。

もう一つ、リバランスをするべきタイミングがあるという。

「加入者自身の年齢も大事な要素です。若いうちは株式などリスクが高い商品を多めに保有して、もし大きく値下がりしてしまっても、その後リカバリーする時間は十分にあります。一方、50歳を過ぎても株式の比率が多いと、万が一大暴落した時、リカバリーできる時間の余裕がありません。60歳で資産を受け取る時に、長年貯めてきたものが一気に減ってしまったら、悲しいですよね」

「iDeCo」「企業型DC」の期限である60歳が見えてきたら、株式などの割合を減らして、リスクの低い預金や債券を増やし、安定的な運用を心掛けることも大切というわけだ。

※実際には「iDeCo」の積み立ては60歳までしかできないが、受け取りは70歳までの間でタイミングを決めることができる

2つのリバランス法「配分変更」「スイッチング」

「リバランスには、2通りの方法があります。単純に投資する商品を変更する『配分変更』と、保有している資産を売却して買い替える『スイッチング』です」

例えば、毎月1万円を拠出し、Aの商品に5000円、Bの商品に3000円、Cの商品に2000円を配分しているとする。リバランスのために、Cの分の2000円をDの商品に切り替える場合、2つの方法の違いは以下のようになる。

単純にCの購入をやめ、Dに切り替えるパターンが「配分変更」。これまで積み立ててきたCの資産は手元に残り、Dを1から積み立てていくことになる。ネット証券やネットバンクであれば、インターネット上で手軽に行えるところがメリット。

もう1つの「スイッチング」は、Cの資産をすべて売却し、その資金でDを購入するパターン。売却には手数料が発生する上、スイッチングが完了するまでには1週間から10日かかる。

「商品の成績が回復する見込みがない場合は、『スイッチング』を使うのも手です。もし、そこまで悪くなさそうであれば、『配分変更』で済ませる方が簡単かつスピーディーですね」

加入当初も「配分変更」を忘れずに

「iDeCo」や「企業型DC」に加入した際にも、リバランスは不可欠だという。

「加入した時点での資産配分は100%定期預金になっていることが多いので、まず配分変更が必要です。目標に応じたシミュレーションなどに合わせて、変更するようにしましょう」

掛金を拠出し始めれば作業完了というわけではない。最初に必ず目標を設定して、投資する商品を選ぼう。高山さん曰く、「リバランスを面倒に感じる人向けの商品もある」とのこと。

「バランス型ファンドは、金融機関が自動的にリバランスしてくれるタイプの投資信託なので、自分でリバランスする必要がありません。リバランスを手間に感じる人は、バランス型ファンドを選ぶといいでしょう」

「iDeCo」「企業型DC」は便利でお得な制度だが、自動的に資産を増やしてくれるわけではない。年に一度、運用状況のレポートが届くタイミングでチェックをする習慣をつけて、老後の安心につなげよう。
(有竹亮介/verb)

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