資産形成層に支持されているお手軽投資術!
20~40代で68万口座に! 「つみたてNISA」2019年最新事情
2018年1月からスタートした少額投資非課税制度「つみたてNISA」。年間投資上限額40万円まで、最長20年間非課税で運用できる制度で、開始から約1年半が過ぎ、着実に認知度は高まってきている。
そこで、「つみたてNISA」の現状を紹介するとともに、どのような目的の運用に向いた制度なのか、ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんに教えてもらった。
加入者の65%が「資産形成層」
制度開始から1年半が経ち、「つみたてNISA」はどのくらい利用されているのだろうか。
金融庁の「NISA口座の利用状況調査(平成30年12月末時点)」によると、「つみたてNISA」の口座数は103万6603口座。平成30年6月末に行われた同調査では、68万8573口座だったため、着実に口座数が増えていることがわかる。
さらに、年代別の口座数を見てみると、ある特徴が見えてくる。20代が15万6601口座、30代が25万3925口座、40代が27万632口座と、全体の約65%が“資産形成層”といわれる世代なのだ。
「『一般NISA』は60代、70代のシニア層の利用者が多いのですが、『つみたてNISA』は若い世代に受けているところが特徴的です。それぞれの制度の住み分けができているということですね」(高山さん・以下同)
5年、10年後の目標のためにも活用しやすい制度
「一般NISA」に比べて年間40万円以下と少額ではあるが、投資期間は最長20年と、中長期での運用が可能な「つみたてNISA」。老後に向けた資産形成の術として活用するケースが多いように思えるが、実際のところはどうなのだろうか。
「もちろん老後資金のために利用する人も多いのですが、子どもの教育費や住宅購入の頭金にするために利用する人も、多いように感じます。なかには、月1万~2万円ぐらい積み立てて、利益が出たタイミングで売却し、旅行などの楽しみに使おうと考えている家庭もありますね」
投資期間20年の間であれば、いつでも売却して資金を引き出せるところが「つみたてNISA」の強みの一つ。5年、10年先の目標のために、資産を増やすツールとして使いやすいのだ。
「『つみたてNISA』は、金融庁が一般の人でも中長期的に安定して運用できると判断した投資信託のなかからチョイスして投資していくので、安定的に中長期での運用がしやすいというメリットがあります。短期売買をするものではないことは、理解しておいた方がいいでしょう」
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「つみたてNISA」対象商品の基準って何だろう?
ただし、いつでも売却できるからこその注意点もあるという。
「60歳まで引き出せない『iDeCo(個人型確定拠出年金)』とは違い、いつでも売却できる『つみたてNISA』は強制力がないので、目標を持って始めないと継続しにくいんです。『子どもの教育費のために、500万円貯めたい』などの明確な目標があれば、積み立てのモチベーションを保ちやすいですよね」
「つみたてNISA」とズボラな人は相性◎
目標に向けてコツコツと地道に続けていける人ほど、「つみたてNISA」との相性はいいのだろうか。
「『つみたてNISA』で選べる商品は基本的に中長期的に安定して運用できると判断された投資信託なので、ポートフォリオ(資産配分)などを気にせず、ほったらかしで運用できるところも魅力の一つ。そう考えると、意外とズボラな人に向いている制度といえます」
仕事が忙しく経済の動向を追えない人や、こまめに社会情勢をチェックすることが苦手な人でも、運用しやすい制度だ。積み立てていることさえも忘れて「知らないうちに貯まっていた!」という人もいるかもしれない。
「もちろん、投資初心者にもおすすめです。安心感のある投資信託が揃っていますし、最低拠出金額100円と金銭的なハードルも低い。また、会社員でも専業主婦でも職業に関係なく、同じように税制優遇されるので、誰でも使いやすい制度だと思います」
ズボラさんや初心者にとって投資に対するハードルを下げてくれる「つみたてNISA」。まずは少額からでも、検討してみてはいかがだろうか。
(有竹亮介/verb)
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高山一恵
ファイナンシャルプランナー。Money&You取締役。2005年に女性による女性のためのファイナンシャルプランニングオフィス・エフピーウーマン設立に参画し、2015年に現職に就任。講演、執筆、個人マネー相談などを通じて、お金の知識を伝えるべく活動中。著書に『やってみたらこんなのおトク!税制優遇のおいしいいただき方』など多数。