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MAB投信だより

圧倒的な人気を誇る毎月分配型REITファンド

提供元:三菱アセット・ブレインズ

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サマリー

●グローバルな低金利環境が継続する中、REITファンドは4ヵ月連続で資金流入超となっている。
●決算回数別にみると、REITファンドはファンド本数・純資産残高ともに年12回(毎月分配型)が半分以上を占める。また、2019年1月からの資金流入額では、国内REITは毎月分配型が全体の8割を占めている。
●分配金利回り別にみると、年率15~20%の利回り水準のファンドに対して資金が多く流入している傾向がある。

1.REITファンドは約2年ぶりに資金流入超となっている

REITファンドは、2016年9月に金融庁が公表した「平成27事務年度金融レポート」において毎月分配型投信の販売に対する懸念を表明して以来、約2年間に渡り資金流出超が続いていた。

しかし2019年に入り、米中貿易摩擦の激化によるグローバルな景気減速懸念を背景に日米欧を中心に金利低下の動きとなるなか、相対的に高水準の利回り収入が魅力のREITファンドは2019年1月には26ヵ月ぶりに資金流入超に転じ、足下では4ヵ月連続で資金流入超となっている。

ただし、REITファンドの中には、REITのインカムゲイン(配当金収益)だけでなくキャピタルゲイン(値上がり益)も分配金として計上しているファンドもあることから、REITファンドの分配金利回りの高さにのみ注目して投資を行うことには注意が必要だ。

2.REITファンドは毎月分配型の人気が高い

まず、各資産カテゴリにおける決算回数別のファンド本数・純資産残高割合を図1・図2に示す。

新興国債券およびREITは本数・純資産残高ともに年12回(毎月分配型)が半分以上を占めている。債券やREITは、金利収入や賃料収入という安定したインカムがあるため、毎月分配型ファンドが多く設定される傾向が強い。

また、REITの毎月分配型は本数別では358本中179本と約50%である一方、純資産残高別では約7兆円2千億円のうちの90%以上を占めており、REITファンドは特に毎月分配型が選好されていることが分かる。

【図1:決算回数別のファンド本数割合】

【図2:決算回数別の純資産残高割合】

※2019年8月末時点、ETF・ラップ専用・DC専用・公社債ファンドは除く

次に、2019年の累積資金流出入動向を地域別に集計した結果を図3に示す。

国内REITは資金流入額約1,400億円のうち1,200億円を毎月分配型が占めており、圧倒的に毎月分配型の人気が高いことが確認できる。

一方、海外REITでは北米REITのみ毎月分配型から資金が流出した。「新光US-REITオープン(愛称:ゼウス)」や「ダイワ米国リート・ファンド(毎月分配型)為替ヘッジなし」などの大型ファンドから資金が流出した影響が大きかった。

【図3:2019年1月~8月の決算回数別累積資金流出入動向】

3.分配金利回りの高いファンドへの資金流入が顕著にみられている

最後に、2019年の累積資金流出入動向を分配金利回り別に集計した結果を図4に示す。なお分配金利回りは、直近1年間の実績分配金合計を1年前の基準価額で除して算出したものである。

国内REITでは、分配金利回りが年率15~20%の範囲のファンドが最も資金流入額が大きかった。

また、海外REITについても、資金流出となった北米REITを除けば、利回りが同15%以上の高い分配金利回りのファンドに資金が多く流入している結果が得られており、投資家が高水準の分配金を求める動きは顕著にみられている。

ただし、ファンドの投資先であるREIT本来の配当利回りは年率3.5~4.0%程度であることを考慮すると、仮にREITの価格が1年間横ばいだった場合、ファンドの基準価額は年率10%近く下落することになる。

足もとの低金利環境ではREITの投資対象としての魅力は高まっているものの、個別のREITファンドとしてみると過剰な分配金支払いは今後REIT価格が下落した際に基準価額が大幅に下落する危険性を孕んでいる点には十分注意が必要である。

【図4:2019年1月~8月の分配金利回り別累積資金流出入動向】

 

(MABファンドアナリスト 持田)

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