工場・施設見学では、役員同席の試食懇談会も開催!
マヨネーズ、ドレッシングなど、家庭でお馴染みの商品詰め合わせセットがもらえる「キユーピー」の株主優待♪
今や個人投資家から大人気の「株主優待」。株主優待を目的に株式投資をしている人も多いのではないでしょうか。各企業の優待内容は、企業のホームページで確認できると思いますが、優待誕生の背景や開発秘話はなかなか知ることができません。
そこで、人気企業の株主優待担当者にインタビューを敢行!株主優待導入の背景や現在の優待に決まった経緯、裏話までセキララに語っていただきました。
今回は、日本で初めてマヨネーズを製造。以来、日本の食卓に欠かせない食品を製造・販売し続ける、日本を代表する食品メーカー「キユーピー株式会社」の株主優待です。
聞き手・執筆:優待好きFP 高山 一恵
――では、本日はよろしくお願いします。早速ですが、なぜ、株主優待を導入しようと思ったのですか?
2001年以降、金融機関では、持ち合い株式の放出が進んでおり、各企業では、安定株主として個人株主を確保しようという流れになっていました。当社もその流れにのり、2002年にそれまで1000株だった単元株数を100株に引き下げ、そのタイミングで株主優待制度を導入しました。
優待を導入するまでの株主数は1万5000人ほどだったのですが、1年後には約4万人にまで増加して、直近では約11万人になっています。
――株主優待効果すごいですね!優待の内容は、導入当初から自社商品の詰め合わせセットだったのですか?
そうです。株式投資という観点からすると、当社の価値を高め、株式としての魅力を高めることが個人投資家の皆様にとってとても大切だと思っていますが、一方で、当社は、BtoCの会社ですから、株主の方=消費者と考えることもできます。
ですから、株主の方に消費者の目線で当社のファンになっていただきたいと思い、自社商品をお送りするのが一番良いと考えました。その想いは優待導入当初からずっと変わっていません。
――御社の商品は、マヨネーズを始め、ドレッシングやパスタソースなど、どれも日本の食卓にお馴染みの商品ですが、優待商品を選定される際、意識されていることはありますか?
商品選定にあたっては、まずは、当社の主力商品である、マヨネーズとドレッシングは必ず入れるようにしています。それに、新商品を加えるということが多いですね。
また、優待で試した商品を気に入っていただけても、それが店頭になくて買えないとがっかりされると思うので、店頭に並んでいる可能性の高い商品を入れることも意識しています。
他には、会社の営業戦略上、ぜひ試していただきたいという商品を入れる場合もあります。
――個人的には好きな商品ばかりなので、どの商品が届いても嬉しいですが、株主の方の反応はいかがですか?
当社では、株主の方にアンケートを実施しているのですが、「新商品よりは、定番のマヨネーズやドレッシングなどのポピュラーな商品を入れて欲しい」というご意見が多く、これは意外でした。
一方で、定番以外の商品を気に入ってくださることもあります。当社のドレッシングの中で一番の定番といえば、”深煎りごまドレッシング”なのですが、ある時、新商品だった”レモンドレッシング”を入れてみたことがありました。ご満足いただけるか不安だったのですが、「さっぱりしていてよかった」「また入れてほしい」「買いました」といったご意見を多数いただきました。ご自身では普段選ばないような商品を優待でご試食いただくことで、お気に入りの商品となるのはとても嬉しいことです。
また、株主の方のSNSやブログも拝見するようにしています。株主の方が発信されている、優待に関しての率直なご感想は、翌年以降の優待商品選定にあたりとても参考になります。
――なるほど。11万人も株主の方がいるとなると商品選定は大変そうですね。
そうですね。なるべく万人受けする商品をお入れしようと思っています。優待商品の選定は、販売部門の責任者が先頭に立って行い、私どもと意見交換をしながら決めています。会社として売りたいと思う商品が、本当に株主の皆様に喜ばれる商品か悩むことも多いです。
それと、当社の優待制度は、保有株数に応じて、商品内容が変わります。例えば、100株以上499株保有の株主の方には、1000円相当の自社商品詰め合わせセットを贈呈させていただいておりますが、商品を選ぶ際、量より質なのか、質より量なのか、どちらを重視して1000円相当の金額にすれば良いのかが難しいですね。単価が高い商品を入れると商品数は少なくなりますし、商品数を多くしようと思うと単価が低い商品を入れることになりますし・・・。
実際のところ、数が少ないと箱を開けたときに物寂しい感じがしてしまうので、最低でも5アイテムはあった方が良いかなと思っています。
――届いた時のことを考えると、ある程度のボリュームがあった方が嬉しいかもしれませんね。それにしても、色々なところに気遣いが感じられますね。
気遣いという意味では、優待の梱包、配送についても、気を配っています。優待の梱包と配送については、子会社である(株)キユーソー流通システムが担当していますが、当社から優待商品を入れる箱の組み立て方や入れ方などを細かく指示して作業をお願いしています。
また、株主の方にきちんとした形でお届けできるよう、実際に優待商品の配送テストも行っています。
過去にマヨネーズの袋やパスタソースの袋が破れていると株主様からご連絡をいただいたことがありました。瓶詰め商品の破損は意外と少ないのですが、袋物は気圧の関係からか配送中に袋の口が開いてしまうことがあることがわかりましたので、株主様に気持ちよくお受け取りいただけるよう十分に気をつけています。
――配送のテストまでされているとは!今まで様々な企業を取材させていただきましたが、配送テストまで行っている企業はなかったと思います。さて、話は変わりますが、御社の優待商品は、3年以上継続保有の株主の方に贈呈するとのことですが、これもなかなか他の企業では見られないと思います。
2014年以前は保有年数の縛りはなく、100株以上保有している株主の方に優待を贈呈していましたが、2015年より3年以上継続して100株以上保有している株主の方に優待商品を贈呈するように変更いたしました。
変更した理由は、全ての株主の方へ安定した配当や企業価値の向上でお応えするとともに、長期にわたり応援してくださる方へはさらに優待品をお届けしていきたいとの考えからです。2013年に公表し、2年の期間を置いて、切り替えを行いました。
――変更した時の株主の方の反応はいかがでしたか?
正直、反対意見も多かったです。当初は、株主の方からお電話などもたくさんいただきました。でも、趣旨をきちんと説明すれば納得してくださる株主の方も多く、思ったほど株主数は減りませんでした。
――変更当初は大変だったんですね。現在はいかがですか?
だいぶ定着してきたように思います。ですから、最近の株主の方からのご質問は「数年前から500株保有しているけど、最近新たに500株追加した場合、更に3年以上経過しないと1000株保有対象の優待はもらえないのか」といった、1歩進んだご質問が多くなってきました。
ちなみに、保有株数が違っても合計で3年以上継続保有していただければ優待は贈呈させていただきます。継続保有の条件を満たしていれば、期末時点での保有数に応じた優待内容が適用になります。
――3年以上継続して保有するとなると、多くの株主の方が御社のファンでもあるということですよね。御社の優待内容に工場見学もありますが、これもファン株主の方にとっては嬉しいですよね。
はい。工場・施設見学は、春と秋の年2回、茨城県の五霞工場、兵庫県の神戸工場、東京都調布市の見学施設(マヨテラス)で行っています。工場見学は500株以上保有の株主の方が対象となりますが、毎回多くの株主の方にご応募いただき抽選でご案内しています。
当社グループや工場、施設のご説明に加えて、実際に工場・施設見学もしていただきます。
見学後は、株主の方と当社の役員が同じテーブルを囲んで、当社商品を使ったメニューをご試食いただいています。株主様6名ほどに対して当社役員1名が同席させていただくので、株主の方、お1人お1人と役員がしっかりとコミュニケーションをとることができ、大変ご満足いただいています。役員も当初は緊張していたようですが、今では懇談会をとても楽しみにしているようです。
また、働いている株主の方にもご参加いただきたいため、工場・施設見学は土曜日に開催しております。更に、株主の方に加えて、1名様ご同伴いただけますので、ご家族やご友人をお誘いいただいて、多くの方に当社を知っていただきたいですね。
――本当に魅力的な優待内容ですね。ご担当者様一押しの優待活用術はありますか?
株主の方から、優待で調味料が届いたが、どうやって活用すれば良いのかというご質問が多かったので、優待商品を使った簡単なレシピも同梱するようにいたしました。メニュー開発の部署と相談して、日常的に簡単に作れるレシピにしているので、ぜひ作ってみてほしいですね。
――とても役立ちそうですね!では、最後に株主の方にメッセージをお願いします。
まずは配当を出して、そして喜ばれる商品をお届けする、という当たり前のことをこれからも続けていきたいと思っています。そして、当社の株主優待を通して、定番商品に加えて、新商品なども活用していただき、ご家族で楽しい食卓を囲んでいただけたらと思います。当社の株を長期に渡りお持ちいただき、末長く応援していただけたら嬉しく思います。
――本日は貴重なお話しをいただきましてありがとうございました。
【株主優待のプロフィール(データは2019年10月23日時点)】
100株以上を3年以上継続保有の株主様に保有株主数に応じて、自社製品詰め合わせセットを贈呈します。
保有株式数 | 優待内容 |
100株以上499株保有 | 1000円相当の自社製品詰め合わせセット |
500株以上999株保有 | 2000円相当の自社製品詰め合わせセット |
1000株以上保有 | 3000円相当の自社製品詰め合わせセット |
優待内容は、2019年度。
●優待商品例:キユーピー製品詰め合わせセット 3000円相当(2019年3月贈呈分)
●年間予想配当金:45円(予定)
●最低投資金額:245,300円(100株単位)
●優待に必要な投資金額:245,300円(100株より)
※データは2019年10月23日時点
<合わせて読みたい!>
【絵でわかる】株主優待のもらい方