「特定口座(源泉徴収あり)」を使えば確定申告不要…?

知っておきたい「投資と税金」の基礎知識 Part.2 確定申告が必要なケースは?

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投資を始める際にまず行うことは、証券会社の口座開設。実は、いくつかの種類があり、選んだ口座によって投資を始めてからの納税の手続きが大きく異なるようだ。

そこで、株式投資に詳しい公認会計士・税理士の足立武志さんに、投資用の口座の種類と税金の申告について教えてもらった。

「一般口座」「特定口座」の違いは“税金の計算”の有無

「証券口座には、『一般口座』と『特定口座』という2種類があります。さらに『特定口座』には、『源泉徴収あり』『源泉徴収なし』の2種類が用意されています」(足立さん・以下同)

【知っておきたい「投資と税金」の基礎知識 Part.1】で解説したとおり、投資で得た利益には税金がかかる。「一般口座」、「特定口座」の違いは、その税金の支払い手続きが異なる点だ。

「一般口座」は、利益にかかる所得税や住民税など、税金の計算をすべて自分で行うもの。

「特定口座」は、税金の計算を証券会社が行ってくれるもの。「源泉徴収あり」は税金の申告・納付まで証券会社が行ってくれるが、「源泉徴収なし」は証券会社が算出した税金額をもとに、自分自身で確定申告を行うことになる。

「『一般口座』も『特定口座』も、開設は無料ですし、取引においての有利不利は一切ありません。投資の利益が年間20万円以下(ほかに所得のない給与所得者は所得税の確定申告不要)になることが予測できるのであれば、『特定口座(源泉徴収なし)』を選ぶ手もありますが、手続きの簡便さを考えて『特定口座(源泉徴収あり)』をオススメします。税金の計算や手続きは手間がかかるので、簡便さを考えて『特定口座(源泉徴収あり)』をオススメします。給与以外の所得があり、もともと確定申告を行う予定がある人は『一般口座』、『特定口座(源泉徴収なし)』を選ぶ手もあるでしょう」

年をまたいだ「損益通算」は確定申告が必須

「特定口座(源泉徴収あり)」を使用すれば、証券会社が税金を納付してくれるため、自分で確定申告を行う手間が省ける。ストレスなく、投資と向き合えるだろう。ただ、注意点もあるという。

「『特定口座(源泉徴収あり)』では、同じ年の間での『損益通算』はしてくれます。しかし、年をまたいでの『損益通算』はしてくれないので、確定申告が必要になるケースがあります」

「損益通算」とは、一定期間内の利益と損失を相殺すること。投資で出た利益分だけに注目して税金を計算するのではなく、損失と相殺して利益を抑えることで、税負担を軽くできる。1年間の利益と損失を相殺し、損失が上回った場合、その損失を翌年以降最長3年間繰り越して、その年に生じた投資での利益との相殺が可能だ。

「『特定口座(源泉徴収あり)』では、同じ年1年間の利益と損失は相殺して計算してくれますが、損失を翌年以降に自動的に繰り越してはくれません。年をまたいで『損益通算』する場合は、『特定口座(源泉徴収あり)』を使っていたとしても、確定申告が必要になるのです」

「損益通算」は、必ずしなければいけないものではない。ただ、することで税負担を抑えられる可能性がある。多少の手間は生じるが、損失が大きかった場合は確定申告を行った方がいいだろう。

配当金の受け取りは「株式数比例配分方式」が有用

「損益通算」は売却損益だけでなく、売却損と配当金で相殺することも可能だ。その際、基本的には確定申告が必要だが、確定申告不要にできる裏ワザがある。

「『特定口座(源泉徴収あり)』を使用し、配当金の受け取り方を『株式数比例配分方式』に設定すると、売却損益だけではなく配当金として得た利益も加味して、年間の『損益通算』を証券会社が行ってくれます。売却損益と配当金を『損益通算』するための確定申告が不要になるのです」

配当金の受け取り方は口座開設時に自身で選択する必要があるが、証券会社のマイページで後から変更することもできる。

「『株式数比例配分方式』は、証券会社の口座に配当金が振り込まれるもので、比較的新しい方式なので、投資をしている人でも知らないことがあります。税負担を減らすためにも、意識しておきたいところです」

ちなみに、「株式数比例配分方式」以外に、指定した金融機関(銀行等)で受け取れる「登録配当金受領口座方式」や、銀行または郵便局の窓口で受け取れる「配当金領収書方式」などの受け取り方がある。

利益にかかる税金の計算を証券会社が行ってくれるとなれば、投資を始めるハードルもぐっと下がるはずだ。口座の種類を何にするか迷った場合は、「特定口座(源泉徴収あり)」を選んで、始めてみよう。
(有竹亮介/verb)

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