3年に一度の貴重なデータも?
統計から考える外貨運用
提供元:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
2019年の一大イベントだった、ラグビーのワールドカップ。サッカーや野球などと比べると競技人口が少ないだけに、前評判はそれほど高くなかったが、日本代表の活躍もあり盛況のうちに幕を閉じた。
サッカーのワールドカップや夏季・冬季の五輪大会などスポーツのビッグイベントは4年に一度しか行われないものが多いようだ。長く最盛期を維持することが難しいアスリート。選手人生のどのタイミングで開催を迎えるのか、そんなドラマも見るものを惹きつけるのだろう。
さて、経済統計の世界にも数年に一度しか公表されないデータがある。その一つが、世界の中央銀行の政策と国際交流を支援する役割を担う国際決済銀行が公表する為替取引統計だ。
増え続ける為替取引、主役は米ドル
内容を少し見てみよう。まず目を引くのはその取引量の増加だ。2004年に1営業日当たり1.9兆米ドルだった外国為替市場の平均総取引高は、2019年には3倍以上の6.6兆米ドルまで増加している。
この間、経済のグローバル化が進展した影響も大きいが、世界の貿易量は2018年時点で年間約20兆米ドル。仮に営業日を200日として計算すると貿易量の66倍の為替取引が行われている計算になる。
為替取引の主体が、商業銀行や投資銀行などの報告対象金融機関から年金ファンド、ヘッジファンドなどのその他の金融機関に移っているとのデータも同レポートには掲載されており、「実需」以外の需要が取引量を拡大させていると見ることができそうだ。
低下した円のシェア、値動きも小さく
通貨別に見ると6.6兆米ドルのうち5.8兆米ドルが、米ドルを介した取引。為替取引は通貨ペアで行われるためダブルカウントされるが、為替取引のおよそ9割が米ドルを相手方とする取引。第二の基軸通貨として期待されるユーロを相手方とする取引は3割強に過ぎず、為替取引市場において米ドルは圧倒的な地位にあるといってもよいだろう。
日本の投資家の運用資産は円に偏りがちだが、このような統計の通貨シェアからは外貨投資、とりわけ米ドル保有の必要性が感じられるのではないだろうか。
円を相手方とした取引シェアは低落傾向が続く。減少分は米ドルが多く、投機的取引が減少したのではと推測する市場関係者も多い。
その傍証の一つとして挙げられるのが、為替相場の変動率の低下だ。下にここ20年間の対米ドル円相場の推移を示した。ここ2年間の変動幅は、過去に比べて随分小さくなっていることがわかる。
投機的取引の減少に加え、日本の産業構造が自国製品の輸出を通じて貿易黒字を稼ぐスタイルから、現地生産によって投資収益で稼ぐスタイルに変化している影響もありそうだ。
いずれにしても為替相場の安定感が増しているという事実は、外貨投資を検討する投資家にとって心強いデータだ。
やや敷居の高いイメージのあった外貨投資だが、いまではさまざまな商品を通じて行うことが可能だ。円の国際的なプレゼンスが低下し、その代わりに為替相場の安定感が増しつつあるいま、少し積極的に考えてみるのはどうだろうか。
(提供元:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)