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2020年1月の台湾総選挙に注目

長引く香港混乱は、台湾の蔡政権にとって追い風か?

提供元:アイザワ証券

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台湾では2020年1月11日に次期総統選挙の実施が予定されている。この総統選挙の前哨戦として実施されていたのが2018年末に実施された統一地方選挙だが、この選挙では、与党民進党が事前予想以上の大敗を喫した。この敗北を受けて選挙直後には、蔡政権の率いる与党民進党に対する人気が大幅に低下、蔡政権の支持率は過去最低レベルにまで落ち込んでいた。

しかし、台湾民意基金会の調べによると、直近11月末時点の蔡・民進党に対する支持率は55.2%と大幅に上昇し、一方、対抗する国民党の支持率は26.3%と、両陣営の支持率は大きく広がってきた。

風向きが大きく変わってきたきっかけのひとつが、香港のデモ長期化だ。以前から蔡氏は、中国本土に対して距離を置く、という姿勢を見せていたが、デモ長期化のなかで「現在の香港を明日の台湾にしてはならない」と訴え、これまで以上に中国本土に対峙するという方針を明確に示した。

このたびの香港の混乱をみて、これまで以上に中国本土に対する警戒感が強まっているため、嫌中ムードが高まっている。この状況は蔡氏にとって追い風の材料になっているといえよう。

おりしも、11月22日には米国トランプ大統領が「香港人権民主主義法案」に署名したことで、香港、中国、米国の関係がこれまで以上に複雑化する可能性も出てきた。そのほか、直近米国上院は「台北法」を承認した。この法案では、台湾関係法を再確認したほか、台湾との公式、非公式の関係強化、国際機関に対する台湾の参加支援などを謳っている。

また、ペンス米副大統領は10月24日の中国批判演説の中で、「米国は台湾と地域全体の平和を守る。」と述べた。米国は台湾・蔡政権支援の方針をはっきりと示してきたといえるだろう。以前から台湾では選挙のたびに、親中、反中が争点になりやすかったが、現在の香港の混乱状況が続く限り、反中の蔡政権にとっては好材料にはたらきそうだ。

蔡氏の対抗馬として出馬するのが高雄市長である国民党の韓氏だが、同氏は、2018年の統一地方選挙で圧勝し、国民党躍進の象徴的存在として注目された。しかし、その後は失言発言などが相次いだほか香港情勢の悪化もあり、国民党に対する支持率低下につながった。このたび2020年1月の総統選挙は、民心党優位がゆるがないとみてよいだろう。

蔡政権の支持率が回復気味になっているもうひとつの要因が、国内景気の安定だ。直近発表されている2019年7-9月期GDP成長率は前年同期比+2.99%と、2四半期連続で成長率が高まっている。世界では景気減速気味となっている国が目立つが、その中で台湾は比較的好調を維持しているといってよいだろう。

元々、台湾経済は半導体やIT関連市況との相関が高い経済構造で、直近までは世界的景気減速の影響を受けてきた。しかし、2019年7-9月辺りから世界的に半導体需給に改善の動きをみせていることで、台湾経済も景気好転の兆しが出始めている。

なお、台湾株式市場において時価総額が最も大きい企業が、世界最大の半導体ファンドリー企業である台湾積体電路製造[TSMC](台湾:2330)だ。同社は決算発表時期が早く、かつ、情報開示の透明性が高いため、直近は世界の半導体関連市場の動向を占う指標企業のひとつとなっている。

近年は、世界的に、5G推進、AI関連義技術の強化などが進められる中で、半導体需要の増加、微細化などが進められており、一時落ち込んでいた半導体需給の改善に寄与している。実際、11月1日には中国で5Gサービスが正式に開始された。世界的に5G関連投資の拡大が予想されるなかで、旺盛な半導体需要が続くことになりそうだ。

そんななか、直近発表されたTSMCの7-9月期決算では、営業利益が13%増益と5四半期ぶりの増益に転じた。台湾経済や世界の半導体市場の明るい未来を予見するような決算発表の内容であったといえよう。引き続き同社の収益状況および韓国経済の先行きに注目していきたい。

 

(提供元:アイザワ証券)

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