子育てにまつわるお金の話

「児童扶養手当」を申請すると水道代が安くなる!?

「ひとり親家庭」をサポートする支援制度あれこれ

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母親もしくは父親ひとりの力で子どもとの生活を維持していかなければいけない「ひとり親家庭」。金銭面での負担が大きくなりやすいことは、想像がつくだろう。

あまり知られていないが、ひとり親家庭向けに国や自治体が展開している支援制度や手当は、豊富に存在する。そこで、ファイナンシャルプランナーの井上美鈴さんに、生活の支えとなる制度を教えてもらった。

“子どもがいる家庭”には1万円以上支給される

「まず知っておいてほしいものは、子どもがいる世帯に支給される助成金です。受給するには、出生届や離婚届を提出するだけでは不十分で、役所で専用の手続きをしなければなりません。忘れないようにしましょう」(井上さん・以下同)

■児童手当
ひとり親世帯に限らず、中学生までの子どもがいる世帯に、毎月一定額が支給される制度。子どもの人数に応じて所得制限はあるが、子ども1人につき、3歳未満は月額1万5000円、3歳以上から小学生までは月額1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生は月額1万円が支給される。所得が多い世帯には、子ども1人につき一律5000円が支給される。

■児童扶養手当
ひとり親世帯に支給される助成金。子どもの人数に応じて所得制限があり、子どもが1人の場合は、所得に応じて月額1万120円~4万2910円の範囲(令和1年度の場合)で支給される。2人目以降も所得に応じて加算がある。ただし、両親や兄弟と同居して世帯収入が上がると、受給できなくなる場合も。

「自治体にもよりますが、『児童扶養手当』が認定されていると、JRの定期乗車券の割引や水道料金の基本料金減免、粗大ごみ無料、都営地下鉄・バスの運賃無料など、さまざまな支援を受けることができます。ひとり親であれば、必ず申請したい制度です」

■児童育成手当
東京都に在住しているひとり親世帯に支給される助成金。子どもの人数に応じて所得制限はあるが、支給額は子ども1人につき月額1万3500円(一部の区は1万3000円)。

「ひとり親家庭」は医療費が無料に!?

「生活にかかるお金を援助してくれる制度もあります。うまく活用すれば、生活費がかなり抑えられると思いますよ」

■ひとり親家庭医療費助成制度
医療保険の対象となる医療費、薬剤費等を助成してくれる制度。所得に応じて自己負担額は変わり、住民税課税世帯は1割負担(所得制限あり)、住民税非課税世帯は自己負担なし。本来、義務教育就学後は3割負担であるため、医療費がぐっと抑えられる。子どもだけでなく親の医療費も対象。

■就学援助制度
ひとり親世帯に限らず、世帯の所得が基準以下で、子どもが公立の小中学校に通っている場合に利用できる制度。学用品費や通学費、修学旅行費、学校給食費、PTA会費などが支給される。自身で建て替えてから、4月に申請し、住民税が確定する6月以降に認定結果が出る形式。認定されれば、実費または援助費の上限額が返金される。行事(修学旅行や遠足など)にかかるお金は、参加実績や費用が確認されてから返金される。

「企業やNPOの制度になりますが、ひとり親世帯向けに、入学お祝い金を渡す事業を行っているところもあります。例えば、認定NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむでは、小学校入学時に1万円またはランドセル、中学校・大学・専門学校等入学時に3万円、高校入学時に4万円を贈る事業を行っています。調べてみると、いろいろな事業が出てきますよ」

■母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
20歳未満の子どもを扶養しているひとり親を対象に、無利子または年利1%で生活資金や修学資金を貸してくれる制度。貸付限度額は自治体や仕事の有無によって異なるが、東京都であれば、生活費の限度額の幅は月額7万円~14万1000円。

離婚や死別でひとり親になった家庭は税金が戻ってくる

「ひとり親家庭は、税金が控除される制度もあります。年末調整や確定申告での申告が必要ですが、支払いすぎた税金が戻ってくるので、生活費や教育費の足しになると思います」

■寡婦(寡夫)控除
離婚や死別によってひとり親となった世帯で、一定額の所得控除が受けられる制度。年収500万円以下のひとり親は「特別の寡婦」と認定され、控除額が引き上げられる。離婚と死別では、制度を利用できる期間が異なる。離婚の場合は、子どもが親の扶養を外れるまで。死別の場合は、寡婦(寡夫)自身が死ぬまで利用可能。

■遺族年金
死別でひとり親になった場合に、定年退職前でも配偶者が加入していた年金を受け取れる制度。「遺族基礎年金」は、年間78万100円+子の加算(平成31年4月~)が受け取れる。第1子・第2子は1人につき22万4500円、第3子以降は1人につき7万4800円が加算される。「遺族厚生年金」は勤めてきた年数や納めている年金料によって変わるが、本来もらえる年金額の4分の3程度の金額になる。

「探してみると、ひとり親家庭向けの支援はたくさんあります。国が運営しているウェブサイト『子供の未来応援国民運動』には、自治体ごとに行っている支援制度が掲載されているので、確認してみましょう。公的な制度以外にも、ひとり親家庭向けの無料塾など、学習支援の情報も見られますよ」

最後に井上さんは、「支援制度は自動的に始まるものではなく、自分で探す必要がある」と、教えてくれた。

「制度ごとに募集時期が違うし、用意する書類が多かったり役所に行く手間があったりしますが、きちんと準備して制度を使うことができれば、生活に大きく影響します。途中で手続きをやめてしまう方も多いですが、最後まで頑張ってほしいですね」

ひとり親家庭を対象にした支援制度は、公的・民間ともにいろいろと用意されている。まずは、住んでいる自治体の制度を調べて、利用できるものがないか確認してみよう。
(有竹亮介/verb)

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