世界共通語「ESG/SDGs」

環境・社会問題解決の「目標」と「判断材料」

注目のキーワード「SDGs」と「ESG」はどう違うの?

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2015年9月、国連で採択された持続可能な開発目標「SDGs(エスディージーズ)」。貧困や雇用、気候変動など、環境・社会問題を解決するための世界共通のビジョンで、17の目標、169のターゲットで構成されている。

「SDGs」とは別にもう1つ、環境・社会問題に関するキーワード「ESG」も注目だ。「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を取った造語である。

「SDGs」と「ESG」。似たような言葉だが、何が違うのだろうか。日本総合研究所 創発戦略センター シニアマネジャーの村上芽さんに、きちんと知っておきたいキーワードについて聞いた。

問題解決のプロセス=ESG、ゴール=SDGs

「『ESG』とは、『企業の経営や成長において、環境・社会・ガバナンスという3つの観点での配慮が必要』という考え方です。『ESG』に配慮した行動を取っていくことの目的が『SDGs』と捉えると、わかりやすいでしょう」(村上さん・以下同)

例えば、コットンのTシャツを販売する際、「E」「S」「G」それぞれの観点で生産を見直していくと、「SDGs」達成の道筋が見えてくるのだ。

「E(環境)」の観点では、「染料の原材料が環境に悪影響を及ぼさないか」「資源は安定的に生産されるか」といった関心が生まれるだろう。「S(社会)」の観点だと「過度な残業が特定の人に集中しないか」、「G(企業統治)」の観点だと「いつでも必要な情報がしかるべき意思決定者から出てくるか」といったことがポイントになる。

「ESG」の取り組みの結果として得られる状態が、果たして環境・社会問題の解決につながるのか。その方向性を確認するためには、「SDGs」に記載されているターゲットを参考にするといいだろう。

「ESG」は“投資家”の意識を変えるための言葉だった

「ESG」という言葉ができたのは、「SDGs」より早い2006年。当初は、企業や団体に対する呼びかけではなかったようだ。

「当時の国連事務総長だったコフィ・アナン氏の呼びかけで生まれた言葉で、投資家や金融機関向けの期待として発せられたものでした」

その時点で、世界の環境・社会問題への取り組みは強まっていたが、問題解決のためには財政が厳しいという現実があった。そこで、民間の力(お金)を動かし、企業を変えていくことで達成しよう、と国連は考えたのだ。

「具体的には、投資家や金融機関が『ESG』の観点で投融資を行うことで、環境・社会面でよりよい企業や事業を伸ばし、悪影響を及ぼす企業には資金が集まらないようにするという考えです。国連は、この考え方を『責任投資原則(PRI)』として公表しています」

もともと「ESG」は、投資家や金融機関の意識、投資判断を変えるための言葉だったのだ。

「ESG」が企業を評価する“指標”に

「当初、アメリカなどでは『投資家のお金を預かって、環境・社会面に配慮した運用を行うのは、収益機会を減じ、受託者責任に反している』といった考えがありました。しかし、『PRI』に賛同する投資家が増え、実績も出てきたことで、『むしろ積極的に投資判断に活かすことが必要』という考え方に変わってきたのです」

世界の機関投資家が「PRI」を意識するようになり、日本国内でも、大手の機関投資家である「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」などが、「ESG」の観点をもとに投資を行っている。その結果、「ESG」が企業を客観的に評価する指標にもなってきているのだ。

「日本でも、財務情報だけでなく、『ESG』に関係する非財務情報も掲載した統合報告書を作る企業が増えてきています。今後は統合報告書を作るだけでなく、事業を通じて『SDGs』の達成につながっているかという将来性の部分が、ますます重要になっていくでしょう」

世界的に重要なキーワードである「SDGs」と「ESG」。しっかり頭に入れて、自身の投資や買い物、サービスを利用する際の評価軸として取り入れていくといいだろう。
(有竹亮介/verb)

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