芸能人の投資哲学インタビュー

元お笑い芸人で資産1億円!?

「投資が始められない理由」に、投資家YouTuber井村俊哉の始め方アドバイス

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老後資金を形成したい。生活費の足しにしたい。投資を始める人には何かしらの理由がある。一方で、「始めない人」にも始めない理由があるはずだ。そこで、東証マネ部!とクレディセゾンが共同で、投資をしていない人に対し「投資を始めなかった理由」を調査。上位5位までの回答がこちらだ。

1位/株式投資がよくわからなかった・難しそうに感じたから 46.7%
2位/株式投資に回すお金がなかったから 41.6%
3位/株式投資等に悪いイメージがある・損をしそうだったから 26.0%
4位/株式投資に関心がない・株式投資等をする必要がないから 15.5%
4位/証券口座開設手続きが面倒だから 15.5%

多く挙がったのは、投資に対する理解不足や不安、悪いイメージ。こうした声に対し、現役の投資家はどう考えるのだろうか? 不安を払拭するようなアドバイスをもらうため、投資家YouTuberの井村俊哉さん(Zeppy)を訪ねた。

井村俊哉(いむらとしや)/1984年生まれ。プロダクション人力舎でお笑い芸人として活動し「キングオブコント 2011」で準決勝進出を果たす。貧乏生活をしながら100万円を貯め、2011年に株式投資を開始。本業の「1000倍稼ぐ株芸人」として注目を浴び、2017年4月に資産1億円を達成。同年に芸人を引退し、現在は、日経CNBCでコメンテーターをしながら、投資の喜びをすべての人に届けるため、国内初の投資/経済系YouTuberのプロダクション「Zeppy」を2019年に設立。『Zeppy投資ちゃんねる』は、開設7か月で登録者数5万人を突破。中小企業診断士。著書『年収3万円のお笑い芸人でも1億円つくれた』はAmazonベストセラー1位獲得(「一般・投資」「節約」カテゴリー)

井村さんはもともとお笑い芸人として約10年、活動した。当時から株式投資を行い、2017年には億の資産を形成した。芸人時代の年収は100万円前後(その大半がアルバイト)だった井村さん。お金がない時期に始めたからこそ、投資初心者の不安やネガティブなイメージを抱く気持ちもわかるという。

そこで、アンケート上位3位までの「不安」に対し、背中を押すようなアドバイスを授けてもらった。

1位「よくわからない、難しそうに感じたから」に対するアドバイス

―― 投資を始めなかった理由、1位は「よくわからない、難しそうに感じたから」というものです。実際、難しいのでしょうか?

井村俊哉さん(以下、井村)「投資、難しそうですよね。数字の話ばかりだし、経済通だったり決算書を読めたりしないとできないイメージもあるのかなと思います。でも、じつは特にお金に強いわけでもなく、『なんとなく、雰囲気で』投資をしている人も多いんですよ。なんだか良さげな会社だから(株を)買う、とかね。

たとえば、僕が人力舎という事務所で芸人をやっていた時、大先輩の渡部さん(アンジャッシュ)が結婚されたんです。その話題だけで、株式市場が動きました。何の株が動いたと思います? 『ワタベウェディング』という会社の株が上がったんですよ。さらに、なぜか『コジマ電気』の株価も上がりました(※渡部さんの相方は児嶋一哉さん)。株式市場って、案外そんなイメージだけで左右されてしまうものなんですよ。そう考えると、そう難しいものでもないと思いませんか?」

―― 確かに、株価にはもっと複雑なロジックが絡んでいると思われがちですよね。

井村「もちろん、一定のロジックはありますよ。ヤフーやGoogleで『渡部さん 結婚』で検索する人が増える→ワタベウェディングのサイトが上位にくる→検索流入が増える、という良い流れによって株価にも好影響が生まれるわけです。ただ、コジマに関しては完全に“ノリ”ですね。それで4~5%も上がってしまうんですから。それくらい、なんとなく上がったり下がったりを繰り返すんです。だから、あまり気難しく考える必要はないですよ。

ただ、投資だけで食べていこう!と思うなら、やはりそれなりに学ぶ必要はあります。

―― かつての井村さんが、まさにそうだったわけですよね。芸人としての収入がなく、生きるために投資を始めたと。

井村「僕の場合は、アルバイトも辞めて生きるか死ぬかという気持ちで始めたので、ガチで勉強しました。最初は、やはり本ですね。感銘を受けたのはベンジャミン・グレアムの『賢明なる投資家』です。証券の仕組みや、株がどういうものかを知るのに役立ちました。あとは、『オニールの成長株発掘法』。バリュー投資を勉強した後に読んで『グロース株という発想もあるんだ!』と。こんな感じで、やりながら学んでいきました」

―― 初心者は投資関連の本が多すぎて、どれを買えばいいかわからないという悩みもありますね。

井村「とりあえず図書館に行ってみて、株式投資と検索して出てきた本をなんとなく読んでみるのでもいいと思います。個人的には、どの本も結局のところ、近しいことが書かれていると感じます。もちろん投資家が100人いたら100通りのやり方があるけど、根本の話はそう違いませんから。色々な本を読んで、そこから要素を抽出すると、近しいメッセージがあることに気づくと思いますよ」

―― その中から考え方や属性が似ている人、ライフスタイルに共感できる人をベンチマークにして、情報を収集するのもいいかもしれないですね。

井村「いいと思います。最も大事なのは、自分のライフスタイルに合う投資手法を見つけること。それはたくさんの本に触れることで、自分はこういうやり方が好きなんだな、これなら働きながらでもできそうだなといった発見があります。それを実践するってことですね。

投資の良いところは、めちゃくちゃ柔軟に、ほぼあらゆる人のライフスタイルに合わせられることですから。僕みたいに投資だけで食べていくならデイトレなんかも学ぶ必要がある。でも、本業があって、生活の足しとして投資をやりたいのであれば、利回りが高そうな株主優待を調べて『優待株をコレクションする』みたいなやり方でもいいんじゃないでしょうか」

2位「株式投資に回すお金がなかったから」に対するアドバイス

―― 投資を始めなかった理由、2位は「株式投資に回すお金がなかったから」です。そもそも生活するのに手いっぱいで、投資ができるような原資がないと。

井村「原資がないといっても、支出を減らせばお金はできますよね。僕自身、芸人時代は全く稼いでいませんでした。アルバイトで年間100万円、芸人としての年収なんて3万くらいでしたよ。でも、お金に困ったことって一度もないんです。というのも、支出が極めて低かったから。たぶん、当時は家賃や食費、通信費などを合わせても年間100万円も使っていないと思います」

―― 逆に、そこそこ稼いでいるのに、いつもお金に困っている人もいますしね。

井村「はい。ですから、『お金がない』という人はまず支出管理から始めてみてはどうでしょう。投資で100万円を運用して年20万円の利益を得ることは難しいですけど、年間200万円の支出を10%削るのは、そこまで大変じゃない。その分を投資に回せばいいわけですからね。捻出したお金を『もともとなかったお金』だと思えれば、ある程度はリスクをとる投資にチャレンジしてみてもいいと思います」

―― 給料を増やすのは一筋縄ではいきませんが、今あるお金をやりくりしての資産形成ならそこまでハードルは高くない。

井村「そうですね。それに、支出管理に長けていくとコストパフォーマンスのいい生活ができるようになるんですよ。お金の使い方がうまくなる。そのスキルは一生にわたって役に立ちますからね。

僕は今もやっていますが、ペットボトルのお茶は絶対に買わずマイボトルを持ち歩いています。ボトル1本分で2~3円なので、自動販売機で買うのに比べて50分の1のコストダウンです。我慢して節約するとかじゃなくて、QOLを落とさずコストカットする方法がいいですね。でないと、続かないので」

3位「株式投資等に悪いイメージがある・損をしそうだったから」に対するアドバイス

―― 投資を始めなかった理由、3位は「株式投資等に悪いイメージがある・損をしそうだったから」です。投資=ギャンブルというイメージも根強くありそうですね。

井村「著名な個人投資家の方も言っていますが『投資で勝つためには、ギャンブル的な要素をいかになくすか』が重要なんです。たとえば株式市場の買いか売りかの選択が50%・50%だとするじゃないですか。そこで、勝ちの確率を1%増やすだけ、51%にするだけで自分の収支はプラスになる可能性が上がる。期待値を少しでもプラスにすれば、ギャンブルじゃなくて資産形成になるわけです。いかに丁か半か、一か八かという要素を排除していくかが投資の本質だと思うんですよね」

―― つまり、投資をギャンブルととらえている時点で、あまり向いていないということでしょうか?

井村「そこは難しいところです。確かに、得をするか損をするかわからないという点でいえば、ギャンブルなのかもしれません。100%確実に得をするということはあり得ないので。

でも、投資によって全財産を失ったみたいな話って、ほとんど起こりえないと思いますよ。SNSではたまに見かけますけど、相当無茶なやり方をしないとゼロにするのは逆に難しい。余裕資金で取り組んでいればそんな悲惨なことにはならないし、結局ギャンブルになるかどうかは自分次第ではないかと」

―― 投資へのネガティブなイメージに加え、日本人は特に「お金を儲ける」こと自体に抵抗感がある人も多いような気がします。

井村「綺麗ごとに聞こえるかもしれませんが、投資は社会的に意義のあることだと言いたいですよ。投資を受けた企業がそのお金を使い、今までにないサービスを生み出すことで社会が良くなる。投資家、企業、社会の“三方よし”が株式市場の根本の思想ではないでしょうか。

でも、そういう小難しいことを考えず、単純に『儲かりそう』という動機でマーケットに向き合ったとしても、結果的にそれが社会を循環させていることになる。ですから投資は汚い、悪いものだと決めつけてしまうのは少しもったいないかなと感じますね」

投資はお金が増える(かもしれない)趣味

最後に井村さんは「小難しく考えず、趣味のような感覚で投資をやるのもいいと思いますよ。それも、お金が増える(可能性がある)数少ない趣味。多くの趣味はやればやるほどお金がかかりますが、投資はうまくやれば逆に増えるわけですからね」と語っていた。確かに趣味と割り切れば、損をしてもさほど痛手にならず、得をしたらラッキーくらいに思えるのかもしれない。

投資に興味がありながら躊躇しているという人は、井村さんのアドバイスを参考にしてみてはいかがだろうか?

取材・文=榎並紀行(やじろべえ)

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