傷病手当金のルールを確認
在宅勤務中にコロナウイルスにかかって仕事を休んでも、傷病手当金は出るのか
提供元:Mocha(モカ)
新型コロナウイルスの収束時期が見えない中、いつ自身も感染するかわからない不安がぬぐえない毎日です。そんな中、ウイルス感染を防ぐために在宅勤務を推進する企業も増えています。
もし在宅勤務期間中に新型コロナウイルスに感染して、仕事がまったくできなくなった場合、傷病手当金は支給されるのでしょうか。また、その他の病気ならどうなるのかを考えてみます。
傷病手当金ではどんな補償が受けられる?
傷病手当金は、病気やけがで休んでいる人とその家族の生活保障のための給付です。健康保険に加入している人が、病気やけがで仕事を休んだために給料が減ったり、無くなったりしたときに請求できます。ただし、休んでいても会社からの給料が受け取れている部分については支給されません。
傷病手当金は、休業4日目以降分から請求できます。給付される1日当たりの額は、
支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)
つまり平均的な毎月の給料総額の3分の2となります。賞与分は計算には含まれません。支給期間は、支給開始から最大1年6カ月間です。
なお、仕事中や通勤途中の病気やけがによる休みは、労災保険からの給付になるので、傷病手当金の対象ではありません。
在宅勤務中に病気で休業したら、傷病手当金は出る?
新型コロナウイルスの感染拡大によって、出社するのではなく、自宅やサテライトオフィスで仕事をする「テレワーク」が広がっています。
では、自宅で仕事をしていた人が新型コロナウイルスに感染して、仕事ができなくなって給料がもらえない場合は傷病手当金が請求できるのでしょうか?
結論からいうと、新型コロナウイルス感染症でも、扱いは他の場合と同じです。病気やけがで仕事ができなくなった場合、在宅勤務や日常的にサテライトオフィスなどで仕事をしている人も傷病手当金は請求できます。
ただ、請求できるのはあくまでも健康保険に加入している本人であって、国民健康保険の加入者や健康保険の扶養になっている人は対象になりません。加えて、社員ではなく請負業務として自宅などで仕事をしている人は健康保険に加入していないので、傷病手当金の対象とはなりません。
在宅勤務中の病気の治療費は?
傷病手当金は所得補償の意味合いでしたが、医療機関でかかる治療費はどうなるのでしょうか?
新型コロナウイルス感染症は、「指定感染症」「検疫感染症」に指定されました。したがって、在宅勤務中での感染であっても、検査にかかる費用、治療費は公費負担となるため個人で支払う必要はありません。
ではそれ以外の病気やけがの治療費はどうなるのでしょうか?
在宅勤務中でも治療費などは健康保険の扱いとなるので、基本的に個人負担は3割です。ただし、その病気やけがの原因が業務と深く関連すると証明できて、その請求が認められれば、労災保険が適用される場合があります。
健康保険と労災保険との大きな違いは、労災保険では原則治療費の本人負担がないことや、休業給付として給料の80%の所得補償を最大2年間受給できることなどです。つまり、労災保険のほうが健康保険より補償が厚いといえます。
労災保険は雇われている労働者のための補償なので、こちらも請負業務として自宅で仕事をしている人は対象にはなりません。
まとめ
新型コロナウイルス感染症であっても、在宅勤務中の病気やけがと同様に傷病手当金は請求できます。出社している場合と変わりはありません。さらに新型コロナウイルスが原因の場合は治療費の公費負担があります。
在宅勤務は働く人にとって、通勤時間の削減や家族との時間確保の上でも嬉しい制度といえます。筆者はどんどん広がっていけばいいと思っています。
しかし、労働時間管理や労災との関連など難しい面もありますし、サービス業など業務によっては在宅勤務ができない仕事もあります。
働く人みんなが働きやすい環境になるように互いに助け合って、この新型コロナウイルスという見えない敵と戦う困難を乗り切っていきたいものです。
[執筆:ファイナンシャルプランナー 小野みゆき]
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