所有するか相続放棄するか、その判断は3カ月以内に!

「知らずに空き家を所有していた!?」その時の対処法は?

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相続は親子間だけでなく、親戚間でも起こり得るもの。では、遠縁の親戚の家を相続したことに気づかず、唐突に固定資産税などを請求されるといったケースは、現実にあるのだろうか。

そこで、ファイナンシャルプランナーで不動産コンサルタントの橋本秋人さんに、知らずに空き家を所有していた場合に起こりうるトラブルを聞いた。

「知らずに所有していた!!」はほとんどない

「まず言えることは、知らずに不動産を所有しているというケースは、すごく稀だということ。私も長く不動産に関する相談を受けてきていますが、経験がないことです。ただ、遠縁の親戚が亡くなり、その子どもや兄弟が相続放棄した結果、巡り巡って自分に相続権が発生することがないとは言えません」(橋本さん・以下同)

ほとんどないことだが、その場合は、自動的に所有させられてしまうのだろうか。

「所有権が、自動的に移ることはありません。通常は、弁護士や後見人から『親戚の家の相続権がある』という旨の連絡が来ます。その時点ではまだ所有していないので、その家を相続するか、相続放棄するか選びましょう。相続権があることを知ってから3カ月以内に選ばなかった場合は、自動的に相続することになります」

相続放棄を選べば、所有せずにすむが、その手続きはかなり手間がかかるという。

「相続する人がいなければ、国が引き取ることになりますが、簡単には引き取ってくれません。まず相続財産管理人を立てて、その相続財産管理人が家を処分する、被相続人の借金を清算するなどして、最終的に残った財産を国が引き取ります。相続財産管理人が決まるまでは、空き家の管理責任が発生するので、相続しないにもかかわらず、その間は管理費用を捻出しなければいけません。また、相続財産管理人の報酬などにあてる予納金も必要になります。空き家を手放すにしても、相続してから譲渡や解体をした方が、手続きはラクだと思います」

元の所有者である親戚の死後おおむね3年以内に売却すると、「空き家を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例」が適用される。利益が3000万円以内であれば、税金がゼロになるため、資産価値がありそうな家であれば、相続して売却するのもいいだろう。

親戚の家を継ぐケースは増える可能性あり

「稀なケースとは言いましたが、近年は親戚関係が希薄になってきているので、一度も会ったことがない親戚がいることも珍しくないでしょう。離婚や再婚が増え、家族関係が複雑化していて、思いがけないところから相続の話が来ることが増えていくかもしれません」

少子化の影響で、叔父や叔母の家を甥や姪が相続するケースもあるという。

「相談者から、『親の家の隣にある叔母の家も、面倒をみなければいけない』という話を聞いたことがあります。同様の事例が増えれば、空き家も増えていきかねません。ただし、大抵は『叔父夫婦には子どもがいない』とか『叔母は生涯未婚』とか、既にわかっていると思うので、亡くなる前から相続に関して話し合う場は持てるでしょう」

親や親戚が所有している不動産に関しては、事前に確認することができるはず。「あるかもわからない空き家を危惧する前に、相続するかもしれない不動産を把握しておくことの方が重要」と、橋本さんは話す。

親や親戚が生きているうちに不動産の確認を

「最近は終活が普及したこともあり、親世代の方の意識も高まり、生きているうちに『この家はどうしようか?』と、子どもと話す方も増えてきています。その動きが大事なんです」

早めに動いた方がいい理由は、家の売却にはさまざまな手続きを要するから。例えば、名義変更をしようとすると、手間も時間もかかるそう。

「かつて、自宅の一部を売却しようとしたら、土地の名義が曾祖父のままだった家がありました。まず、名義を曾祖父から祖父、祖父から父に移し、その後で現在の所有者となる息子に変更するという、三度の相続登記が必要になったのです。そのケースでは、相続人は延べ35人にもなり、相続登記に21年もの時間がかかりました。自宅を売却しようと思い立っても、結局売れたのが21年後だったわけです。さらに、相続登記が終わるまでにハンコ代(承諾料)や弁護士費用、その間の管理費などがかかってしまったので、少なくとも名義などに関しては、早めに解決しておきたいところです」

物件に問題があれば、売りたくてもすぐに売れないおそれがある。両親や親戚が所有している不動産の把握、名義などの確認は、今すぐにでもしておいた方がいいだろう。
(有竹亮介/verb)

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