非正規社員の賃金の見直し! 大学は無償化!
2020年春から変わるお金のハナシ
新年度が始まり、気持ちをリセットして、新しいことにチャレンジしたくなる時期。国の制度も新たに施行されるものが多く、お金にまつわるさまざまなことが変化しそうだ。
そこで、2020年春からスタートする制度とその影響を、今のうちにチェックしておこう。
「同一労働同一賃金」が本格スタート
中小企業で「働き方改革」がスタート
原則として、時間外労働の上限を月45時間、年360時間とする「働き方改革関連法」が、2020年4月から中小企業でも施行される。既に施行されている大企業を含め、すべての会社員が関係することとなる。
時間外労働が減れば、必然的に残業代も減ることになり心配な人もいるかもしれないが、その分ボーナスなどを上げる会社もあるよう。一概に「働き方改革によって収入が減る」とは言えなそうだ。
「同一労働同一賃金」に関する法律が施行
同じく2020年4月から、正社員と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差が禁止される「パートタイム・有期雇用労働法」もスタートする(中小企業においては2021年4月から)。パートタイマーや契約社員、派遣社員、定年後の再雇用者などの非正規社員の待遇を改善するための法律だ。
正社員と同等の職務内容であった場合、非正規社員の基本給や賞与、通勤手当などの差が是正されるため、非正規社員の収入はアップする可能性がある。
「民法改正」で保証契約や相続のルールが変化
「民法改正」で保証人になるための手続きが複雑に
2020年4月の「民法改正」によって、120年ぶりに債権法が改正される。変更となる内容の1つが、保証人の契約に関するもの。
事業のための債務を主債務とする保証契約において、契約の前1カ月以内に、公証人が保証人になろうとする者の保証意思を確認し、公正証書を作成するという手続きが新設される。この手続きを経ていない保証契約は無効となるため、知らずに保証人になっていたということがなくなる。
また、同じく債権法の改正によって、債権の消滅時効が「権利を行使できると知った時から5年」に統一される。個人間の貸金債権の時効はこれまで10年だったが、今後は原則として5年となるため、注意が必要。
被相続人の配偶者を保護するため「相続法」も改正
「相続法」の一部の改正も、2020年4月に施行され、「配偶者居住権」が新設される。相続開始時に被相続人が所有していた建物に配偶者が居住していて、その配偶者に「配偶者居住権」の取得が認められた場合、無償でその建物に住み続けられる権利。
「配偶者居住権」は完全な所有権とは異なり、その家の売買や賃貸契約などはできない分、建物そのものの価値を低く抑えられるため、預貯金などのほかの財産をより多く相続できる。つまり、配偶者のその後の生活資金が、確保しやすくなるのだ。
学費に自転車、レジ袋…日常にかかわる変化も
「教育改革」により高等教育&大学無償化
2020年4月から、「高等教育の修学支援新制度」が開始。対象となるのは、大学・短期大学・高等専門学校・専門学校。授業料や入学金の免除・減額、返還しなくていい給付型奨学金の大幅拡充が図られる。
支援対象は全員ではなく、「住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生」と、低所得世帯の学生に限られる。家庭の経済状況に関係なく、学ぶ権利が保障されるというわけだ。
東京都で「自転車保険加入」が義務化
自転車事故の増加、また自転車事故での高額な損害賠償の事例を受けて、東京都では2020年4月から自転車保険加入を義務化。自転車保険の多くは、自身のケガだけでなく、他者をケガさせたり、他者の物を壊したりした際の損害賠償に備える個人賠償責任保険がセットされている。
今回の制度では、自動車保険や火災保険の特約として個人賠償責任保険を付帯していれば、加入義務を果たしていることになる。このタイミングで、契約内容を見直してみるといいだろう。
7月からは「プラスチック製レジ袋有料」
2020年7月からは、全小売店でのプラスチック製レジ袋の有料化が義務化する。それを受けて、4月から前倒しで有料化を開始する店もあるようだ。レジ袋の価格は各事業者に委ねられているが、政府は1枚当たり2~5円程度の先行事例を取り上げ、1円未満は「有料化に当たらない」としている。
レジ袋有料化は、投資家の間で浸透してきている「ESG=企業の経営や成長において、環境・社会・ガバナンスという3つの観点での配慮が必要」という考え方を、推進する動きといえるだろう。
ビジネスでもプライベートでも、お金にまつわるルールが変わっていく2020年。要点を押さえて、受けられる恩恵を逃してしまったり、思いがけない出費をしてしまったりしないようにしたい。
(有竹亮介/verb)