レンタルスペースに社員寮、シェアオフィスという使い方も!

売却以外にもいろいろある「空き家」活用3つの事例

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親が亡くなり、実家を引き継いだものの、放置したまま。住む予定はないが、思い入れのある実家は売りたくない。そうした場合、ただ維持管理する以外に使い道はないのだろうか。

「実家を継いだ際の選択肢は、(1)住む、(2)住まずに管理する、(3)売る、(4)活用する、という4つが考えられます」と教えてくれたのは、ファイナンシャルプランナーで不動産コンサルタントの橋本秋人さん。4つ目の「活用する」について、詳しく聞いた。

建物を不動産会社に貸して「宿所」に変更

「活用は、2パターン考えられます。1つ目は、家をそのまま残して、貸家やシェアハウス、民泊施設として提供する方法。2つ目は、家を取り壊して、アパートや貸店舗に建て替えたり、更地にして駐車場にしたりする方法です」(橋本さん・以下同)

「活用する」とは、つまり空き家を他者に提供して、賃料などの収入を得ること。ただ、建て替えは費用がかなりかかるため、家をそのまま貸せる方法があれば、知りたいもの。

というわけで、空き家をそのまま活用した事例を橋本さんに教えてもらった。

●ケース1「レンタルスペース兼簡易宿所」にして活用
ある男性が親から引き継いだ邸宅は、宮大工が建てたもので、立派な和室や庭園が広がる日本家屋。ただ、豪勢すぎるために借り手がつかなかったそう。

相続人も住まず、10年ほど空き家になっていたため、ある会社に貸し、活用してもらうことに。基本的に内装は変えず、続き和室や庭園をレンタルスペース、離れをシェアアトリエや芸術家のためのアートレジデンス、母屋の個室を簡易宿所として利用し、複合施設という形で活用した。

「敷地内の母屋、庭園、離れをすべて活用した例。すごく大きなお宅で、しゃれた日本家屋なので、レンタルスペースはCM撮影やコスプレ撮影などに使われることが多いそうです。ちなみに、リフォーム費用は会社側に持ってもらう代わり、家賃は相場の1割から2割程度に抑えています。空き家のままにして管理費をかけるより、管理も不動産会社にお任せして、お小遣い程度の家賃を得る方がいいですよね」

地域のニーズを把握すれば「非住居系」活用もあり

●ケース2「シェアオフィス」にして活用
埼玉・川越の6軒長屋は、そのうち5軒が10年以上空き家になっていた。空き家の再生に力を入れている会社が、相続人の高齢女性から借り受け、部屋ごとに用途を変えてリノベーション。ひと部屋はカフェ、ひと部屋は居酒屋になった。

この空き家再生の目玉は、シェアオフィス。川越駅から徒歩25分という立地だったが、1カ月8000円という格安な利用料の効果もあってか、15名の定員はすぐに埋まった。フリーランスのデザイナーなどが利用しているそう。

「非住居系の活用例。ケース1の日本家屋と同じで、リフォーム費用は会社持ちです。これは成功例ですが、店舗やシェアオフィスとして活用する場合は、地域のニーズを把握するための市場調査が欠かせません。最近は古民家カフェなども増えていますが、きちんと利益を上げられる立地でなければ事業は長続きしないので、慎重に検討しましょう」

建物“だけ”売却して活用するケースも

●ケース3「社員寮」にして活用
開業医だった夫が亡くなり、自宅の隣にある病院を妻が相続することに。アパートへの建て替えなどの提案もあったが、思い出の病院を残したいという相続人の気持ちを優先し、別の活用法を模索していたところ、ある企業から「社員寮兼賃貸住宅にしたい」という申し出があった。

産婦人科で個室が多かったため、そのまま居室にリフォームし、外観も改装。空き病院は、社員寮として再び利用され始めた。

「このケースでは、建物だけをその企業に売却し、土地は借地として貸しています。『定期借地権』を使えば、定期的に土地代が入ってきて、期限が来れば必ず戻ってきますし、建て替えと違いコストがかかりません。この社員寮のように、空き家をシェアハウスのように活用する事例は増えてきています」

まずは建築やリノベーションのプロに相談

「活用法を検討する際には、所有者がしたいことよりも、その場所でできることを優先した方がいい」と、橋本さんは話す。

「リノベーション事業をしている不動産会社や懇意にしている建築会社、役所の専門部署など、空き家活用に詳しい専門家に相談すると、効率的な活用法が見えてくるでしょう。プロのアドバイスを聞き、市場調査をした結果、活用が難しい場合もあります。そう判断されたら、売却も視野に入れたいところ。空き家にしておくリスクを下げるためにも、早めに動くことをおすすめします」

なんとも夢のある空き家活用だが、現実がともなってこそ。建物はそのまま使えるか、そのエリアはどのようなニーズがあるか、売却せずに活用したい場合は、専門家に相談してみよう。
(有竹亮介/verb)

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