リタイア後のマネー事情

特養、ケアハウス、サ高住…一体何が違うの?

11種の「高齢者向け住宅・施設」サービス内容&費用徹底解剖

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親の老後を考える時に、生活の場の選択肢の1つとして挙げられる高齢者向け住宅や施設。どこで暮らすかは、施設の情報を集め、家族とともに考えていくことになるが、そもそもどのような施設があるのだろうか。「特養」「ケアハウス」「サ高住」など、さまざまな名称があるが、その違いはよくわからないもの。

そこで、ファイナンシャルプランナーの山田静江さんに、高齢者向け住宅・施設の種類を教えてもらった。

高齢者向け住宅&施設は11種類

「高齢者が安心して暮らすためには、『バリアフリーの住居』『見守り・生活支援』『介護・医療』という3つが必要です。バリアフリー仕様の居室、安否確認や健康相談などの見守りサービス、食事や入浴介助などの生活支援は、ほとんどの施設が対応していますが、介護・医療の分野は施設によって異なります」(山田さん・以下同)

山田静江さんの取材をもとに作成 デザイン:藤田としお/ZUNNY

入居者のニーズの多い「食事」「介護」「医療・看護」の3つをポイントにして、高齢者向け住宅・施設を紹介してもらった。

「『食事』が『△』のサ高住では、食事を提供していないところもあります。また、『介護』が『△』の施設は介護付きではないので、個別契約が必要になるということです。『医療看護』の『△』は、施設によって異なるところ。提携している病院の有無、看護師が常駐していて24時間医療対応できるかどうかなど、対応はさまざまなので、事前のチェックはマストです」

居住費や介護費なども、施設やサービスによって異なるようだが、重要なポイントはその合計額だという。

「施設入居には、居住費(事務費含む)、食費、介護費用、その他の費用(上乗せ介護費用、個別に頼むサービス費、雑費など)が、それぞれかかります。例えば、食事なしの施設の居住費が安かったとしても、入居者が自分で料理できず、デリバリーを頼めば、食費は高くなり、食事介助の費用も別途かかるかもしれません。食事付きの施設の方が、費用を抑えられるかもしれません」

施設の立地や設備によっても、費用は大きく変わる。地価や人件費が高い都市部であれば、居住費やサービス費は高くなるだろう。部屋が広く、食事が立派な施設は、全体的に費用がアップする。

「都市部と地方で施設の居住費を比較すると、1カ月あたり5~10万円程度変わると考えた方がいいでしょう。多くの施設は、現在住んでいる地域に関係なく入居できるので、費用を考慮して、郊外の施設を選ぶこともできます」

1人暮らしが不安な場合に入居できる住まい

「高齢者向け住宅・施設の種類」の表の(1)~(5)は、1人暮らし、あるいは高齢者だけの生活に不安を感じた際の住み替え先の候補となる住まい。原則として60歳以上であれば、要介護認定を受けていなくても入居できる。ちなみに、紹介する費用は首都圏の例。

(1)シルバーハウジング
見守りサービス付きの公営住宅で、入居者を見守る生活援助員が配置されている。家賃は収入によって異なり、低所得者は費用負担が軽くなる。

1カ月の費用の目安

(2)サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
見守りサービス付きの民間の賃貸住宅。契約形態は「賃借契約」または、入居者限りの「終身賃借契約」。台所や風呂などの設備が整うマンションタイプから、トイレや洗面台以外は共有のワンルームタイプまで、施設によってさまざま。なかには、病院が経営母体で、医療ケアが必要な高齢者専門の住宅もある。

1カ月の費用の目安

(3)住宅型有料老人ホーム
サ高住と似たタイプの施設。異なる点は、食事や生活支援サービスが必ず提供されること(任意契約の部分もある)と、契約形態が「終身利用権方式」(賃貸住宅ではないため利用権となる)であること。居住スペースはサ高住とほぼ同じで、ワンルームタイプもあれば、高齢者向けマンション風の施設もある。

1カ月の費用の目安

(4)ケアハウス
1人暮らしが難しくなった高齢者向けの施設。居室は基本的にワンルームタイプで、食事などの生活支援サービスが提供される。居住費や食費は収入によって異なり、低所得者は費用負担が軽くなる。

1カ月の費用の目安

(5)介護付有料老人ホーム(入居時自立型)
元気なうちから入居でき、要介護認定を受けた際には同じ施設で24時間対応の介護が受けられる複合型施設。設備やサービスが充実していることもあり、他の施設と比べて料金が高額な施設が多い。

1カ月の費用の目安

要介護認定を受けた人が入居できる施設

「高齢者向け住宅・施設の種類」の表の(6)~(10)は、要介護認定を受けたことを条件に入居できる施設。(8)~(10)は、介護保険の施設サービスが適用されるため、低所得者は居住費や食費が軽減される。費用の目安は首都圏の例で、介護費用は介護保険の適用を受けて自己負担額を1割とした場合の金額。収入によって、自己負担額が2~3割になることもある。

(6)介護付有料老人ホーム(介護型)
介護が必要な人専用の有料老人ホームで、24時間対応の介護が受けられる。医療対応があるか、看取りまで行うか、認知症への対応などは、施設によって異なる。

1カ月の費用の目安

(7)介護型ケアハウス/介護型サ高住
ケアハウスとサ高住のうち、24時間対応の介護が受けられるタイプ。介護型ではないケアハウスやサ高住に比べて、費用はやや高め。介護型ケアハウスは、収入により居住費や食費の負担額が決まる。

1カ月の費用の目安

(8)介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム/特養)
中度~重度の要介護状態の人で、自宅などでの生活や介護が難しい人が入居できる施設。多くの施設で、看取りまで行う。収入によって居住費や食費が軽減され、重度の要介護者にも対応していることから、人気が高い。

1カ月の費用の目安

(9)介護老人保健施設(老健)
自宅やほかの施設への転居を前提に、生活リハビリを行いながら、3カ月~6カ月など短期間入居できる介護施設。自宅で介護する際の準備期間や、ほかの施設を探す間に滞在できる。

1カ月の費用の目安

(10)介護医療院(旧介護療養型医療施設/療養病床)
長期的に医療と介護の両方が必要な人のための介護施設。重篤な身体疾患を有する人及び身体合併症を有する認知症高齢者など、高度な医療サービスが必要な人が対象。

1カ月の費用の目安

認知症高齢者の専門施設も

(11)認知症グループホーム
認知症で要支援2以上の人が入居できる施設。落ち着いた生活ができるよう、1ユニット5~9人の少人数で運営される。認知症に対する特別なケアや対応を行っている施設もある。

1カ月の費用の目安

「さまざまな施設がありますが、種類を優先するよりも、親が入居可能な施設を探すことが重要です。親に必要なサービスが受けられるか、費用を払い続けられるか、家族が通える場所か、さまざまな条件と合致する施設を探しましょう」

親や自分の老後を考え、高齢者向け住宅や施設を早めに調べておいて損はないだろう。施設ごとにサービスや費用が異なることを念頭に置き、まずは住んでいるエリアから調べてみてはいかがだろうか。
(有竹亮介/verb)

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