リタイア後のマネー事情

サービスを比較検討する前に「保証人」の準備を!

親が元気なうちに知っておきたい「高齢者向け住宅・施設」の選び方

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終の棲家となるであろう高齢者向け住宅・施設。高齢の親のことを考えたら、なるべく住み心地のいい場所を選びたくなるが、どのような施設がいいのだろうか。

「重要なポイントは、施設の名前やブランドではなく、入居者に合う施設かどうか」と、ファイナンシャルプランナーの山田静江さんは話す。より具体的に、高齢者向け住宅・施設を選ぶ際の注意点を聞いた。

「保証人」がいないと入居できないことも!?

「最初に知ってほしいことは、介護は情報戦ということ。ほとんどの高齢者向け住宅・施設は民間(社会福祉法人、NPO法人、株式会社、有限会社など)による運営なので、国や自治体の担当者がおすすめの施設を教えるわけにはいかない、と思っておきましょう。働きながら親の介護をするのであれば、介護休業や介護休暇は、親を安心して預けられる施設を探すための時間だと考えてほしいですね」(山田さん・以下同)

高齢者向け住宅・施設の情報は、積極的に取りに行かなければ、得られないそう。また、情報を仕入れるだけでなく、実際に施設を見に行くことが大切だという。

「施設の状況や雰囲気を、実際に見て確認することは必須です。見学の際には、施設側も入居者の子どもであるあなたの言動を見ていることをお忘れなく。また、施設によっては、保証人の収入などの審査が発生する場合があります。仕事を辞めてしまった後に、親の施設入居を検討する際には、誰かに保証人をお願いせざるを得ない状況になるかもしれません。親の介護が必要だからと安易に退職することは、おすすめできません」

保証人とは、治療方針などの判断や入居者が亡くなった後の引き取りのほか、入居費用負担の保証などを行う人で、施設入居や入院の際に必要となる。複数の保証人や、同居の家族以外の保証人が求められる場合もあるそう。

「厳しい話ですが、保証人がいないと、入居を断られることがあります。施設を決めるより先に、家族の誰が保証人になるか相談して、決めておくことも重要です」

親の健康状態によって「医療対応」の有無もポイントに

高齢者向け住宅・施設のサービス内容や費用に加えて、留意すべき点は、介護される親の健康状態や終末期の対応。

「高齢になると、投薬や定期的な注射などが必要になる方が多いのですが、これらの行為は原則として医療関係者しか対応できません。医療機関と提携していたり、看護師が常駐していたりする施設だと安心です。要介護度が高い方が入居する特別養護老人ホームでも、医師や看護師がいつも施設にいるわけではありません。対応は施設ごとに異なるので、入居までに必ず確認しましょう」

施設によって、提携病院が隣接しているところや、医師が定期的に施設に来て持病の薬を処方してくれるところもあるという。高齢者にとっては、医療に関するサービスも大切な要素だ。

「終末期に関しても、親の望みを聞き、その希望に沿った対応をしてくれる施設を見つけられるといいでしょう。親が延命治療を望んでいない場合は、終末期に病院に移さず、最後まで看取ってくれる施設かどうかも、選択基準の1つになります」

「重要事項説明書」で施設の現状を把握

設備やサービスに加え、立地も大切なポイント。費用に影響するだけでなく、家族が通える場所か、入居者自身がリラックスできる場所かといった視点でも、考えていく必要がある。

「基本的には、北海道でも九州でも、好きな土地の施設に入居できます。ただ、入居者になじみのない地域だと、食事の味付けや言葉の違いから、ストレスを感じてしまうこともあるのです。どのような環境か知るためにも、見学は重要。遠い場所だと、家族の交通費負担もかさみます。入居者の具合が悪くなった際に、家族がすぐに駆け付けられる場所であることも、条件の1つといえるでしょう」

施設が開示している「重要事項説明書」を読み込むことで、その施設のことをより深く知ることができるとのこと。

「『重要事項説明書』には、介護職員の人数や介護職員1人が受け持つ入居者の人数、協力医療機関の有無、提供するサービスの種類など、入居者の日々のケアに関して細かく書かれています。希望するサービスが適切に受けられるかどうか、ある程度は判断できるでしょう」

「重要事項説明書」には、入居率や介護職員の離職率なども記載されている。そこから、施設の経営状態も見えてくるのだ。入居してから施設が破綻してしまうことも、ないとは言い切れない。財務諸表だけではわからない経営状態を知ることもできるだろう。

「もし、自分で情報を集めることが難しい、書類の内容を理解できないと感じるようであれば、高齢者住宅・施設のアドバイスや紹介をしている専門家や業者などに手伝ってもらってもいいと思いますよ。親身に相談に乗ってもらえるでしょう。ただし、ご自身でコンタクトを取る必要があり、相談は有料のところも無料のところもあります」

介護が必要になってから施設を探し始めたら、焦ってしまい、冷静に判断できないかもしれない。親が元気なうちに、老後の過ごし方や施設の条件などを聞いておくことも大切といえそうだ。
(有竹亮介/verb)

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