WTI先物の満期日を分散し変化に対応
原油先物への投資を考える
提供元:UBS ETF
原油先物価格の急落
2020年4月20日、価格決定の透明性の高さや取引高、取引参加者数で世界規模を誇り、国際的指標となっている、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYNEX)で取引されるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の取引中心の期近の5月物が取引時間中に一時、-40米ドル超まで下落し、史上初となるマイナス圏に突入。原油先物市場のみならず、金融市場に大きな衝撃を与えました。
<背景>
・世界的な新型コロナウイルス拡大による経済活動の急激な停滞(原油の需要低迷)。
・2020年4月9日に合意された主要産油国の減産合意内容への疑念(需要低迷に対して十分な減産内容であるかどうかに関して)。
・近年、原油先物市場に投資資金が流入(投資信託等の金融商品を通じて)。
・WTIの決済方法(差金決済ではなく現物引き渡しが前提のため、需要低迷と十分な減産調整がバランスよく機能しない中、貯蔵スペースの受け入れが限界に達した)。
上記の要因が5月物の最終取引日である2020年4月21日に向けて重なり、一気にWTIの大幅な下落へと拍車をかけた形となりました。
今後、WTIの取引中心が6月物、7月物と期先へ移行していく中、原油先物市場を取り巻く状況に改善が見られない限り、再び2020年4月20日のような原油先物価格急落が起きるのではないかという点が懸念されています。
WTIの水準
2020年4月20日の急落後、2020年4月24日の取引中心の6月物は16.04米ドルとなっており、過去30年間でみると歴史的に低い水準となっています(尚、過去の実績は将来のパフォーマンスを保証していません)。
原油先物価格の期間構造
原油先物には満期(限月)があり、取引所では満期の異なる複数の原油先物が取引対象となっています。満期の遠い先物(期先物)ほど先物価格が高い状態はコンタンゴ(または順ざや)と呼ばれ、先物価格が安い状態はバックワーデーション(または逆ざや)と呼ばれています。
現在の原油先物の状況
2020年4月20日の急落後も、原油先物価格はコンタンゴの状態となっています。
投資資金の伝統的原油先物投資スタイル
取引中心の期近の先物のポジションを保有し、時間の経過に伴い満期が近づくにつれ(保有する期近の先物ポジションの最終取引前までに)、期先の先物のポジションに移行させます(ロールオーバー)。2020年4月20日のWTIの急落時には期近の5月物が大きく下落したため、期近の先物ポジションを保有する原油先物投資スタイルのリターンが大きく悪化しました。
コンスタント・マチュリティ方式による原油先物投資
保有する先物の限月を分散し、複数ある先物の限月の一部を毎日少しずつロールし、先物のロールオーバー時の価格差を考慮した「UBSブルームバーグCMCIコンポーネンツWTI原油指数」(以下、CMCI原油先物指数と呼ぶ。)という指数があります。
CMCI原油先物指数の保有する限月の割合の内訳
CMCI原油先物指数のパフォーマンス
過去5年間ではCMCI原油先物指数が伝統的原油先物投資スタイルであるブルームバーグWTI原油サブ指数を2016年以降、アウトパフォームしています。また、足元のWTI先物価格が大幅に下落した局面では、WTI先物の3ヵ月先の限月~3年先の限月に分散投資しているCMCI原油先物指数の下落は限定的でした(過去の実績は将来のパフォーマンスを保証していません)。
現在、CMCI原油先物指数を投資対象とする、投資信託等がありますので、変化する原油先物への中長期的な投資手法として、ご検討ください。
(提供元:UBS ETF)