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7500万人のユーザーに投資のチャンス

ドコモのdポイントで株を買う。「日興フロッギー」で“ポイ株”を

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株を買うには、まとまった“お金”が必要……。そんなイメージを持つ人もいるだろうが、これは昔のこと。最近は、ポイントで少額から株を買えるサービスが登場している。

NTTドコモ(以下、ドコモ)の「dポイント」でも、今年3月から株を買えるようになった。「日興フロッギー+ docomo」というサービス内で、100ポイント=100円から国内企業の株やETF(上場投資信託)を購入できる。選べる銘柄は約3700に及ぶという。

日興フロッギーは、SMBC日興証券が立ち上げた“投資情報メディア”。両社のサービスが組み合わさって、dポイントでの株式購入が実現した。

そこで本記事では、ドコモの原田伸也氏、中井沙織氏、SMBC日興証券の横山敦史氏、田中惠子氏にオンラインで取材。サービスの詳細や誕生の経緯を聞いた。

「日興フロッギー」という、証券会社にとっての挑戦

dポイントでの株購入を取り上げる前に、まずは日興フロッギーというサービスを詳しく見ていきたい。こちらは、お金や投資に関するさまざまな記事が日々掲載される「投資情報メディア」。といっても、よくありがちな堅い記事ばかりのお勉強メディアではない。マンガで実業家や著名投資家の“金言”を紹介する記事や、投資で財を築いた“億り人”へのインタビュー、最近のニュースでよく聞く企業の銘柄をサクっと紹介する「銘柄トレンドWatch」など、初心者でも楽しめる内容になっている。

「日興フロッギーは、もともと記事のみを載せていましたが、2019年2月に株の購入機能を追加しました。記事を読んで、気になった企業や『ちょっと買ってみたい』と思う瞬間があったら、そのまま投資ができる。学びと実践をひとつにしたサービスとなりました。いきなり高額で購入するのはハードルが高いので、500円という少額から投資できるように。さらに現在は、100円からの購入が可能となっています」(SMBC日興証券・横山氏)

たとえば4月末の「銘柄トレンドWatch」では、ステイホームの中で「自宅での運動をサポートする企業」を紹介。任天堂やバンダイナムコHDを挙げており、そのままそれらの企業の株を買うこともできる。「今までと違う形で、企業との出合いを提供している」(SMBC日興証券・田中氏)とのことで、初心者でもわかるように、専門用語を極力減らすなど、UX(ユーザーエクスペリエンス)にもこだわっているのが特徴だという。


同社にとって大胆な試みで、横山氏はマンガ記事などを描くイラストレーターをイチから自分で探したこともあったという。もちろん初めての経験だった。


そして、このサービスに「dポイントでの株購入」が加わった。100ポイントから株やETFを買えるだけでなく、新着記事を読むと3ポイントが進呈される特典もついた(1記事1回限り)。ポイントなら購入ハードルが下がるうえに、dポイントのユーザーは7500万人を超える。裾野拡大の契機になるかもしれない。

申し込みは約10倍。dポイントで株購入のインパクト

実はドコモも、ここ数年は「dポイント×投資」の展開を加速してきた。dポイントで投資の疑似体験ができる「ポイント投資」と、実際のお金でロボアドバイザーによる投資(※AIによるおまかせ運用を行う)をしながらdポイントが貯まる「THEO+[テオプラス]docomo」を2018年5月にローンチしている。

「2つのサービスを展開する中で、お客さまから『ポイントを使って個別株にも投資したい』という声が多くあがりました。たとえばポイント投資は、現在60万人を超えるお客さまがいるのですが、アンケート調査の結果、4割のお客さまがポイント投資の利用をきっかけに投資に興味を持ったと回答しています。また、『dポイントを使って実際に投資がしたい』『自分で銘柄を選ぶ株式投資も経験したい』というご意見も頂いております」(ドコモ・中井氏)

この状況を踏まえて「dポイントと日興フロッギーの組み合わせに親和性を感じた」とドコモ・原田氏。「楽しく学びつつ100円から株を買える日興フロッギーのUXは魅力的で、シナジーを生み出せると考えました」と続ける。

こうして生まれた今回のサービス。両社は、ポイントで株を買う“ポイ株”をキーワードに掲げており、そのスタイルが「定着してほしい」と口を揃える。

すでに、新しいユーザーの増加も顕著になっている。dポイントで投資ができるサービスのリリース後1週間で、日興フロッギーからの口座開設申し込みが「これまでのおよそ10倍になった」(SMBC日興証券・田中氏)とのこと。年齢も若年層が多いようだ。サイトPVも3倍程度に増えたという。

さらに、今後のプランも両社で練っている。ひとつのアイデアとして出たのが「応援ファン投資」。「特定企業の株を買うと特典がつくような仕組みを作れたら」とドコモ・原田氏。それにより、初期購入のハードルが下がることを望む。

SMBC日興証券の横山氏も「特典は法律の兼ね合いも出てきますが、どんな形なら可能なのか粘り強く考えたい」と話す。

もうひとつ、ドコモならではのアイデアとして、中井氏はこんな考えを口にする。

「ドコモには、dポイントクラブの会員情報など、さまざまなビッグデータがあります。これらを、お客さまの同意を得た上で活用できるといいですね。たとえば、お客さまに親和性が高いと想定される株式銘柄を紹介するなど。その人に身近な銘柄を出して、新しい出会いを提供していきたいですね」

原田氏は「ドコモの人間は証券や金融について素人です。そのため、金融業界では無茶と思われるような無理な提案をしてしまうことも多い」という。しかし「SMBC日興証券はそれを受け止めて『これは無理でも、こうしてみるのはどうですか?』と前向きに対応頂けるので大変助かっています」という。だからこそ「両社で今までにない金融サービスを生み出せるはず」と意気込む。

SMBC日興証券とドコモの組み合わせによる新しい取り組み。両社が掲げる“ポイ株”は、まだまだ新しい展開を生みそうだ。

(取材・文/有井太郎)

※記事の内容は2020年5月現在の情報です

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