プロが語る!資産形成のすゝめ

常識を疑え!覚えておきたい株式投資指標の“新常識”

提供元:岡三証券

TAGS.

~「従来の常識」は今も本当に通じる?~

「配当利回り」「PER」「PBR」

株式投資の際に、よく耳にする投資指標ではないでしょうか?これらの指標の説明や使い方は色々な投資の教科書に取り上げられ、株式投資の「常識」となっています。

ただ、日々刻々と様々な変化が起きるのが株式市場です。その変化をうまく捉えることが株式投資で成功するためには欠かせません。これまでは当たり前だった投資の「常識」も、時間の経過や相場環境によって変化することがあります。現在の株式市場で実際に起きている“新常識”に触れることは、株式投資の一助となるのではないでしょうか。

~固定概念にとらわれない柔軟な発想が必要!~

そこで、今回は「配当利回り」と「PER」の“新常識”をご紹介します。まず、配当利回りですが、1株当たりの配当金を株価で割って計算される指標で、利回りの高い企業が注目されます。

日本では低金利環境が続いていますから、配当利回りが高い「高配当株」が注目を集めます。実際に、日本の10年国債利回りはゼロ%近辺で推移している半面、東証1部の予想配当利回りは約1.3%(単純平均)となっています(2020年6月4日現在)。今後も日銀の大規模な金融緩和策によって、超低金利時代が長期化するとみられるため、配当利回りに対する関心は続くでしょう。

<従来の常識>
配当利回りの高い「高配当株」が安定的な投資対象!

ここで注意すべきは、配当利回りの高い銘柄の中には、株価が低調な銘柄も散見される点です。つまり、配当利回りの計算式の分母である株価の下落が、結果的に利回りの上昇につながるケースです。これでは、いくら「見た目」の配当利回りが高い銘柄に投資をしても、インカムゲイン(配当)とキャピタルゲイン(値上がり益)のトータルでみれば投資効率が悪くなってしまいます。

また、直近の配当利回りが高くても、将来的に業績が悪化すれば減配となるリスクがあります。裏を返せば、直近の配当利回りが極端に高くなくても、今後の業績拡大が増配につながることで、「将来の高配当株」に育つ銘柄も注目できます。最近ではDOE(株主資本配当率)と呼ばれる新しい投資指標を中長期の経営目標に掲げる企業もあるなど、企業が本来持つ「還元力」に注目する方法もあります。

<“新常識”>
配当利回りに加えて、業績も安定している「“好”配当株」が魅力的な投資対象!

次に、PER(株価収益率)です。PERとは「PER(Price Earnings Ratio)= 株価/ 1株当たり利益(EPS)」で、1株当たり利益に対して株価が何倍まで買われているかを表す指標です。一般的に、PERが低い株は割安、PERが高い株は割高に評価されていると判断されます。個別銘柄の場合、市場全体や業種平均などと比較してPERが低位に留まっていれば、「将来的に」割安感が修正されるとの期待があります。

<従来の常識>
PERが低い株は割安で、投資妙味が大きい

ただ、ここ数年は「低PER銘柄」が恒常的に株価のパフォーマンスも低調で、割安に放置され続けています。つまり、PERが低いからと言って、必ずしも「将来的に」割安感の修正が起きているわけではありません。

逆に、インターネットセクターなどの様に、PERが高いにも関わらず、株価の上昇が続いている銘柄も多くあります。この背景には成長に対する期待があり、高PERは「利益成長期待の裏返し」とも言い換えられます。今後も割安に放置され続けている低PER銘柄よりも、持続的に成長が期待される高PER銘柄が選好される状況は続くとみられます。「PERが低いから割安で良い」という見方から、「PERが高くても成長を続けているから良い」という発想の転換が必要となるでしょう。

<“新常識”>
PERが高い株でも、利益成長が期待できれば投資妙味は大きい!

この様に、最近のマーケットでは従来の固定概念が通用しない事例が多く見られます。もちろん、今回取り上げた“新常識”が必ずしも当てはまるわけではなく、時間の経過と共にさらに変化していく可能性があります。これまでの常識を疑いながら、柔軟な発想を持って日々変化する株式市場と対峙することが重要と考えています。

(岡三証券 投資戦略部 日本株式戦略グループ長 小川佳紀)

注目キーワード