保障の広さを取るか、保険料の安さを取るか

住宅ローンの3大疾病特約、8大疾病特約はつける意味はあるのか

提供元:Mocha(モカ)

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住宅を購入したとき、多くの人が団体信用生命保険に加入することでしょう。団体信用生命保険には、3大疾病特約、8大疾病特約などといった特約をつけることで、保障内容を拡大することができます。いったい、どんな特約なのでしょうか。そして、本当に必要なのでしょうか。考えてみましょう。

返済者の「もしも」に備える団体信用生命保険

団体信用生命保険は、住宅ローンの返済期間中に返済する人に万が一のことがあって亡くなったり、所定の高度障害などになったりしたときに、保険金から住宅ローンを返済する保険です。手元に保険金が支払われるわけではありませんが、保険金が残りの住宅ローンに充当されるため、以後の返済の義務はなくなります。

もし、団体信用生命保険に加入していないと、住宅ローンは当初契約の返済が終わるまで続くことになります。主な収入を得ていた人にもしものことがあった場合、残された家族が代わりに返済を続けなくてはなりません。そうならないように加入している人が多い保険なのです。

特約でより幅広い疾病に対応可能

団体信用生命保険に特約を追加すると、保障の幅を広げることができます。特約には、大きく分けてがん保障特約・3大疾病特約・8大疾病特約の3種類があります。

・がん保障特約(がん団信)

医師によって所定のがんと診断されたときに保険金が支払われる特約です。保険会社によっては上皮内がんや皮膚がんなどは保険金が半額になる場合や、対象外の場合もあります。

例えば、ソニー銀行の「がん団信プラス」であれば金利に0.1%上乗せするだけで、所定の悪性新生物(がん)と診断されたら住宅ローンがなくなるほか、1回限りではありますが、がん診断給付金100万円も受け取ることができます。ただし、皮膚がんや上皮内がんの診断給付金は50万円です。

・3大疾病特約

がん、急性心筋梗塞、脳卒中の3つの病気をまとめて3大疾病と言います。これら3大疾病になった場合に保険金が支払われる特約です。

ただし、保険金が出る条件は疾病によって異なる場合があります。例えば、がんはがん保障特約と同じで診断されたときに保険金が出るものの、急性心筋梗塞は60日以上行動の制限を受けたり入院・手術をしたとき、脳卒中は60日以上後遺症があったり入院・手術をしたときに保険金が出る、という具合です。

保険料は金融機関により異なりますが、0.2%程度金利に上乗せになります。

8大疾病特約

3大疾病に加えて高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性すい炎の5大疾病を含んだ特約です。生活習慣病もカバーできる特約になります。

8大疾病特約は「3大疾病+5大疾病」と考えるとわかりやすいでしょう。3大疾病の支払い事由は3大疾病の特約と同じですが、5大疾病特約は保障が2段階に分かれています。

例えば、三井住友銀行の「8大疾病保障付住宅ローン」ではまず、医師の判断に基づき、保険会社がいかなる業務にも従事できない状態だと判断したときに、最長12か月ローンの返済額と同額の保険金が支払われて、実質住宅ローン返済額の負担がなくなります。さらに、13か月を超えても同様の状態が継続している場合は、住宅ローンの残高がなくなります。

8大疾病特約の保険料も金融機関により異なりますが、0.3%程度金利に上乗せされます。

団体信用生命保険の特約、つける必要ある?

保険は大きな損失に備えるものではありますが、あれもこれも不安だからと加入すると、保険料が高くなります。団体信用生命保険の特約は、0.1%から0.3%金利に上乗せになるため、毎月の住宅ローンの支払いが高くなります。

厚生労働省の「平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況」を見ると、日本人の死因の第1位は悪性新生物(がん)で、全体の死亡者数の中で約27%を占めています。第2位は高血圧症を除く心疾患で約15%、脳血管疾患は第4位で約8%です。死因の半数は3大疾病が占めています。いいかえれば、3大疾病の持病を持っている人が多いということになります。

しかし、死因が多いことと、保険金の支払いは必ずしも比例はしないのです。例えば3大疾病特約で対象になる「心疾患」は、急性心筋梗塞に限定されます。狭心症や心不全といった病気は対象外なのです。「脳血管疾患」も脳卒中だけです。保障の範囲がとても限定的なのです。その点を踏まえて、保障の範囲を考える必要があるでしょう。

まとめ

もしもの時は保障の範囲は広い方が安心なのが保険ですが、筆者自身は支払い範囲が限定的なことが気になります。3大疾病も8大疾病も該当すればその時は特約をつけていて良かったと思うはずですが、どれだけの人が該当するのかと考えれば、該当しない人の方が多いのが実情だと思います。

保障内容と保険料のバランスを考えたととき、筆者自身は罹患率が高く、診断されると保険金が支払われるがん保障特約でもいいのではないと思います。

とはいえ、将来の病気については誰にも予想することができませんので、心配な人は保障の範囲を広げてもいいかもしれません。しかし、保険料分が金利に上乗せになるので毎月の返済金額は高くなります。返済に問題がないようしっかりとプランを考えておきましょう。

[執筆:ファイナンシャルプランナー 黒須かおり]

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