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売掛金をより早く資金化

コロナ禍でニーズ広がる「MF KESSAI アーリーペイメント」

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コロナ禍の中で、企業の資金繰りが大きな問題となっている。飲食店や店舗などが営業できなくなることで、仕入れ元である企業も受注が減ってしまう。このように、連鎖的に厳しい状況に陥っているケースも少なくないだろう。

そういった企業の資金繰りの悩みに対し、一助となるフィンテックサービスがある。売掛金早期資金化サービスの「MF KESSAI アーリーペイメント」である。

これは、取引によって後から回収する代金「売掛金」を、より早く受け取れるサービス。売掛金は、回収するまでに数カ月かかるケースもあるが、それを通常より早く資金化することで、事業者は手元資金(キャッシュ)を確保できる。

サービスを開発したのは、マネーフォワードのグループ会社であるMF KESSAI社。代表取締役を務める冨山直道氏に、サービスの詳細を尋ねた。

お話いただいた冨山氏。写真は別イベントでのもの 提供:MF KESSAI

数カ月かかる売掛金の入金を、最短2営業日に

企業間の取引では、売掛金が頻繁に発生する。たとえば、B社の依頼を受けて、A社が製品を納品したとき。B社はA社に対して代金を支払うのだが、そのタイミングは納品からしばらく経ってからということが少なくない。2~3カ月後の場合もある。

こういった未回収の代金、これから支払われる代金を売掛金というが、回収に時間がかかるため、その間の資金繰りをどうするかがポイントになる。

「製作期間が長ければ長いほど、受注から支払いまではより長期になりますし、その間の資材費や人件費は持ち出しになります。特に中小企業は、取引先とのパワーバランスの関係から、売掛金は納品後にまとめて一括で支払われるケースも多いです。その一方、資材などの原料調達は買掛(※売掛の反対。購入代金を後で支払う)にできず、都度支払わなければならないことも。となると、売掛金を回収するまでにかなりの負担が生じます」

つまり、A社に代金が支払われるのは納品の数カ月後だが、それまでにA社が他社から購入した材料や社員への人件費は、その場で支払われていくのだ。

この悩みの解消をサポートするのが、MF KESSAI アーリーペイメント。大まかに言うと、A社からB社への売掛金を、実際のA社への支払いより前にMF KESSAI社が入金してくれる。その後、B社からA社へ代金が支払われたら、その代金をMF KESSAI社に渡すのだ。

売掛金が発生した際、企業は取引先に対して金銭を請求する権利(売掛債権)を持っていることになる。A社の例で言えば、B社に対する売掛債権を持っている。このサービスでは、MF KESSAI社がその売掛債権を買い取る形をとる。

なお、サービス利用時には手数料が発生するが、その料率は「売掛金の1~4%/月」。このようなビジネスモデルでは、過去に20%近い手数料を取る他サービスもあった。しかし、同社は低い手数料を実現した。

その低い手数料を生む秘訣が、同社の審査。もともとマネーフォワード社が中小企業向けの会計や請求サービスを展開しており、そこで蓄積した独自のノウハウに基づき、利用企業の審査を行っているという。

「具体的には、お客さま企業の決算状況や、どんな企業とどういった取引を行っているか、細かく分析します。それをもとに、サービス利用の可否や手数料を決定。審査に通れば、依頼から最短2営業日で、売掛金から手数料を引いた金額を入金します」

ビジネスモデルの変革が行われる今、手元資金の確保に

では、実際にどんな事業者が活用しているのか。たとえば、衣装の受託製作を行う企業。大手商業施設やアパレル店舗から依頼を受け、制服などを製作していたが、案件着手から製作・納品に約4カ月、そこから入金までに約3カ月かかることがあった。計7カ月だ。一方、製作中は材料費や外注費が継続的に発生する。そこでこのサービスを使い、入金までの資金確保をしたという。

「こういった資金の悩みは、銀行などの融資でカバーするのが理想かもしれません。ただ、今は低金利ですから、一件あたりの借入額が少ない中小企業に金融機関が割けるリソースは限られています。結果、融資を受けられないケースがありました。私たちは、その一助になればと考えています」

そのほか、銀行の融資審査ではこんな悩みもある。たとえばウェブ系の企業は、近年急速に増えてきた業種も多く、銀行の審査モデルが対応しきれていないことも。すると、融資を受けるまでに時間がかかる。

あるいは、2011年の東日本大震災の際に、たった一度、融資の返済を猶予してもらった経歴がある企業。いくらトータルで成長していても、“猶予”という過去があると、銀行の審査はかなり厳しくなる。

これらは実際にあった例で、ともにMF KESSAI アーリーペイメントを活用した。MF KESSAI社の審査モデルが活きた例だろう。

そして、このサービスがコロナ禍で存在感を増している。今年に入って申し込み数は増えており、特に3月は、前月から40%以上の増加となった。

「この数カ月をどう乗り越えるかという中で、売掛金を前倒しで確保する形が増えています。弊社もスピード審査窓口を3月から開設し、初回のご利用でも最短5営業日での早期審査を行うなど、機動的なファイナンスサポートの態勢をとっています」

また、このタイミングで「ビジネスモデルを大きく変革させる企業も多い」と冨山氏。当然、新しい取引先とのやりとりも増える。顔なじみの相手なら買掛などの融通が効くかもしれないが、新たな取引先はそうはいかない。つまり、手元資金がより必要になる。その中で、このサービスを活用し始める企業は増えているようだ。

「成長中の中小企業にとって、運転資金の確保というニーズは昔から強くありました。そして現在、その声はより強まっています。私たちのサービスは、全体のニーズからすると、まだ一部しかサポートできていません。より多くの方に届くよう、サービスを進化させていきたいと考えています」

マネーフォワードグループのアセットを使ったMF KESSAI アーリーペイメント。売掛金の早期資金化というサービスは、事業者たちの運転資金をサポートしていく。

写真提供:MF KESSAI

(取材・文/有井太郎)

※記事の内容は2020年6月現在の情報です

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