投資家の本棚

投資人生を変えた本とは?【投資家の本棚】

【投資ブロガー・虫とり小僧さん】すべての日本人が読むべき”投資の教科書”

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投資で資産を築き、羨望の眼差しを向けられる投資家たち。しかし、彼らとて努力せずに、いまがあるわけではない。ゼロから知識を身につけ、実践してきたからこそ、確かな結果を手に入れることができたのだ。そんな彼らの“投資脳”を育てた土台となっているのが、書籍である。そこで、投資家たちの本棚にしまわれる珠玉の一冊を紹介してもらおう、というのがこちらの連載。

▲ブログ「いつか子供に伝えたいお金の話」を運営する虫とり小僧さん。好きなものは歴史、格闘技、筋トレなど

第4回は、投資ブロガーの虫とり小僧さんにインタビュー。自分の子どもに資産運用の知識を伝えたいという思いから、投資ブログ「いつか子供に伝えたいお金の話」を開設している。結婚をきっかけに生命保険への加入を検討したことから、資産運用を学ぶようになり、約15年前からインデックス投資に励んでいるそう。今回は、そんな虫とり小僧さんの投資スタイルに影響を与えた一冊をご紹介いただく。

【虫とり小僧さんの一冊】
『貧乏人のデイトレ、金持ちのインベストメント』(北村 慶著)


インベストメント(長期投資)で資産形成・運用を行うことの優位性を分かりやすく説いている本です。たとえば、デイトレード(FXや株の短期取引)で勝ち続けるのは簡単ではないし、誰かの成功を別の人が再現することは難しい。

そこで、時間を有効に使い、生活の質を損なわずにできる投資として、この本で紹介されているのが長期投資です。「資産運用の安全性を高めるための一般理論形成」の研究でノーベル経済学賞を受賞したウィリアム・フォーサイス・シャープの数式や、スイス人の富豪が実践している手法など、理論的な裏付けをもとに長期投資の本質をひもといています。

私は、この本こそ日本人向けに書かれた投資理論の“教科書”だと思っています。個人投資家にとっては、『ウォール街のランダム・ウォーカー』『敗者のゲーム』が”2大教典”としてお馴染みですし、私もその2冊から大きな影響を受けましたが、これらはいずれもアメリカ人の視点なんですよね。

一方、『貧乏人のデイトレ、金持ちのインベストメント』は、日本人の著者が日本人に向けて書いた本。決して平易な文章ではないものの、国内の時勢を交えながら投資の知識が身につき、とても理解しやすい内容です。ただ、本当に教科書みたいなので、読破するにはちょっと気合が必要かもしれません。

ちなみに、この本を読む少し前からインデックス投資をはじめていたのですが、やはり最初の頃はいろいろな可能性を試したくて、資産配分のポートフォリオを変えていたんです。でも、私と同時期にインデックス投資をはじめて、ポートフォリオを変えずにほったらかしにしていた同僚の方が、私よりも成績がよかった。掛けた手間とパフォーマンスは比例しないんだということを、身をもって実感しましたね。

ただ、もしこの本を読んで理屈が頭に入っていなかったら、ほったらかす覚悟を持てずに、ちょこちょこポートフォリオを変え続けていたと思います。結果、損をし続けていたかもしれません。

影響を受けたポイント

有限な人生における投資の優先順位が明確になった

2005年頃、結婚をきっかけに生命保険を検討しました。そのときに、保険が満期になったら掛け金以上のお金が戻ってくることに驚いたんです。当時は、収入の一部を貯蓄にまわすくらいで、投資の知識もまったくありませんでしたが、世の中のお金の仕組みが気になりはじめました。

そこで、調べてみると世界の市場平均は30年前の10倍になっているという事実を知り、保険に入るよりも投資をはじめた方がいいのではと思うようになりました。

それからすぐに、図書館にある経済や投資の本を片っ端から読みました。でも、ミクロ経済やらマクロ経済やら、難しいんですよね。個人の投資にどう置き換えていいのかも分かりませんでした。

そんなときに、個人投資家のブログで『貧乏人のデイトレ、金持ちのインベストメント』が薦められていたのを目にしました。気になって読んでみると、おぼろげだった知識が整理されて、あいまいだった投資スタンスが強固になりました。

私は、「価格変動そのものから収益を上げる短期投資」であるトレーディングを否定するつもりはまったくありません。でも、この本を読んで私のように本業を大切にしたい庶民が手を出すと、多大な労力と時間を費やしてしまい、生活の質が低下する可能性が高いと思ったんです。

でも、「15~20年の長い時間をかけて上昇していくであろう企業価値、世界経済の成長からリターンを狙う長期投資」であるインベストメントなら、仕事はもとより、家族との時間や趣味、遊びの時間を妨げずに、資産運用できるんじゃないかと確信。この本を読んで、人生における投資の優先順位が定まりました。

とにかく自分の感情、判断を入れない。欲を捨てて、ほどほどで我慢する。そのスタンスを続けたことで、いまは着々と資産を増やすことができています。

実は今回の取材にあたって、久しぶりにこの本を読み直してみたんです。そしたら、自分がブログで主張していることとほぼ同じで、確実に影響を受けているなと実感した次第です。

この本をおすすめしたい人

投資に関心を持つすべての日本人は必読

個人投資家はもちろん、すべての日本人に読んでもらいたいと思います。なぜなら、庶民が手間をかけず資産形成する方法がほぼ網羅されているからです。

ちなみに、私は15年の投資歴で、リーマンショックを経験し、資産が6割近く下がったこともありました。大きな山も谷もありましたが、この本を読んでいたことでインベストメントを疑わずに、冷静に投資を続けることができました。実際、この15年間を振り返ってみると年率平均5%くらいのリターンなので、おおよそ本に書かれている通りの数値に落ち着いています。

ですから、「投資に関心を持っているけど、何が正しいのか分からずに一歩を踏み出せない」という人には、ぜひ手にとってほしいですね。投資で資産を増やすのは長期戦なので、この本に書かれていることを理解せずに投資をはじめると、覚悟が揺らいでしまいかねないと思います。

実際、インデックス投資は、そんなにたくさん資産が増える方法ではありません。でも、手間がかからない、誰でもできるところがすごい。だからこそ、仕事や投資が最優先ではない私にとって、インデックス投資はベストな選択だったのです。

ちなみに、私はいま家族との時間を最優先にしています。それは「自分が死ぬときにやってなくて後悔することって何だろう?」と突き詰めて考えた結果、家族とたくさんの時間を過ごすことだったからです。なので、人生で何に重きを置くべきか悩んでいる人にも、ぜひ読んでいただきたい一冊ですね。

投資の良書に巡りあうための秘訣

波長が合う投資ブロガーが薦める本を読んでみる

私を含め、いまはたくさんの個人投資家が投資ブログを開設しています。その中で、この人と波長が合うな、通じ合うものがあるなと思う人を見つけて、その人が紹介している本を読んでみるといいと思います。私も先輩ブロガーさんの書評を参考に本を選んでいます。その方が、かつての私のように図書館で片っ端から読んでいくよりも、「当たりの本」に出会える可能性が圧倒的に高まるはず。

あとは、ちゃんと理屈と根拠があって、投資を学問として体系立てて解説している本は1~2冊は読んだ方がいいと思います。私もリーマンショックが起きたときに、わけのわからない金融関連の本をたくさん読みましたが、結局わけがわかりませんでした(笑)。でも、『貧乏人のデイトレ、金持ちのインベストメント』をはじめ、しっかりした本を読み、投資や経済の仕組みをあらかた理解していたので、惑わされることはありませんでした。

最近は、有益なネットの記事も充実していますが、根っこの部分をきちんと掴める本だけは、投資をはじめる前に気合いを入れて読んでもらいたいですね。

(末吉陽子/やじろべえ)

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