誰が大統領になっても“経済成長率”に変化はない!?

アメリカ大統領選挙と株式市場の関係 前編

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11月3日に控えているアメリカ大統領選挙。日本でも、バイデン氏率いる民主党の動向や、トランプ政権は代わるのかなど、さまざまな観点で報道されている。

4年に一度行われる選挙の結果を、世界中が固唾を飲んで見守っているが、そもそもなぜアメリカ大統領選挙は他国と比べて注目度が高いのだろうか。日興アセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト 神山直樹さんに、アメリカ大統領選挙と世界の経済の関係について、聞いた。

世界中の“消費”に影響を与える国

「アメリカが世界の経済において重要な理由は、“輸入超過”の国だから。世界経済にインパクトを与えるほどの消費の塊といえる国なのです」(神山さん・以下同)

神山さんの話によると、日本をはじめとした先進国のほとんどは輸出国といえるが、アメリカは他国から物を買っている国。世界を“消費”を引っ張っているという。

「アメリカは、米ドルを基軸通貨として世界に供給、資本を投下して成果を回収するなど、重要なポジションにいるため、経済的な影響も大きいのです。もちろん経済以外に、外交、軍事、文化といった分野でも大きな影響力を持つ国なので、日本においても、そのトップが代わる大統領選挙が大々的に取り上げられるのだと考えられます」

共和党でも民主党でも“経済成長率”は変わらない?

アメリカが世界経済において影響の大きい国ということは、大統領が代われば政策も変わり、一般市民である私たちの生活にも影響が及ぶのだろうか。

「アメリカの大統領が誰になっても、“経済成長率”は大して変わらない、というのが私の意見です。多くのエコノミストも、同じ考えだと思います。前回の大統領選でトランプ氏が勝つとは、誰も予想していませんでしたが、選挙結果を受けて成長率の予測を大きく変えたエコノミストは、ほとんどいなかったんです。それは、大統領が共和党でも民主党でも、長期的に経済成長率には影響しないと見ているからでしょう」

大統領が所属する政党が変われば、政策も大きく変わるにもかかわらず、経済成長率が変わらないのはなぜだろうか。

「アメリカに限らず、先進国はトップが代わったからといって、簡単に国全体を変えることはできないようになっているんです。トランプ政権になった頃は、『中東などで戦争が激化する』と言う人も多かったのですが、実際は不安定とはいえ、戦争がそれ以前より激しい時代にはなっていませんよね。国としての仕組みがきちんと構築されているので、大統領1人の権限で大それたことができるわけではないんです」

また、国のトップともなれば、当然国に景気に悪影響を及ぼす政策は打たない。政策の内容は違っても、中長期的に見ていく“経済成長率”の観点からすれば、成長していくことに変わりはないというわけだ。

「ただし、政権や政策が変われば、経済成長のための調整方法が変わります。政治とは、どこからお金を持ってきて、どこにそのお金を回すか、調整すること。そのため、どのセクター、どの銘柄が好調に推移するかといった細かな部分は、大統領によって変わる可能性があります」

例えば、2016年の大統領選では、トランプ氏が勝てば石油関連はは好材料だが、環境問題に熱心だったクリントン氏が勝てば、石油関連の株価の悪材料になると考えられていた。大統領選挙期間中、候補者がどのセクターに有利な政策を打とうとしているか、見ておくことは重要かもしれない。

中長期投資ならば手法を変える必要はない

「一般的に、民主党の候補者が選挙に勝つと、アメリカ企業から取る法人税を増やす可能性が高いため、経済成長率や株価が下がりやすくなるといわれます。しかし、それは短期的に見た話で、中長期的に見れば経済成長率は回復すると考えられるのです」

神山さんの話によると、アメリカ企業にかかる法人税が増えることで、一時的に株価が下がりやすくなることはあるという。ただし、その税金で医療や教育などの福祉の分野を強化し、国民に還元していけば、消費者のパワーは強くなる。国内の小売店やホテルを利用する人が増えると、企業の売上は上がり、株価も回復するというわけだ。

「経済活動を自由にして企業の成長を図る共和党と比べると、民主党は良くないと思われがち。候補者も選挙中にはいろいろ言いますが、実際に政権を取った際に、大統領という立場で株式市場が崩壊するような政策を打つ可能性は、ほぼないと思います。先ほども述べたように、大統領が誰でも“経済成長率”は大して変わらないので、投資信託やiDeCo、NISAなどで長期投資、分散投資をしている人なら、選挙結果によって投資の手法を変える必要はありません」

特に今年は、誰が大統領になったとしても、大きく変わらない可能性が高いという。

「新型コロナウイルスの影響があるので、共和党であれ民主党であれ、自国経済を悪くするような政策は取れないと予想できます。法人税増税を掲げている民主党であっても、今の状態ですぐに増税の方向に動くことはないと考えていいでしょう」

世界的に注目を集めるアメリカ大統領選挙だが、“経済成長率”に関してはほとんど影響しなそうだ。ただし、セクターごとに影響はあるため、個別銘柄を持っている場合は注意が必要だという。後編では、選挙期間中に注目すべき点と投資判断について聞く。
(有竹亮介/verb)

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