投資信託のトレンドが分かる!
2020年6月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2020年6月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「6ヵ月ぶりに資金流出超へ転じる」
6月の資金流出入動向は6ヵ月ぶりに流出超へ転じた。外国株式の流入額が縮小したことに加え、国内株式や外国債券の流出額が拡大したことで、約1,200億円の資金が流入していた前月から一転し、当月は約1,500億円の資金が流出した。
資金流入では、前月まで全体の資金流出入をけん引していた外国株式の流入額が大幅に縮小した。一方、不動産投信は引き続き資金が流入し、流入額は前月の約2倍に拡大した。
資金流出では、国内株式が株式市場の上昇によって利益確定売りの動きが強まったことなどから3ヵ月連続で流出超となり、流出額も前月から大幅に拡大した。加えて、外国債券やエマージング債券においても流出超が継続した。前月の流出額は縮小傾向を示していたが、当月は再び増加に転じた。
個別ファンドで当月の資金流入額が大きかったのは、当月新規設定の「JPMグローバル高利回りCBファンド2020-06」(JPモルガン)であった。
(図表1)主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
(注)合計には、グラフ表示していない、その他資産も含む
2.投信市場のパフォーマンス動向
「エマージング資産がリターン上位を独占」
6月の金融市場は、月前半は世界各国での経済活動再開への段階的な動きや主要国の経済指標に改善が見られたことなどを背景に、前月からのリスク選好姿勢が継続した。しかし、中旬以降は新型コロナウイルス感染第2波への警戒感が強まったことで景気の先行きに対する楽観論はやや後退した。
株式市場は、主要国の経済指標に改善が見られたことなどから上昇した。米国を中心とした新型コロナウイルス感染第2波への警戒感から株価が一時下落する場面も見られたが、先進国の株式を中心に上昇基調で推移した。
債券市場は、中旬にかけて米国長期金利を中心に上昇する場面も見られたが、その後はリスク選好姿勢が弱まったことで金利は低下し、前月末比ほぼ横ばいで月末を迎えた。
為替市場は、米ドル・円、ユーロ・円ともに円安となった。中旬までは、米国長期金利の上昇とともに米ドル・円は109円台半ばまで上昇したが、その後はリスク選好姿勢が弱まり前月末比で小幅な円安となった。ユーロ・円は欧州圏の景気回復期待により前月末比で円安が進行した。
これらを背景に、6月の投信市場では、新興国資産を中心に上昇し、国内債券を除く全てのカテゴリーでプラスとなった。月前半に国内外で停滞していた経済活動が再開し、各国の財政・金融政策への期待も高まったことから株式市場は堅調に推移した。
直近1ヵ月、直近3ヵ月のリターンは、エマージング株式が首位となった。新型コロナ感染者数が突出して低位で抑えられたベトナムや、原油輸入国であることから原油安のメリットを受けたインドに加えて、経済活動正常化への動きが期待される中国の株式ファンドが高リターンを獲得した。
個別ファンドの1ヵ月リターンでは、回復基調にある中国を中心としたエマージング株式が上位にランクインした。その他にはフィンテック関連に投資するファンドなど新型コロナウイルス感染拡大禍においても注目を集めるテクノロジー系のテーマ型ファンドがランクインした。
(図表2)パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「新規設定本数は同水準も設定額は増加」
当月の新規設定は12本と前月(11本)と同水準であったが、設定額は約430億円と前月(約120億円)から増加した。設定額は上位3本で全体の約9割を占めており、いずれも限定追加型や単位型のファンドであった。
設定額上位は「JPMグローバル高利回りCBファンド2020-06」(JPモルガン)(約290億円)、次いで20回目の募集である「GS社債/国際分散投資戦略ファンド2020-06」(AM-One)(約60億円)、3位は「りそな・リスクコントロールファンド2020-06」(りそなAM)(約30億円)となった。
(図表3)新規設定金額、設定本数の推移
最後に、6月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
(図表4)資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)