改めて親子で学びなおす
夏休みに学ぶ!カブってナンだ?
はじめに
いよいよ夏休みの季節がやってきた。しかし今年はコロナ禍の影響で、夏休みが短縮になったり、スポーツ大会をはじめとした様々なイベントも中止となっているのが現状だ。
当社、東証も毎年夏休み恒例の『シェア先生の親子経済教室』は、昨今の状況を踏まえて、開催を見送った。東証アローズ見学、ボードゲームなど親子で学べるコンテンツに毎年好評いただいていただけに、大変残念である。
そこで、今回は、シェア先生の経済教室の一部内容を動画とともにご説明したい。また、後段では当サイトの特集「子育てにまつわるお金の話」をご紹介する。
会社って何のためにあるの?
会社の目的は、より良い商品やサービスを提供することで利益をあげること。利益をあげるためには、人々が必要としている商品やサービスを生み出す必要がある。
そして、会社がよりよい商品やサービスを提供することによって、私たちの生活はより便利で豊かなものになるのだ。
例えば、発売当初の携帯電話は、今のような小型なものではなく、端末代も月額使用料も高額で限られた人にしか手の届かない高級品だった。それをメーカーや通信会社が改良を重ね、小型化や低価格化を進め、現在では多くの人が携帯電話を保有している。
一方で、今や世の中には数多くの商品が存在する。ライバルが多い中で利益をあげるために、より良い商品やサービスの開発が重要。そのために、会社は、商品開発のために研究を行ったり、工場で製品を作ったりする必要がある。つまり、たくさんのお金が必要になるのだ。
では、お金、つまり資金はどのように調達すればよいのか?
大きくわけて3つ方法がある。
(1)預貯金を使う:お金を貯めるのに時間がかかる
(2)銀行などからお金を借りる:返済期限もあるし、利息をつけて返さなければいけない
(3)株式を発行する:多くの人々から少しずつお金を集める
会社を運営する際には、資金を(1)の預貯金だけでまかなえるケースは少なく、(2)のように誰かからお金を借りるか、(3)の株式のしくみを通して広くお金を集めるのが一般的。
ここからは、(3)株式の仕組みについて見ていこう。
ひとりでは出せない多額のお金でも、多くの人々から、少しずつ出してもらうことで、多くの資金を集めることができる。
お金を出した人は、会社から株式をもらい、「株主」となる。株式は、株主に渡される証明書のようなもの。このように株式を発行して資金を集め、事業活動を行う会社のことを「株式会社」という。
株式で集めたお金は返済する必要がないため、長期的な視点で資金を使うことができる。例えば、大きなビルを建設するなど、お金や人手が多くかかる仕事をするのに適している。一方で、株式を使ってお金を集めるということは、お金(資金)を出してもらう代わりに、株主に会社の利益の一部を還元したり、今後の事業の展開や結果の報告を行ったりするなどの責任が伴うことになる。
株主になるとどんないいことがあるの?
株主とは、会社に出資(会社にお金を出すこと)した代わりに株式を受け取った人のことをいう。
株主になるということは、会社の持ち主になるので、会社に対して様々な権利を持つことになる。例えば、出資した金額に応じて、配当金や株主優待がもらえるだけでなく、会社の経営者に対して意見を言うこともできるのだ。
株主のメリットは主に以下の3つ。
■配当金・・・自分が持っている株式の数に応じて会社の利益の一部を配当としてもらえる
■議決権・・・株主総会で意見を言ったり重要な決議で投票できる(例:役員の選任・解任、会社のルール変更など)
■株主優待・・・自社製品や施設利用券などがもらえる ※全ての会社が行っているわけではない
会社の業績が上がり、利益を出すと、会社はその利益の一部を株主へ支払う、これを「配当金」という。日本の場合、配当は年に1回または2回実施する会社が多く、定期的に配当を出す会社は、魅力的な投資対象と見られることがあるため、配当に力を入れている会社も多い。ちなみに、東証に上場する会社の平均利回りは約2%である。(2020年6月末時点)
また、投資(保有)してくれた株主へのお礼として、自社製品や施設利用券などを贈る場合がある。これを「株主優待」という。会社から見ると、株主優待を通じて、自社製品やサービスを利用してもらうことで、さらにファンになってもらいたいという思いも。ただし、全ての会社が行っているわけではないので、事前に調べてみることをオススメしたい。
ちなみに、当サイトでは、『「株主優待」の裏側に迫る!』と題した特集も作っており、株主優待導入の経緯や優待内容を決める際の裏事情について、人気の株主優待企業に直接インタビューしている。こちらも是非チェックしてみてほしい。
このように株主になると様々なメリットがある一方で、注意しなければいけないこともある。一般的に、会社の業績(成績)が上がれば、株価(株の値段)は上がると言われていて、株式を買った時よりも高い値段で売ることができれば利益を得ることができる(これを「売買益」という)。しかし、逆に業績が下がってしまったら、配当金が減ったりもらえないこともあるし、株価が下がり買った時よりも安い値段でしか売れないこともある。株価は様々な理由で上がったり下がったりするので、将来必ず上がるという保証はない。
ただし、株主の責任は、株式を買った時に出したお金の範囲内。会社がたとえ倒産してしまった場合でも、その会社の借金を背負う必要はない。これを「有限責任」という。
と、ここまで、夏休み恒例『シェア先生の経済教室』の一部内容を動画とともに説明してきた。いかがだっただろうか?
「会社とは?」「株主とは?」など、改めて学びなおしの機会になったならば幸いである。
子育てにまつわるお金の話
小さいうちから、金融経済教育の機会を作っていくのは重要。とはいえ、そもそも「教育」や「子育て」にはお金がかかるもの。
そこで、当サイトでは、全国の親が気になるであろう『子育てにまつわるお金の話』を各種掲載している。
例えば、子どもへのお小遣いの話。
・子どものお小遣いって、何歳からあげるべき?
「お小遣い=お金の使い方のトレーニング」と捉えることも。人のお金だと甘える子も、自分のお金だと思うと欲求をコントロールする傾向にあるという。「あのゲームを買うために、今は我慢しよう」など、お金を使うことのトレーニングになる上、実際にゲームを買えた時の達成感が、将来的に働くモチベーションにつながるのだとか。
また、子どもを育てあげるのにいったいいくら必要なの?と気になる方も多いはず。実際のところどのくらいの費用がかかるのか、次の子育て費用を図解した記事を見てほしい。
もちろん、学校の公立・私立の進学パターンによっても、金額は変動する。例えば、大学進学に焦点をあてると、私立理系大学への進学なら、約500万円を用意しておくのが一つの目安といえる。「大きな金額で不安を覚える」という方も多いだろう。
一方で、「幼児教育・保育無償化」など、教育補助の制度も拡充している。制度をうまく活用しながら、非課税期間が20年間と長い『つみたてNISA』等も利用し、計画的に子育て費用を用意しよう。
(東証マネ部!編集部)