「暴落時こそ投資を意識しないといけない」らしい!?

“投資信託のプロ”カン・チュンド氏が説く「有事にインデックス投資家がすべきこと」

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新型コロナウイルス感染症の拡大によって、2月から3月にかけて株価が暴落したことは記憶に新しい。投資をしていた人は、売るべきか保有し続けるべきか、悩んだことだろう。

今回のような暴落が、今後も起こらないとは言い切れない。もし、同じような状況になった時、投資家はどのような行動を取るといいのだろう。特に、「インデックスファンドの積み立て」という一般投資家に多い投資スタイルの場合にどうするべきか。

「普段は株価などをチェックしていないインデックス投資家であっても、暴落時こそ投資していることを意識しないといけない」と教えてくれたのは、投資信託クリニック代表のカン・チュンドさん。どのように意識するといいのだろうか。

暴落時こそ「マーケットに留まる」が重要

「『投資していることを意識する』と言うと、売り買いしなければいけないと思ってしまう人もいるかもしれませんが、実際には『何もしない』をしなければいけません。暴落時こそ何もせずに、マーケットに留まり続けることが重要です」(カンさん・以下同)

そもそもインデックスファンドを含む投資信託とは、資金の運用を投資の専門家に委託するもので、投資家自身が株を売り買いすることはない。暴落時も変わらずに積み立てし続けるだけであれば、そこまで難しくはなさそうだ。

「『暴落時に何もしない』は、口で言うほど簡単ではないんですよ。人間は生き物の本能として、大きな変化が起きた時に、自分の身を守ろうと避難することを考えるものです。暴落時には、不安や焦りから逃れるため、投資信託を売却してしまうこともあるでしょう。『留まる』という本能と逆の動きをすることは、難しいことなのです」

確かに、暴落で損をする前に売ってしまいたいという気持ちになるのは、当然だろう。カンさんは「本能に抗い、暴落時に動かなかった人ほど、報酬(リターン)を得られた歴史がある」ということも、教えてくれた。

「2008年のリーマンショックの時は、2008年秋口から暴落し始め、2009年の年明けに二番底、3月に大底を迎えました。しかし、大底からわずかな期間で、株式市場は急回復を始めたのです。暴落時に留まった人たちが、急回復によるリターンを享受できたというわけです」

今回のコロナ禍の株式市場においても、同様のことが言えたという。

「今年3月の暴落時に、あわてて株式や投資信託を売ってしまった人は多いと思います。しかし、4月から5月にかけて、株価は下落したパーセンテージ以上に上昇しました。3月に売却した人の中で、この急騰の兆候に気づけた人はほとんどいないはずです。私も投資の世界に20年いますが、こんなチャートは見たことがなかったですから」

持つべきは「暴落時こそチャンス」という意識

暴落時こそ何もせず、市場に留まることで大きなリターンが期待できることはわかった。しかし、不安に打ち勝ち、じっと我慢できるだろうか。

「市場に留まる動機を考えてみましょう。毎月定額で積み立てをしている場合、対象の投資信託の価格が下がれば下がるほど、たくさんの口数が買えます。投資信託の価値は『価格×口数』ですから、景気の回復とともに価格が上昇すれば、大きなリターンに化けてくれるのです」

積立投資をしている人こそ、「暴落時は多くの口数が買える好機」と捉えるべきなのだ。

「株価が暴落し、投資信託の価格が下がった時は『いい仕込みができている最中』と考えましょう。投資信託の価格が上がったときは、当然リターンもプラスになりますから、積立投資をしている人にとっては上がった時と下がった時、どちらの局面もハッピーだといえます」

多くの人は、中長期的な目標に向けて積立投資をしているはず。不安な時にただ我慢するだけでは、何年も続けることは難しいが、「暴落時こそチャンス」という意識を持つことができれば、不安も乗り越えられるだろう。

地道にコツコツ“継続”することが大事

「投資は、不確実なことに対するアクションなので、心の揺れが、不要な売買などを誘発してしまうことがあります。暴落時こそ、投資家としての信念が試される時だといえます」

地道にコツコツと積み立てていくことを決めたのならば、その意志を曲げずに続けていくことが、何よりも大事なのだ。

「マーケットは誰にも読み切れないものですし、自分の思惑や裁量ではどうにもなりません。インデックスファンドの積立投資は長く続くことなので、あまり深刻に構えすぎず、いい意味での鈍感さを持ってもらえれば大丈夫」

投資信託のプロの「大丈夫」を信じ、何が起こっても積み立て続けること。それが、大きなリターンを得る秘訣といえそうだ。
(有竹亮介/verb)

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