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AIスコアで可能性を見極め、アフターコロナの挑戦を後押しする「J.Score」

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日本では、お金を借りることに対して“後ろめたい”イメージがある。しかし、自分の将来やチャレンジのためにお金を借りるのは本当にネガティブなことなのだろうか。

そんな思いから生まれたサービスがある。AIスコアを使った個人向け融資サービス「J.Score」だ。大きな特徴は、個人が持つ可能性をAIが診断し、そのスコアに応じて利率や融資可能な金額が変わる点。さらに、スマホアプリで手続きは完結し、最短即日で融資が行われる。

このサービスには、従来の“借金”というイメージを変え、「チャレンジの資金を提供する」というコンセプトが詰まっているという。J.Score代表取締役社長CEOの向井英伸氏に話を聞いた。

日本は、「お金」への意識がチャレンジの障害になっている

2017年9月にローンチされたJ.Scoreは、「AIスコア」を使った日本初のサービス。AIスコアとは、ユーザーから提供されたさまざまな情報をAIが診断し、そのユーザーの信用力や可能性をスコア化するもの。

たとえばJ.Scoreでは、最低18項目の質問に回答すると、その人のAIスコアが提示される。さらに追加で150の質問も用意されており、質問内容は、趣味や性格、家計管理や好きなゲームまで多岐にわたる。一見、融資とは関係なさそうな項目も多数あるが、多く回答するほど細かく分析され、スコアに生かされていく。


「これまでの個人融資は、年収や勤務先といった限られた情報、断面的な情報から利率や金額が決められました。しかしJ.Scoreは、性格やライフスタイルなどの質問もします。なぜなら、このサービスは現時点でお客さまにどれだけ融資できるかを見極めるものではなく、お客さまの将来の可能性をAIで予測し、これからのチャレンジに使っていただきたいからです」

おもしろい機能もある。「ハビットチェンジ」という、ユーザーの行動習慣を記録するものだ。

「運動習慣(1日ごとの歩数)や学習習慣(本の書評やコラムの閲覧履歴)、睡眠習慣(起床・就寝時刻)、お金の習慣(支出の内訳と自己投資金額)を記録し、スコアに反映します。こういった習慣は、お客さまの挑戦する姿勢やモチベーションにつながっており、適正なスコアを出す上で有効な情報になると考えています」

J.Scoreは、みずほ銀行とソフトバンクの合弁会社から生まれたサービスであり、こちらもユーザーが同意した上で、ヤフーでの購買データや、みずほ銀行、ソフトバンク、ワイモバイルでの取引情報も連携できる。個人情報をどこまで出すかは本人次第だが、AIスコアの分析精度をより高めることができるようだ。

記事冒頭でも述べたように、このサービスの裏には、お金を借りることへの抵抗感を解消したいという思いがある。向井氏も、これまで金融機関に勤めてきた中で、その課題を痛切に感じていた。

「新しい取り組みをするには、金融面でのサポートが必要です。しかし、何かに挑戦しようという前向きな気持ちがあっても、お金を借りる抵抗感が障害になって立ち止まる人も少なくない。それは日本社会の大きな課題であり、もっとチャレンジしやすい社会を作るために変えるべきだと考えています」

お金を借りるのは、前向きに人生設計をする上での選択肢のひとつ。その認識を「もっと日本で広めたい」と向井氏は言う。マネーライフコントロールという、人生設計におけるお金との付き合い方をアップデートしていきたいと考えている。

アフターコロナにおいて、チャレンジのニーズが増える理由

J.Scoreが目指すのは、その場しのぎの借金ではなく、挑戦のための資金調達。だからこそ、今すぐに資金が必要ではないユーザーも、アプリに触れ続けてもらう仕組みが用意されている。それが、いつか訪れる挑戦の瞬間、お金が必要なタイミングで活きるからだという。

その仕組みのひとつが「AIスコア・リワード」だ。AIスコアやそのランクに応じて、さまざまな特典(リワード)が受けられるサービス。旅行会社のオリジナルツアーや、百貨店での買い物特典の提供などがある。こうしてアプリに触れ続けてもらうことは、J.Scoreが「お客さまに寄り添い続けること」となり、将来、必要なタイミングでの「資金サポートにつながる」と向井氏は説明する。

2020年6月時点で、J.Scoreのユーザー数は120万人を突破。20~30代が中心で、利用目的も「自己啓発資金や教育資金が多い」とのこと。さらに、アフターコロナにおいては、チャレンジへの資金ニーズがより高まっていくと考えられる。

「コロナにより、副業やパラレルワークのニーズは強くなるでしょう。コロナ前から、企業の副業解禁や老後資金への不安による副業トレンドは起きていましたが、今回の経験で、1つの収入先に依存しないスタイルを求める傾向は強くなっていくと考えています。そういったチャレンジをサポートするサービスとしても、精度を高めていきたいですね」

リモートワークも普及したことで、出勤による時間・場所の拘束が弱まりつつある。副業しやすい環境とも言えるだろう。もしそのチャレンジで資金が必要なとき、J.Scoreがサポートする。お金を借りることを身近にするこのサービスは、人々の挑戦を後押しする存在となっていく。

(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2020年8月現在の情報です

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